対外諜報局
その
その中でも特に
「グラードの
憂鬱そうに拳銃で額を小突きながら喋っていた
「月ニイ! 格納庫の中に黒に蛍光グリーンのラインの入った変な人ッ!
同時に
「
慌てて
「うわっちゃぁ……」
「なんだ? 外で爆発……」
「社長、だから頭出さないッ! 死ぬぞホントに!」
窓を覗こうとした
「今の、A.S.F.の格納庫の方ですね……
不穏な顔をするエレインが聞き、我に返った
「
【最優先状況レポート、敵工作部隊の破壊活動と推測。
「ああ、頼む。ソレで
【
「ふう……トリス、君の方は?」
【ありがとうございます。被ダメージタイプは主に格納庫構造体の落下物。『ハッブルの瞳』が侵入者を撮影した際に、自己判断でコックピット・ブロック及びマクスウェル・エンジンにシールド・アレイを展開した為、
「すまない、ありがとうトリス。そのまま
【了解致しました】
トリスが恭しくお辞儀をする。
「一先ず、
「格納庫が全棟倒壊してる。ケイちゃんからも見えてるだろうな……無茶しないといいんだが」
そう言ったのは、
*
上空では、遠間での牽制が続いていた。
遠距離の撃ち合いでは
高く上がって離脱しようともせず、かと言って低空に居るこちらを一気に仕留めようともしない。
ケイがその意図を読み切れずに焦れていた時、基地の格納庫が爆破されるのが見えた。
【格納庫全棟倒壊。破壊工作のようです】
「
【データリンク――意識はありませんが、バイタルは正常。トリスがコックピットの機能により保全中です】
「よかった。でも……地上に工作部隊?」
気が逸れた一瞬の隙に、ホーミング・ザッパーが飛来する。
「――じゃまッ!」
今見れば、それは意図して単調な攻撃であった。
バレルロールした
「デュプレ、
だが、通信ウィンドウに現れたのは
「ケイか。こっちはまだ大丈夫だ。
「なんで
「
「な……ん……」
ケイは絶句した。
「さっきから
「
「
「もう、何から何まで最悪……」
侵入や格納庫の爆破の手口を、トリス経由で引き出して確認すると、よくない想像だけが広がっていく。
「対人兵装は……ダメか。そもそも見えない相手を探している余裕がない」
それは戦闘状態の
本来は海上、中立地帯などでA.S.F.が会敵することを想定した協定である。
つまるところ今現在、特殊工作部隊のテロまがいの活動を正当化しているのは、基地内が
「――それなら」
近接格闘特化の演算兵装セットリストが目に留まる。
目の前、三機のA.S.F.を撃墜すれば『電子戦闘空域』の条件は、その時点で解除される。ケイの胎は即座に決まった。
「父さんの研究を戦争に使って、どいつもこいつも! ほんと……まったく! デュプレ、防御戦闘を破棄。近接格闘極振りでセットリスト再構築、フルロード!」
【近接戦闘兵装、フルロード。しかし、彼我の戦力比が三倍を超えた状態での
それでもデュプレは不可能とは言わなかった。
「関係ない。こっちは
瞳孔が開き、瞳は極端な集中状態を示した。周囲のあらゆる情報を余さず集め、ケイの類まれな頭脳は、求める最速の解答を弾き出す。
そのケイの鬼気迫る貌に驚いたのは
「おいまてコラ、一人で無茶なマネするなッ!」
「無茶な状況はそっちなんだよ! 私がちんたら戦ってたせいで『電子戦闘空域』を利用して特殊部隊が潜入してる。こいつらの狙いは最初からソレ。そんなことにも気づかないなんて、私はッ!」
『
それがケイの持論であったが、今この瞬間だけは、未来を見通せる能力を持ち得なかったことを酷く後悔していた。
「おいッ! 聞けってッ!」
「
激しく動揺する
「デュプレッ! ケイを止めろッ!」
しかし
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