Flase loyalty

背の高い小人

エピローグ 再生#1

私は死ぬ。天空に太陽は狂い輝き、目を灼き潰す。私は叫ぶ、「太陽はまさか断行するまい」と。太陽は断行する。ジョルジュ・バタイユ『内的体験』


 第二次大戦後、列強3国によって行われた会談によって世界、ドイツは2つに分断された。共産圏ソビエト陣営、民主圏アメリカ陣営または第3諸国を名乗る国々が生まれ世界は一触即発の状態が停滞する冷戦時代に突入した。だがある日、新たなアメリカ大統領が誕生し、敵国ソビエトとの協調的な外交により両国首脳による平和会談が実現することとなった。これは冷戦を終わらせる大きな一歩であると諸国は報道し誰もが冷戦終結を成し遂げると確信していたのであった。


 6ヶ月前

 アメリカ合衆国テキサス州フォート・ノックス

 月明りが夜道を照らしあたりは昼間のように明るかった。そこに黒塗りのキャデラックが2台立て並びに走行していた。

「なぜこんな忙しいときにこの私が招集されないといけない。本当にすぐ終わるんだろうな」

 髪を右から左に固め、しわ一つとないスーツを着た彼は鼻につんと来るたばこを吐き出しながら云った

「お忙しいところ大変恐縮ですが大統領、いくつか国会機密を承知いただく必要があります」

「核のコードよりも優先すべきことか」

「このあと告知がありますのでご安心を」

 軍人との会話特に幹部となれば職業も考え方も違うためいくつか世間話があったものの会話がなかなか続かなかった。

 彼がちょうどたばこを一本吸い終わったころに車が止まった。

「到着いたしました。大統領、フォート・ノックスです」

 スモークが濃くかかった窓ガラスを下げ、周りを見渡した。

 車は検問所で止められているようだった。

「大統領!!就任おめでとうございます!」

 M4カービン銃を肩から下げた軍人たちが敬礼をむけた。

 彼は右手を上げ直るように促すとすぐに車は動き出した。

「これが国の長に対する対応なんだな」

 窓から頭を戻し窓を閉めながら云った。

 

 エピローグ 再起#2につづく


 

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