第3話 企業とうつ病①-うつ病の判断基準

 健康な人間であっても、やはり気分の浮き沈みがある。気分が良い時と、今日は気が滅入って病んでいるな、などと感じる事もある。その気分の抑揚の振れ幅が大きかったり、長期にわたり気の沈みが続くというのが、自覚症状として現れ、心療内科や精神科に受診するきっかけとなる事が多い。

 現在はストレスチェックが厚生労働省より実施することが企業に義務化された(労働安全衛生法第66条)ので、そこで気づくこともあるだろう。しかし、ストレスチェックで、「すぐ専門の医療機関でメンタル受診をするように」、という結果がでても、法的拘束力はないので、企業も見て見ぬふりをする場合も散見される。職場や家族など、周りの人たちが、様子がおかしいと気づいて、やっと受診する方もいる。

 ストレスチェックについてもっと言えば、メンタルがどんなに悪い結果であっても(高ストレス者)、医師の面接指導は本人の“同意”が必要である。また、本人の同意がなければ、会社も結果を入手することはない。ストレスチェックするに際しては「同意欄」があるのだが、本人が同意した場合に限り、会社に結果が報告され、今後の健康管理目的に使用する、とされている。

 会社に相談=うつ病(脱落者扱い)の公開処刑を受けるのを知り、同意する人がどれだけいるだろうか…?会社も健康管理目的といえば聞こえはよいが、軽負荷の労働ポストがそれほどある訳でもない。国の対策とは裏腹に、企業によっては受け入れ態勢や、制度自体が全く機能していないのが実情である。

 さて、うつ病のといっても、気分が憂うつである症状全般を一括りに表されているので、要因やその人の性格などなど、一人一人違う。一般的な人の気分の抑揚と、うつ病、そして双極性障害Ⅱ型(うつ状態が長く、軽躁状態もたまに発現)などの区別は、長期間専門医に診察してもらわないと判断は難しい。投薬治療で改善する場合もあるし、そうでない場合もある。

 一般的にうつ病診断イコールすぐ休職させてゆっくりさせる、という会社が多いが、それも一概に休ませればよいというものではなく、私のように少しでも仕事を続けられた方がうつを悪化させる事が無かったと推測される場合もある。

 まずは、不眠など身体に少しでも違和感を覚えるようであれば、専門医に診てもらうのが良いだろう。本当に仕事に手が付かなくなってしまったり、自死したくなってからでは、私のようにこじれてしまい、長期戦となってしまうかも知れない。

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