ディ●ニー当日


 「わあ……す、すごいわ純! 本当に夢の中に来たみたい!」


 「ほんと……すげえ」


 長い移動時間をかけて、ようやく目的地のディ●ニーについた俺たちは、圧倒的な世界観を前に感激してしまった。なんだろう、写真とか映像では結構見てきた光景ではあるけど……こうして生で見るのは違う。迫力がすごい。


 「私、もうワクワクが止まらないわ! さあ純、早速思いっきり楽しみましょう!」


 お嬢様は俺の手を握って走り出す。すごく楽しそうに、純粋無垢な笑顔しているお嬢様は本当に素敵で俺はドキドキしてしまうけど……。


 「う、うん!」


 かくいう俺も楽しみすぎて笑顔が溢れてる気がする。そんな幸せオーラ全開で俺たちは色んなテーマパークを回っていく。予め計画していたものもいくつかあるけど、いざ来てみると色んなところをついつい巡ってしまう。


 「ねえ純、次はあれ乗りましょう!」


 「あれは……ジェットコースター!?」


 そして次にお嬢様が行きたいと言った場所は有名なジェットコースターだった。……や、やっぱ逃れられないかこれは。実はこれなるべく乗らないようやんわりと避ける計画にしたけど……まあ、お嬢様と一緒にいて計画通りになるわけがない。


 「行きましょ行きましょ!」


 それにお嬢様めちゃくちゃ楽しみにしてるし。……恐怖で悲鳴をあげてる情けない姿を見せたくなかったけど、ここで男見せればいいだけじゃないか! よし、乗ってやるぞ俺!


 「ああ、行こうノア!」


 それから。


 「……はあ、はあ……」


 「うふふ、とっても楽しかったわ。それに純がいっぱい悲鳴あげてる姿、可愛かったし」


 「う……」


 俺は男らしい姿を見せるどころかお嬢様に痴態を思いっきり晒してしまった。いや、マジで怖かったんだよ。なんなんあれ、高速でギュンギュン動いて……悲鳴あげるに決まってる! 


 ……でもお嬢様が楽しそうにしてるからいっか。


 「じゃあ次はあれに乗りましょう!」


 「え……」


 でもお嬢様よほど気に入ったんだろうなジェットコースター。今度は別の種類のやつに乗りたそうにしているよ。……よし、次こと怖がらずにお嬢様にかっこいいところ見せてやろうじゃないか!


 「……ひー……ひー」


 やっぱ怖かった。でも……。


 「ふふっ。これも楽しかったわ。純はどうだった?」


 「……まあ、怖かったけど……楽しかった」


 そう、今度は割と楽しめた。怖かったけど。


 「それは良かったわ! じゃあ次は……あ、写真撮りましょう!」


 「写真? ああ、あそこで撮るってこと?」


 「そう!」


 次に俺たちはあるスポットで写真を撮ることにした。わお、桃原さんがめっちゃ人気の場所って言ってたけど、想像以上に人がたくさんいるなあ。


 「いっぱい人がいるわね……あ、でもあそこなら上手く撮れるんじゃないかしら?」


 「確かに。それじゃああそこで……あ、でも誰かに撮ってもらわないと……」


 自撮りって手もあるがそれだと上手く背景が映らないから、誰か他の人にシャッター押してもらいたいんだが……誰か撮ってくれる人はいるかな。


 「良ければ、写真撮りましょうか?」


 と、悩んでいると親切な人がいるもので爽やかな女性の方が写真を撮ってくれると申し出てくれた。なんてついてるんだ。


 「ありがとうございます! それじゃあお願いしていいですか?」


 「ええ。それじゃあスマホを……あ、そちらの彼女さんのスマホで撮りますか?」


 「か、彼女じゃ……」


 「そ、そうよ。ま、まだ彼女じゃ」


 ついノアのことを彼女と言われて、俺ら二人とも動じてしまう。……なんか、またまだって聞こえた気がするし。それぐらい俺は動じちゃったのかな。


 「あはは、可愛いですね二人とも。でもそちらの女の子のスマホで撮った方がいいのかなあって思ったので」


 「……じゃ、じゃあ、お願いします」


 「はい、えーっと、ちょっと待ってくださいね……よし、準備できた。それじゃ、お二人並んでくださーい」


 ノアがスマホを女の人に渡して、俺たちは二人並んで写真を撮る体制になる。……な、なんか緊張するなこれ。初めてお嬢様と二人っきりで写真撮るからか?


 「はいチーズ」


 「……」


 「っ!?」


 そしてシャッターが切られる直前に、お嬢様は俺の腕をぎゅっとしてこちらに寄った状態で写真が撮られてしまった。


 「の、ノア!?」


 「……つい、しちゃったわ。でもこうやってした方が、仲がいい感じがするでしょ?」


 「……ま、まあ」


 それは間違いないけど……。……でも、満更でもない俺がいる。


 「それじゃあスマホお返ししますね。お二人とも、素敵な時間を過ごしてください!」


 「あ、ありがとうございます!」


 女性の方はお嬢様にスマホを返して足早にその場を去っていった。あ、もっとお礼とか言いたかったんだけど……向こうも忙しいか。


 「いい写真ね。これ、私の家宝にするわ」


 「え、それは大げさじゃ」


 「……じゅ、純はそうじゃないの……?」


 「!? も、もちろん家宝級の価値だよ!」


 よほど俺とのツーショット写真が嬉しかったんだろう。お嬢様は家宝級といって写真をじっと見てる。……それぐらい喜んでもらえるのは、俺にとってもこれ以上ない幸せだ。


 「……さて。それじゃあ次はご飯を食べに行きましょう!」


 「あ、もうそんな時間か。じゃあ桃原さんにオススメされたところ行ってみよう」


 「ええ!」


 そして俺らは次にランチを食べに行った。


 「……ええ。ターゲットのスマホにちゃんとつけておいたわ。……ええ、へまするんじゃないわよ」


 その時……お嬢様を狙った連中の策にはまってしまったことを、知らずに。


  ――――――――――――

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