第38話 幻の富士宮グルメ
『ゆるキャン△』の第一期は、たとえ他の県が舞台になることがあるとしても、基本的には、主要登場人物たちの生活圏である身延(みのぶ)町周辺や、彼女達がテントを張るキャンプ場がある山梨が主な物語の舞台になっているのだが、第二期は、山梨県に加えて、隣の静岡県もまた、物語の主たる舞台背景になっている。
第二期の後半(アニメ版は第七・八話;実写ドラマは第九・十話)で、主要登場人物の一人である「各務原なでしこ(かがみはら・なでしこ)」が初めて〈ソロ〉でキャンプをするのだが、そのキャンプ場があるのが静岡県の富士宮市で、なでしこは、ソロキャンの前に、西富士宮駅で身延線を下車して、浅間大社を参拝したり、〈しぐれ焼き〉で有名なお好み焼き「佐東(実写版は伊東)」に立ち寄ったりしている。
隠井の当初の発想では、今回の『ゆるキャン△』における静岡県の舞台探訪は、同じ県内なので、西富士宮、掛川、磐田という三つの市を訪れるつもりでいたのだが、行きの熱海行きの東海道線の中で、移動や滞在時間のスケジュールを作ってみた所、どうやっても、三つは〈回せ〉そうにないことが分かった。
今回の静岡来訪は、〈十二月三十一日〉から「〈一月一日〉にかけて、作中人物の「志摩リン」が訪れた地、すなわち、時間と空間の交差点を巡る、というのが基本的な訪問コンセプトなのだ。
富士宮焼きそばぁ〜、五目しぐれぇ〜
九時前の朝の東海道線の中で、〈富士宮グルメ〉のことを考えていた隠井は、今にもお腹が鳴り出して、マスクの下から涎が漏れ垂れてきそうになってしまった。
きそうになったのだが、西富士宮に関しては、浅間大社にも、漫画版とアニメ版『ゆるキャン△』の「佐東」のモデルになった〈お好み焼き食堂 伊東〉にも、かつて行ったことがある。
そもそも「なでしこ」が富士宮に行ったのは年末年始ではないし、ここは、〈時空間〉の一致という主目的を忘れずに、お腹を両手で押さえながら、グッと我慢することにした隠井であった。
そして、熱海を経由し、沼津で乗り換えた東海道線では、〈富士〉駅で身延線には乗り換えずに、そのまま清水・静岡方面に向かったのであった。
〈参考資料〉
漫画:あfろ「ゆるキャン△』第三十六〜三十七話、第七巻所収,東京;芳文社,二〇一八年十月十一日発売,ISBN 978-4-8322-4983-7.
アニメ『ゆるキャン△ SEASON2』第七・八話、二〇二一年一月期.
実写ドラマ『ゆるキャン△2』第九・十話,二〇二一年四月期.
「富士宮やきそば学会」;「お好み食堂 伊東」,「やきそば」,『静岡県富士宮市の観光情報 ふじのみやNAVI』,二〇二二年一月一日閲覧.
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