お嬢様に朝ごはんを作ってもらう
「あら、純のお部屋素敵だわ。綺麗だし、住みごごちもとても良さそう」
「まあ一人暮らししてちょっと余裕がある感じがいいかなって思ったから」
ノアは俺の家を探索しながら、色々と感想を言ってくれる。それに今のところ綺麗にしておいたからかボロが出てないし。ふう……これなら特に問題は起こらないかな。
「ふーん、えろ本ねーじゃん」
「な、ないですから!」
佐野さんが俺のえろ本探そうとしているところだけは不安要素だけど。だけど俺が隠した掛け布団のシーツの中まで目が行くとは思えない。よし、完璧だ。
「あ、そういえば純。朝ごはんは食べたかしら?」
「いや、まだだよ。そういえばそんな時間か」
片付けに必死で一切時計とか見てなかった。ふと時計を見てみると、もう7時をとっくに過ぎていて朝ごはん時の時間だし……お腹も少し空いてきたな。
「なら私が作ってあげるわ! ほら、エプロンも持ってきたのよ!」
ノアはそう言って持ってきた袋の中からエプロンを取り出す。ま、まさかノアのエプロン姿を見れて、しかも朝ごはんまで作ってもらえるってことなのか!? や、やばくないかこれ……俺、幸せ者すぎないか!?
「あ、ありがとう! そ、それじゃあ食材は俺の家の冷蔵庫を使っていいから」
「わかったわ。それじゃあ遠慮なく使わしてもら……あら? 純、なんだか冷蔵庫に何も入っていないみたいだけど……」
「……あー!」
し、しまった! 最近忙しくて買い物に行けなかったから、今冷蔵庫に何にも入ってないんだった! やべえ……これじゃあせっかくノアに朝ごはん作ってもらえるチャンスをみすみすと逃してしまう……。
い、今すぐ食材を買ってくるしかないか! あ、でもこの時間空いてるスーパーあったっけ……いや遠くても行けばいいんだよ! ちょうどこの前買ったチャリも届いてるんだから!
「ま、そうだと思って食材、持ってきておいたぞ」
「……さ、佐野さん……」
どうやら神はここにいたらしい。佐野さんは持ってきた袋から食材を取り出す。おお、これだけあれば朝ごはんも昼ごはんも夜ご飯も問題なさそうだ。よかった……佐野さん邪魔だなあなんて思っちゃって申し訳ない。
「さすがヒカル! さて、それじゃあ朝ごはんを作るから、二人ともちょっと待ってて」
そう言ってノアはエプロンを着て、早速調理場に向かっていった。花柄の可愛いエプロンはとてもノアに似合っていて、それに……なんだかエっな雰囲気もある。って俺はなんでこんな情けないこと思ってんだよ!
「エロいなーお嬢様のエプロン姿」
あ、でも佐野さんも同じようなこと思ってた。いや、この人は破天荒なだけだから参考にしちゃダメだな。
「にしてもこの……付き合いやがってよ! この、この!」
「ちょ、佐野さんべしべし背中叩かないでください。割と痛いですから」
「痛くしてんだよ。おら、おら!」
「ええ!? も、もしかして実は俺たちが付き合うのに反対だったとかなんですか!?」
「んなわけねーだろ。二人の幸せを願ってなきゃあんな手伝ったりしねーよ。ただな、失ったものも大きいんだ」
「へ?」
「こっちの話。んじゃあーしは隅で二度寝してるわ。ご飯できたら……まあ好きなタイミングで呼んでくれ」
「だらけてますね……」
「お屋敷にいたら二度寝なんてできねーからな。これぐらいさせろ」
そういって佐野さんは持参した寝袋を床に敷いて寝だした。……ま、いっか。佐野さんも疲れているだろうし、俺とノアがなるだけ二人っきりになれるよう気を聞かせてくれたのかもしれないし。
「ねえ純、少し味見してくれるかしら?」
「も、もちろん!」
それから少し経った後、ノアは俺に味見をしてほしいと依頼する。もちろん断る理由なんてないので俺は台所にいって、ノアのところに行く。
「これ、うまくできたか自信がなくて……」
「こ、これは……」
そこにあったのは食べ物なのかと疑いの目をかけたくなる何か。……そういえばノア、前に弁当を食べさせてもらった時もすごい色したやつだったな。だけどあの時はすごく美味しく食べれたし……今回も大丈夫だろう。
「じゃ、じゃあ食べるね」
というわけで俺はノアが作った料理を食べる。………………うん。
「やっぱりノアの作った料理は美味しい!」
まじでその通り。見た目はアレだけど、それに臆せず食べるだけの価値は十分ある。それぐらいこの料理は美味しかった。ただ、見た目はやばいけど。
「よかったわ! じゃあ……もっと食べて、アーン」
「!」
それからノアはお箸で料理をとって、俺に食べさせてくれた。しかも天使のような笑顔付き。エプロン姿もついてるな。なんかこれ……。
「……新婚夫婦みたい」
「!? じゅ、純……」
「……あ! こ、声に出てた!? ご、ごめん……」
し、しまった。つい声に出してしまった。いくら結婚を前提に一緒にいるとはいえど……これはさすがにやらかしたんじゃないか?
「謝ることなんてないわ! 純がそう思ってくれて私とっても嬉しい! もっと食べて、はい、アーン」
なんてことは杞憂だった。ノアはすごく嬉しそうにして、もっと俺にご飯を食べさせようとしてくれる。
「アーン!」
そして俺もたくさん食べた。ここが台所であることなんて全く気にせず、多分普段の朝ごはんの倍ぐらいは食べてるんじゃないか?
「……イチャイチャしてんなー」
と、佐野さんがそういうまで……俺たちは二人の世界に入っていた。
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