【BL・異世界・シリアス・人外】首輪なんか、なくたって
【朴念仁な漁師×可愛い系半獣】
小さな島で暮らす漁師、アダン。
ある日、彼は浜辺に流れ着いた半獣の少年を拾う。
遠い北国では半獣が虐げられ、殺される者もいるという。
その事実を知ったとき、少年は言う。
「アダンさん、僕を恋人にして」と。
※直接的な描写はありませんが、性行為を連想させる描写が含まれています。
※残酷な描写・暴力行為を連想させる描写が含まれています。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※この物語は、残酷な行為や暴力行為を容認・推奨するものではありません。
※この物語は、差別を容認・推奨するものではありません。
※この物語は、特定の個人・人種・民族・国民などを差別するものではありません。
ノベルアップ+にも同じ作品を掲載しています。
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―――――――
01.流れ着く半獣
それは、たしかに獣の毛だった。
秋の落葉のような、くすんだブラウン。
海水にさらされたのであろうそれは、じっとり濡れていた。
かなり大きなかたまりだ。
大きな獣の死骸かと思ったが、近づいてよく見れば、人間と変わらない真っ直ぐな背筋と長い四肢、それから細長い指があることに気付いた。
「……
額に浮かんだ汗をぐいと拭い、アダンは呟く。
空に浮かぶ太陽が容赦なく照りつけている。
海岸を見渡せば、波打ち際にいくつもの死骸が転がっている光景が見えた。いずれも半獣のようだ。おそらく、昨晩の嵐が運んできたのだろう。
そういえば、海を越えた遥か向こうにある国で紛争が起きているらしいと聞いた。
棲家を失った半獣たちが船に乗って逃げようとしたのだろうか。それでも、あの嵐の中では、
潮風が、日に焼けたアダンの肌を
今日はやけに海の遠鳴りがうるさい。
干からびた海洋生物の臭いに混じって、どろりと鼻にまとわりつく刺激臭が漂ってくる。どうやら半獣たちの死骸のいくつかはすでに腐り始めているようだ。早いところ埋めてやらなくてはならない。
手始めに、目の前の半獣を抱えると、その身体は拍子抜けするほど簡単に持ち上がってしまった。まだ子どもだったのだろう。
そして、てっきり死骸だとばかり思っていたその身体には、わずかな温もりが残っていた。
02.毒は入っていない
シュンシュンと音を立て、ケトルが湯気を吐き出している。
アダンはそれを火から降ろし、茶葉を粗雑に放り込んだ。頃合いを見てカップに茶を注げば、トポトポトポという軽い音が部屋の中に響く。そこから立ち昇る湯気の向こうには、先日海岸で拾った半獣の姿がある。
彼はアダンのベッドを占領したまま、もう四日間も目を覚まさない。息をしてはいるが、脈は弱々しい。もっとも、半獣の正常な脈をアダンは知らない。
――さて、どうしたものか。
髭面をなで回し、ううむと唸る。
この小さな村には医者などおらず、アダン自身も何年も医者にかかったことはない。
性別がオスであることは、濡れた服を脱がせるときに確認した。
十四、五歳。あるいはもっと上だろうか。半獣は実年齢よりも幼く見えると聞いたことがある。
身体のほとんどを覆う分厚い体毛、鼻先が突き出た顔の形、頭の上部に生えている耳、ふさふさした尻尾などは、犬を思わせる。かと思えば、身体つきは人間とよく似ていた。足先は獣のそれだが、手は人間に近い。肉球はなく、指先は長く5本に別れていて、毛が生えておらず皮膚が見えている。
今日は風が穏やかだ。
アダンはほどよく温くなった茶を飲み干し、シャツを脱いで椅子の背もたれにかけた。日によく焼けた褐色の肌が露わになる。ざっくりと束ねた髪は、もとは黒かったが今では潮風にさらされてすっかり褪せている。
漁に出る支度をしていると、少年がもぞもぞと動いた。
「よう。目が覚めたか」
ぼんやりと天井を見つめる少年に声をかける。
彼はアダンを見て一瞬びくりと身体を震わせ、警戒するように尋ねた。
「……ここは、どこですか?」
たどたどしくはあるが、どうやら言葉は通じるようだ。
「ここはアムニミっていうちっぽけな島だ。お前は海岸に流れ着いて、俺が拾った。もう四日間も眠ってたんだぜ」
「他の人たちは……」
「生きてたのはお前だけだったな」
「そう、ですか……」
か細い声でそう返すと、少年は黙って毛布を握りしめた。
その手がわずかに震えている。
瞳は凪いだ夜の海のように
