10.橋姫『平家物語』「剣巻」
今回は、現在の宇治の橋姫イメージを形作った、平家物語「剣巻」を読んでいきます。
前回とは大きく異なり、今回の橋姫は完全な嫉妬の鬼です。頭の輪に火をつけた典型的な「丑の刻参り」の姿は、この話を土台にした室町時代の能楽「鉄輪」を中心に広まっていきます 。
「剣巻」は平家物語の中でも位置づけが特殊な話で、伝わった系統によって載っていなかったり載っていたり別冊になっていたりします 。
頼光四天王の渡辺綱を筆頭に、陰陽師安倍晴明、鬼の住処「大江山」など、ザ・平安な舞台設定で、キャラクター性の強い話と言えるでしょう。
鬼に変えてもらう前から、姿を見ただけで人が耐えられない。嫉妬に沈んだ人間は神の手を加えずとも、もはや鬼である、ということかもしれませんね。結局橋姫は倒されず、切った腕を処理するのすら大変。嫉妬の鬼はもはや仏法でも成仏させられない、実に御しがたい存在と捉えられていた のでしょうか。
(現代語訳・古文に続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます