第28話 それぞれのテスト結果①

 今日はテスト返しがある。

 先週は期末試験で大変だったが、今日返されるテストの点数によってはその大変だったことも報われるだろう。

 俺はドキドキしながら教科担任に呼ばれるのを待つ。

 ––––いい点数取れているといいけどなぁ。

 そんなことを考えながら、俺は各授業時間にテスト用紙の返却を受け取った。



 放課後。

 

「亮介くん、テストどうだった?」


 ニコニコスマイルが爽やかな一見女子と間違えそうになってしまう俺の親友が近寄って来た。

 俺は自分の席でいかにも魂が抜けたかのようにだらけきった感じになっている。


「なんだ。結花か」


「な、なんか、随分な変わりようだね……目が死んでるよ」


 そう言って、結花は苦笑いを浮かべる。


「その様子だと、テストの方は敗北したみたいだね」


「ああ、よく分かったな」


「亮介くんの表情を見れば、ね……」


「そういう結花はどうだったんだ?」


「僕は、まずまずと言ったところかな?」


「まずまずねぇ……」


「うん、良くも悪くもないって感じかな」


「じゃあ、平均点も超えてるってことか?」


「うん、まぁそういうことになるね」


 俺は残念ながらいくつか平均点以下を取ってしまった。

 幸いと言っていいのだろうか……赤点こそは取らなかったが、それにしても酷くないか? 今回のテスト。

 予めここら辺が出るぞという指定はされていたのだが、今回に限っては問題自体が捻くれているものがどの教科でもあった。

 特に数学とかは難しすぎ! 一時期は赤点を覚悟したくらいだ。 

 でも、数学は得意分野だから今まで習った公式などを当てはめてなんとかなったものの、他が壊滅状態。

 高校に進学して、一番の最悪な成績になっていると思う。


「亮介くんの言いたいことは分かるよ。僕も実際は本当に危なかったからね」


「だけど、いつも通りの成績なんだろ?」


「うん、まぁギリギリなんだけどね」


 結花でギリギリとなると、今回は本当に難しかったことが伺える。

 と言っても、二年に進級してからは教科担任もほぼ全員代わってしまっているし、今回についてはどういう風に出題されるのか、その傾向が分かっただけでもよしとするか。


「赤点を取らなかった分、幸運と思った方がいいかもね」


「そうだな。じゃあ、あーちゃんと舞が待ってると思うから先に帰るわ」


「うん、またね」


 俺は帰りの支度を素早く済ませると、すぐにカバンを手に取って教室を出た。

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