――こいつが乗ってきた船には、家族もいたのかもしれないな。
アダンはちらりとそんなことを考えたが、詮索するつもりもない。
「俺はアダンという。ここで漁師をしている。お前は?」
「……ヨッヘルトといいます」
「ヨッヘルト、か」
「はい。……あの、アダンさんは……人間ですか?」
おずおずと尋ねられ、アダンは肩をすくめる。
まさか、トンビやタコに見えるわけでもあるまい。
「見ての通りだ」
ケトルを片付けると、アダンは夕食の残りが入った鍋を火にくべた。
中身は、魚のすり身を丸めて野菜と煮込んだスープだ。野菜は一昨日に市場で魚と交換してきた。
ほどよく温まったところで、それを木椀によそい出してやる。
「こんなものしかないが、食うといい」
ヨッヘルトと名乗った少年は警戒するように木椀へ視線を落とす。
だが、匂いに反応したのか、その鼻先はわずかに動いていた。尻尾までもが揺れ動いている。どうやら、手をつける気にもならないほどまずそうだというわけではないらしい。
「味の保証はできないが、毒なんぞ入れたつもりはないぜ」
そう言ってアダンは同じものを鍋からよそい、ヨッヘルトの正面にどかりと座って食べ始めた。魚のうま味と野菜の甘みが混じり合って、まあまあ悪くない味だ。
しばらくアダンの様子を見つめていた少年は、ようやくスプーンを手に取り、スープに手をつけた。
どうやら口に合ったらしい。嬉しそうに尻尾が揺れている。
アダンも思わず口元を緩めた。
03.命がけで海を越えて
嵐が去って七日が過ぎた。
アダンはひさしぶりに集落を訪れていた。今日は市が立つ日だ。
ここでは周辺の村から人々が集まり、海産物や農産物や日用品なんかを持ち寄る。貨幣は流通しておらず、すべて交渉による物々交換だ。
ざっと辺りを見回すが、やはり半獣の姿はない。
そもそもこのちっぽけな島にやってくる者はあまりいない。半獣がいるのはもっと大きな国だ。
日用品店の前に来ると、気心の知れた店の親父が話しかけてきた。
「おやアダン。今日はずいぶんたくさん魚を持ってきたんだな。大漁なのはいいことだ。おお、ナマコの干物まであるじゃないか」
干物をアテに酒を飲むところを想像しているのだろう。酔ってもいないのに、親父の顔はだらしなく緩んでいる。
「そのぶん野菜を多めにくれ。それと日用品も」
「日用品? とうとう髭剃りでも買う気になったか」
アダンは自分の髭面をなでまわし、むむ、と唸った。
今までこれで不自由をしたことはなかったが、もしかしたらヨッヘルトはこの顔を恐がってるかもしれない。やはり剃ったほうがいいだろうか。
ひととおりそんな考えを巡らせたあと、アダンは本来の目的を思い出した。普段よりもいくらかは手持ちの魚が多いとはいえ、無駄にあれこれ交換するわけにもいかない。
「いや、歯ブラシと石鹸をくれ。歯磨き粉もだ」
「こないだ新品を買ったばかりじゃないか?」
よく覚えているものだと感心しながら、肩をすくめてみせる。
「食い
すると店の親父は上機嫌で手を叩いた。
「……そうか、そうか!
「やめてくれ。そんなんじゃない」
アダンはしっしと鬱陶しそうに手で払うしぐさをする。
相変わらずよく喋る親父だ。やはりヨッヘルトを連れてきたほうがよかったか。
こういうときは、あれこれ詮索される前に話題を変えてしまうのが一番だ。
「ところで、気になることがある」
「おう?」
「近頃、海岸にたくさんの死骸が流れ着くんだ。半獣の」
「うえ。それは嫌だねえ」
「たしか北国で紛争が起きているんだったか?」
「あー、なるほどな。そういうことか」
相手は訳知り顔で頷く。
「そういうこと、とは?」
「ああ、聞いた話なんだがな。どうやらあちらでは最近、半獣が差別されているらしい」
「差別?」
聞き慣れない概念にアダンは首を傾げる。
「つまりは卑しい者として扱われるってことさ」
「そうなのか」
この小さな島では、人間の数もたかが知れている。皆が家族のようなものなのだ。そこに差別など生まれようもない。
アダンの脳裏に浮かんだのは、ヨッヘルトの顔だった。彼を卑しい存在だと思ったことなど一度もない。種族こそ違うものの、彼もまた家族のようなものだ。
「もちろん、差別に根拠なんかないさ。北国の人間どもが勝手に自分らの都合のいいようにやってるだけだろ」
決して気持ちの良い話ではない。
店の親父は苦い茶でも飲んだかのように顔をしかめる。
「差別された半獣は船で逃げ出そうとして嵐に呑まれるわけか」
