ディ●ニーでの食事
「わあ! ねえ純、このパンケーキ写真で見るよりも可愛くて美味しそうだわ!」
「ほんとだ、これはすごいね」
写真を撮り終わったあと、俺たちは予め予約しておいたレストランに行ってお昼ご飯を食べている。お嬢様はTHEオシャレって感じのパンケーキを注文して、俺はステーキ。……いや、腹減ったんだよ。
「純、アーン」
「え!? い、いやノアが注文したんだし……ノアが全部食べなよ」
お嬢様はなんのためらいもなく俺にパンケーキを食べさせようとする。初めてではないとはいえ、こういった場でこれするのは如何なものかと思い、つい断ってしまう。
「私は純にも食べて欲しいの。それに今日は純のためのお祝いなんだから」
だけど俺が断ったぐらいじゃお嬢様が引くわけがない。俺に目と言葉で気持ちを訴えてきて、俺のハートがドキドキしてしまい……。
「う……。じゃ、じゃあ」
俺は屈してお嬢様にパンケーキを食べさせてもらった。ああ、元々パンケーキが美味しいのもあるんだろうけど、お嬢様に食べさせてもらってるからさらに美味しい。
「うふふっ。美味しそうに食べて可愛いわ純」
「!? あ、ありがと……」
しかも食べてる姿褒められたし。最高だ……!
「それにしても、今日は本当に楽しい1日ね。予想をはるかに上回ってるわ」
「俺もだよ。初めてだから少しドキドキしてたけど……こんなに楽しいなんて。ノア、本当にありがとう!」
「!? ……じゅ、純のためだもの……これぐらい、大したことないわ」
あれ、珍しくお嬢様が恥ずかしそうにしてる。いつもなら自信満々に受け取るのに。でもまあ、お嬢様にだってそういう時はあるか。
「……ねえ、純。一つ聞いてもいい?」
「ん?」
「……純は、私のことどう思ってるの?」
「……え?」
そう聞かれて、俺は思わず手を止めてしまう。お嬢様が恥ずかしそうに、だけど真剣な眼差しで俺にそう問いかけてきたのだから。そりゃあ……答えは決まってる。この世で一番愛してるって。
だけどそれは言えない。俺はお嬢様とそんな仲になれるような人間じゃない。この人は……もっと立派な人と幸せになるべきだから。
「……一番の仲がいい友達……だと思ってるよ」
だから俺はごまかした。それでもお嬢様が俺と一番仲がいい友達っても贅沢な話だけど。
「……そう。私はね……純……」
「私は……?」
その返答に何か煮えきらないものをお嬢様は感じたようだが、俺にそれをいうことはなく次に自分の考えを伝えようとしてくれる。……でも前にもお嬢様が言ってた通り、俺たちは仲がいい友達だよ……な?
「………………それは終わったあというわ! まずはディ●ニーを楽しむことが先決よ!」
「……あ、うん」
何かいうのを躊躇ったのか、お嬢様は俺に何か誤魔化して話を強引に終わらせた。俺も聞く度胸なんてなかったから、そのまま美味しいご飯を食べる時間が続く。
「美味しかったわ。またいつか来たいわね。……」
「そうだね。……あ、行ってきていいよ。お金払っとくから」
ご飯を食べ終わってお会計をしようとした時、お嬢様が何やらモジモジとしてたので、多分トイレだと察した俺は何がとは言わずに行ってきていいと言う。
「え……でも純にお金を払ってもらうわけには……」
「いいよ、これはノアが一位をとったお祝い」
「……純! ……じゃ、じゃあ……行ってくるわ」
結構近かったっぽいようで、お嬢様は駆け足でトイレに向かう。でも珍しいな、お嬢様のあんな姿見たことないや。……って何を思ってるんだ俺は。さっさとお会計済ませよ。
そんなわけで俺はお会計するためレジに向かう。その頃、お嬢様の身が危険に晒されていることなど、知ることもなく。
★★★
「私のバカバカバカ……」
誰もいないトイレの中で、私はつい小声で呟いてしまう。さっき、言えたら純に言おうかと思ったけど……言えなかった。それどころか、怖気付いて私はごまかしてしまった。まだどこか純との距離がある気がしたから。
「……このままじゃ、いつまでも言えないわ……」
でもその距離を縮めないといつまでも好きだって言えない。こんなに楽しい時間を純と過ごせてるのに……。言おうとしたら緊張して、純に情けないところ見せちゃったし。
「……あんまり待たせちゃダメよね。行かないと」
いつまでもグダグダと行っても仕方ない。それに純との楽しい時間は少しでも多く味わいたいもの。だから私は意を決してトイレから出る。すると……
「……え?」
「八条ノア様。大人しく我々についてきてください」
いつの間にか、私は数名の女性たちに包囲されていた。一体この人たちは……と思ってよく見てみると、見覚えのあるマークが見えた。ああ、そういうこと。
「六条家の手下ね。相変わらず姑息な手段を使って……。いやよ、私は純と遊ぶの」
「我々も柚様の命令に背くわけにはいきませんので。失礼」
「うっ……」
逃げようとした私に、奴らは睡眠ガスを浴びせて私を眠らせる。どんなに抵抗しようとしても、体は言うことを聞かず意識が遠のいていく……。
「……じゅ、純……助け……て」
――――――――――――
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