第8話 私のために命を絶った?

ロビンは本当はもっと長生き出来た筈です。

歯も健全でしたし、食欲も旺盛でした。


問題は糞尿をそこらじゅうでする事だけでした。

私はこの糞尿の始末に追われ、事の本質まで考えられなかったのです。

この所業が彼の最大のアピールだった事に。


「何で前みたいに一緒にベッドで寝かせてくれないの?」

「何で前みたいに二階で自分と一緒に過ごしてくれないの?」

「何で前みたいにもっと自分を撫でてくれないの?」

「何でもっともっと一緒にいてくれないの?」

これらの不満の腹いせだったのだと亡くなった今理解しました。


16歳になってからベッドでも、抱っこしててても、二階のソファで私の隣に来てもオシッコを漏らす様になってからどんどんロビンとの距離が離れてしまう悪循環が始まったのですが、その時にオムツを充てていればもっと常に一緒にいられたかと考えますが、首輪もケガをした時に付けるエリザベスカラーも嫌がって首がただれる程引っ掻いて(布製のエリザベスカラーは後ろ脚でビリビリにして)外してしまう子が大人しくオムツを我慢してくれるとは思えません。


16歳はもう充分老齢です。オシッコを漏らしてしまうのはリラックスしている証拠なのでしょう。

ただオシッコを漏らし始めた時点でも二階に上がってきたり高い所へのジャンプも難なくこなしていたので飼い主の贔屓目でまだまだ若いと思い込んでいました。


この初期の粗相の頃からもっともっと目を掛けるべき所を私は反対に距離を置くようにしてしまった事を今一番後悔しています。


永年一緒に過ごしていると空気のような存在になり、いるのが当たり前、自分では愛情は変わっていないつもりでいても、ロビンに寂しい思いをさせていた事が悔やまれてなりません。


そして悪循環の最後にたどり着いたのが亡くなる1カ月前から始まった糞尿の海です。

週に1回から三日に1回、二日に1回、亡くなる直前は毎日となり私の精神状態もおかしくなり始めていました。


毎日眉間に皺を寄せて掃除をし、当然ロビンに向ける目つきも険しくなっていました。

最初に猫自身が糞尿まみれになった時、すぐ風呂に入れて洗ってあげたものの、小一時間ですぐまた元の糞尿まみれになってからもう風呂に入れる事もなくなり、ペット用の身体拭きシートだけで済ますようになりました。

それ以来もう撫でる事もなくなりました。


最終的には私が放った暴言プラス心底死んで欲しいと願ってしまった念を感じ取りロビンはこの生活から私を解放させたいと死を選んだのだと思います。












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