「そういうこった。しかしよぅ、アダン。なぜ半獣のやつらはこの島に流れ着くんだろうな? ここは大陸からずいぶん離れてるじゃないか」
「それなら、海流の問題だろうな」
そう言ってアダンは店の壁に貼られている地図を指した。
「このあたりは、普段は北から南へと海流が流れている。ところが、嵐がくると海流が乱れて西に流される。ちょうどそのあたりにあるのがこの島だ」
「はあ、なるほどなあ」
きっと、海岸に流れ着くだけでも運がいい。嵐に呑まれた半獣の大半は魚の餌になっているはずだ。
彼らは命がけで海を渡ってくる。それほどまでに差別というものは残酷なものなのだろう。
ヨッヘルトが最初にアダンを見て「人間ですか」と尋ねた理由がようやくわかった。
「誰か生きて辿り着いた奴はいるのかい」
そう尋ねられ、アダンは大きく息を吐く。
「……ああ、いや」
そして、ためらいがちに首を振った。「みんな死んでる」
「そうかい」
そう言ったきり、相手はそれ以上何も言わなかった。
04.首輪がついている限り
ヨッヘルトは、アダンの仕事をよく手伝った。
二人で暮らすには何かと物入りだったが、以前よりも多く魚を獲ることができるようになったため、懐が寒くて凍りつくことはなかった。
そうやって暮らすあいだにも、何度か嵐がやってきた。
嵐の晩になるとヨッヘルトは決まって不安そうに
翌朝になると、うるさかった風の音は嘘のようにぴたりと止んだ。
浜辺には相変わらず半獣たちの死骸が打ち寄せられ、見つけるたびにクサトベラの群生する陸地へ運んで埋めた。そうして上から厚く砂をかける。もう二度と、波にさらわれないように。
ある日、海岸にヨッヘルトの叫び声が響いた。
彼は息を切らせながら駆け寄り、岩の影を指す。
「アダンさんっ! 生存者がいる!」
岩の影に倒れていたのは、長い毛並みの半獣だった。
半獣になじみのないアダンでも、彼女がとても美しいことはわかった。
首につけた真っ赤な首輪が印象的だった。
寝かせて様子を見ると、いくらも経たないうちに息を吹き返した。
だが、目を覚ますなり彼女はアダンを見て悲鳴をあげた。
「きゃーッ! いやっ! 近寄らないで!」
彼女は牙を見せつけて唸り、威嚇をする。
すぐさまヨッヘルトがあいだに入り、なだめるように言葉をかけた。
「だいじょうぶです。落ち着いて」
ヨッヘルトの姿を見て、彼女はその体にしがみついた。
「あなたっ! 半獣よね? なぜ人間なんかと一緒にいるのよ!?」
噛みつくように尋ねられ、ヨッヘルトは戸惑いながら答える。
「なぜって……彼は死にかけてた僕を助けてくれたんです。あなただってそうだ。彼がここまで運んでくれたんですよ」
「それはあたしたちを売り飛ばすためでしょう!?」
それまで静かに様子を見守っていたアダンが、口を開いた。
「落ち着いてくれ。俺は、あんたにもこの少年にも危害を与えないと約束する」
それでも、彼女はアダンを睨みつけたまま動かない。
「そんなの到底信じられるわけがないじゃない!」
アダンは辛抱強く話を続けようとする。
「よかったら聞かせてくれないか。北国で何があった? 人間が
アダンの質問に、彼女はぎりりと奥歯を噛んだ。
「人間なんて、みんな悪魔だわ!」
「……悪魔? どういうことだ」
「あたしたちは平和に暮らしていたのよ! それなのに、ある日突然人間たちがやってきて、半獣たちを捕まえて連れて行ったの。捕まった半獣たちは愛玩動物か奴隷になったって聞いたわ。中には遊び半分で殺された者もいるって……。それだけじゃない。女の半獣はッ……」
そこまで言いかけて、彼女は全身の毛を逆立て、自分の身体をきつく抱きしめた。
「……あたしたちは、荷馬車に押し込まれて遠い町に連れて行かれ、そこで物みたいに売られたの。あたしを買ったのはニヤニヤ気持ち悪い笑みを浮かべた人間の男だったわ。そいつの家に連れていかれたあたしは、そいつに
彼女は牙をむき出しにし、悔しそうに震える。
その瞳から涙があふれ出す。
「でも、あなたは逃げ出して生き残ることができた。ここなら安全です」
ヨッヘルトが寄り添うように声をかける。
だが、彼女は力なく肩を落とした。
「……ダメよ。首輪がついている限り、どこへ逃げても見つかってしまうわ」
「首輪?」
彼女は自分の首につけられた真っ赤な首輪を指した。
「これよ。この首輪はね、どこにいても居場所がわかってしまうの。きっと人間たちはここへ追ってくるわ」
「外すことは?」
「鍵がないと無理よ。それに、特殊な金属が編み込まれていて切断もできないの」
