039「腐り姫と鉄の城」/遠森 倖さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881423730
どうしてこの小説の星が少ないのか、本気で意味が分からない。
少数派? 私がおもしろいと思うのは、そんなにマニアックな作品なの?
いや絶対違うと思うんだけど……! どなたか読んで、感想を教えてもらえませんか!
自主企画「チート無し系の異世界モノが見たい」参加作品の中から見つけました。
https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054894814013
この小説は、参加作品一覧を辿っていった一番最後のページの一番下にありました。選んだ理由はタグの並びです。一番地雷を踏む確率が低そうだったので。タイトルとキャッチコピーもいい感じ。
トップページを覗いてみれば、実に好みのしっかりしたあらすじが!
これは読める、と踏んでプロローグに飛んだら、本気の一気読みでした。いやほんっと、伏線回収も超ばっちり系の読み応えで、大変におもしろかったです。
◆
タグにはありませんでしたが、異能バトルものでもあります。
主人公フォルトが好みのタイプのパターンでした。飄々として頭の回転が速くて、若いのに人生いろいろ抱えてて心に傷を持ってる系です。いいねいいね。超好き。
あらすじにもある通り、フォルトは巨乳の僕っ子訳アリ王妃のお付きの騎士に抜擢されます。
王妃の訳アリの「訳」がネクロマンサーである、というのは大きなポイントですが、それを取り巻く故郷の事情や、国王との関係、唯一にして絶大な能力ゆえの超絶な孤独感がものすごく切ないのです。ご本人はぽやんとして、一人称「僕」という不思議ちゃん。知れば知るほどハマっていく魅力のあるタイプです。
フォルトの前任者エピソードも泣けました……。
しかし私が一番泣いてしまったのは、フォルト自身の家族のエピソードです。
フォルトは没落貴族で、一族の再興を願って出世の為ならばなんでもやってやる、というド根性の持ち主。
なぜフォルトの一族は没落してしまったのか。領地は、家族は、そして今は。
その辺りは第2章にあります。
容赦なく抉ってきます。小説でここまで心を抉ってくるものを読んだのは、久しぶりでした。思い返しても泣いちゃうので、心が弱っているときの読み返しは危険。
◆
どうして国王が、辺境の村で静かに暮らしていたアイビスをわざわざ探し出して、王妃にと望んだのか。
これがねえ! 国王め! ほんっと嫌らしくて‼ 殴ってやりたいほどの嫌悪感! アイビスが健気なのがまた辛い。
王家周辺のいざこざがまた、伏線も絡まり方もえげつない。
フォルトの盟友シエルもまたニクイ立場で、終盤の見せ場は大変に熱かったです。
そんなシリアスの中、ウィズダムちゃんの登場シーンは印象深いです。彼女は大変にキャラが立っていて、登場するとなごみます。元気いっぱいの「~~っす」という口調が特徴で、その実凄腕の刀鍛冶職人です。
いいよね、こういう脇役。職人気質なキャラは大好きです。
◆
12万文字強、全50話。
こんなにおもしろい小説があまり読まれないのは、流行ものではないから、なんでしょうかね……。世知辛いわ……。
とにかく、とにかくおもしろかったんです!
私の感覚が少数派でないことを、どなたか証明してほしいです。
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