お嬢様とラインを使った会話
今日は土曜日。学校が休みの日だ。と言うことはつまり……お嬢様と会えない日ってこと。正直辛い、休みなんていいから会いたい気持ちが強い。けど……元々俺はお嬢様断ちをするために執事をやめたんだ、何を今更。
……よし、気晴らしに筋トレでもしてよ。お嬢様に見られて恥ずかしくない肉体になるためにも……ってここでもお嬢様のことを考えてしまう! もうだめだ俺……無心になるためにも腹筋1,000回するぞ!
そんなわけで俺は腹筋を始めたわけだが……何やらスマホがピコンと鳴る音が聞こえてきた。はて、一体なんだろう。連絡が来るような人はあんまりいないし……また佐野さんが変な写真を送ってきたのか?
とりあえず俺は一旦腹筋をやめてスマホを見る。すると通知欄には……
【今何してる?】
とお嬢様からラインがきていた。……そうか、あんな形とはいえ俺お嬢様と連絡先を交換したんだった。……でも随分といきなりと言うか、これ、なんて返信すればいいんだ?
[お嬢様のことを気にしないため筋トレしてました!]
なんて馬鹿正直に言うわけにもいかないし。
[筋トレをしてました!]
なんてちょっと誤魔化しても朝から筋トレとかむさ苦しいと思われるかもしれないし。
[今起きました!]
なんて嘘をついてもだらしのないやつだと思われかねない。
クッソ……なんて返信すればお嬢様にもっとも印象良くできるんだあ!
考えても考えても答えは出ず一向に返信はできない。トーク画面を開いてないから既読はついてないはずだけど……それはそれでお嬢様をお待たせしてるようでよくない! ああもう八方塞がりだこの状況!
「……え」
俺がそんな風にあたふたしている時、スマホがブーブーと鳴り出す。も、もしかして……あーやっぱり! お嬢様からラインで電話が来てしまった!
え、これってもしかして返信しないことにしびれを切らしてお嬢様が電話をしてきたってこと……?
こ、これはさすがに出ないとまずい!
「も、もしもし……あれ、これビデオ通話……なんで佐野さん?」
スマホをとって電話に出ると、ビデオ通話ということで見覚えのあるお嬢様の部屋が見えたのだが……顔が映ったのはなぜか佐野さん。もしかしていたずら? でもアカウントはお嬢様のだし……。
「いや……そこにいるんだけどさ。ちょっと一旦切るわ。次も絶対でろよ」
そう言い残すと佐野さんは一方的に通話を切ってきた。そこにいるって……お嬢様に何かあったということかな? あ、かかってきた。
「おはよう純」
今度はちゃんとお嬢様の顔が映った。はあ、画面越しでもお美しいな。……あれ、でもなんか少し頰が赤くなってる気がするけど……気のせいか?
いや、今は返事をする方が先だ。
「お、おはようノア」
スマホを持つ手をプルプルさせながら俺はなんとか返事をする。やばいな、きっと向こうでは揺れまくって俺の変な顔が写ってるかもしれない。お嬢様にそんな醜態を見せてしまうのかよ……ああもう!
「今日は何をしていたのかしら?」
「え!? きょ、今日は……筋トレを少し」
「そうなの……さすがね純」
画面越しでもお美しくて可愛いお嬢様とこんな風に会話するのは初めてだからか、俺はガチガチの状態。方やお嬢様は相変わらず落ち着いた雰囲気。はあ……情けねーな俺。
「それでね純。今日はこの後時間があるかしら?」
「こ、この後? ……う、うん。あるよ」
むしろ有り余ってます。
「あら、それは良かった。昨日ね、セバスから映画のチケットをもらったからよければ一緒に行かない?」
「え、映画……!」
お嬢様と一緒に映画って……それってデートみたいなものじゃないか! ……お嬢様断ちするって決めてる身でこんなことをいうのはよくないとは思うけど。
めっちゃ行きたい。
「も、もちろん! ぜ、ぜひ!」
だから即承諾した。
「それじゃあお昼の後に行きましょうか。場所は後でラインで送るわね。楽しみにしてるわ」
「う、うん! そ、それじゃあまた後で!」
そうして俺たちは通話を終える。……やっベーお嬢様と一緒に映画……楽しみにならない訳が無い。
「……よし! 今から身だしなみを整えるぞ!」
そんなわけで俺は鏡の前に行き、髪とかを整え始めた。もちろんやり方は全然知らないので、ユーチューブの動画を見ながらだけど!
一方ノアは……。
「……さ、誘えたわヒカル!」
通話を終えた後、ノアは呼吸を切らしながらベットで転がりまわっていた。
「よく言えましたねお嬢様」
それを微笑ましくヒカルは見つつ、デートでノアが着る服を用意する。
(ま、お嬢様ビビりながら頑張ってたし……楽しみの邪魔までしちゃわりーからな。お嬢様の魅力を引き出す服を選ぶとするか)
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