彼女は立ち上がると、ヨッヘルトに言った。
「そうだわ、あなたもあたしと一緒に南の大陸へ行きましょ」
「……南の大陸?」
「ええ、そうよ。そこへ行けば半獣でも虐げられることはないわ。人間と平等に扱われるのよ。もうここで奴隷みたいな生活をしなくていいのよ」
「奴隷って……」
ヨッヘルトは戸惑うように数歩下がり、彼女から離れた。
そしてアダンに視線を向ける。
「……行きたければ、そうするといい。だが、嵐のない季節に大きな船で行け」
アダンがそう答えると、ヨッヘルトは首を振った。
「いえ。僕はここに残ります」
女性は愕然とし、悲嘆に満ちた顔でヨッヘルトを見つめた。
「どうして! あなた、きっとこき使われているんでしょう? その証拠に潮風で毛並みはバサバサだし、手の皮膚は豆がつぶれてこんなに固くなってる! 服だって食事だって寝床だって粗末なものばかりでしょう!」
「それでも、僕はここの暮らしで充分です」
揺らぐことのないヨッヘルトに、彼女は冷たい視線を向けた。
「あなた、首輪がないのね」
「…………」
彼女はすくっと立ち上がり、アダンを見る。
「助けてもらったことは感謝するわ。でも、やっぱり人間なんかのところにはいられない」
そう言い残し、彼女はそのまま振り返ることもなく去っていった。
05.僕を恋人にして
彼女が出ていったあと、ヨッヘルトがぽつりと呟いた。
「……知らなかった」
その耳と尾尻が、だらんと垂れている。
じっと床を見つめたまま、彼は言葉を続ける。
「僕はまだ子どもで、何が起きているのかわかっていなかった。とにかく船に乗って逃げるよう言われたんだ。でも、母さんも父さんも兄さんたちも波に呑まれて死んじゃった」
ヨッヘルトの両親も南の大陸を目指して船に乗り込んだのだろう。
しかし、それは叶わぬ夢となってしまった。
かける言葉がみつからないまま、アダンは黙ってヨッヘルトの話を聞く。
「ねえ、アダンさん。教えて欲しいのだけど」
「なんだ」
彼はじっとアダンを見つめ、それからさきほどまで半獣の女性がいた場所に視線をやった。
「さっきの女性、
「ああ、えっと……」
アダンは頭をがりがりと掻きながら言葉を探す。
「そうだな、恋人やかみさんでもないのに、
「そういうことって? 恋人や夫婦ってどんなことをするの?」
「そりゃあ……、」
言いかけて、ふとアダンはヨッヘルトを見た。
その手足を押さえつけられ、力づくで蹂躙される姿が脳裏に浮かぶ。
慌てて首を振り、その妄想を追い払った。
海岸に打ち寄せられた半獣たち。
その死骸の中には、首輪をした者もたくさんいた。年端のゆかぬ子も、大人も、老人も。
女性が相手ならまだしも、酔狂な奴らは相手が男でも子どもでも関係ないのか……などと嫌な考えが浮かぶ。
「アダンさん、僕を恋人にして」
「……は?」
突然の言葉に理解が追いつかず、アダンは間の抜けた声を出す。
だが、ヨッヘルトは真剣な顔をしていた。
「また誰かがやってきて、僕がここにいるのはおかしいから北国へ戻るか南の大陸へ行けって言うかもしれない。でも、恋人なんだって言えば一緒にいられる」
アダンは呆れたようにため息をついた。
「あのなあ。恋人ってのはお互い好き合った同士がなるもんなんだよ」
しかし、ヨッヘルトは引き下がらない。
「僕はアダンさんのことが好きだよ。アダンさんは僕のことが嫌い?」
「……そうは言ってないだろ」
「恋人になったら、アダンさんがしてほしいことを全部してあげる」
ヨッヘルトがささやくように言う。
「今のままで充分だ」
そう伝えても、ヨッヘルトの言葉は止まらない。
「……そうだ、アダンさん。首輪だよ。僕に首輪をつけて。ほら、この首に。そうすれば、僕はどこへも行かないし、誰にも文句を言われない。ずっとここにいられる」
そう言って彼は、自身の首を指し示す。
やわらかい体毛に覆われたそこを見て、アダンは呻いた。
「その話は二度とするな。……外の空気を吸ってくる」
そう言い残し、小屋を出る。
かなたの水平線へ目を向けると、波の色がわずかに鉛色を含んでいた。
今日は少し風が強いようだ。
また、近いうちに嵐がくる。
ここは北国からも南の大陸からも離れているはずなのに。
潮の気まぐれで、いとも簡単に巻き込まれる。
「……ヨッヘルト。どうしてそういう話になるんだよ……くそっ」
アダンは頭を抱え、海に向かって悪態をついた。
海風がごうごうと吹いて、彼の
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