第六幕 すべては愛のため

#23




 ————シルビア。





 魔女は意識の底で、懐かしい声を聴いた。




 誰にでも暗い過去のひとつやふたつはある。それは、一人の魔女も。






 ——これは、私が好きでやったことだ。メロを庇ったわけじゃない。


 ——はいはい。わかってるよ。シルビアは将来偉大な魔女になるんだから、こんな些細なこと気にしないで。





 ただ、一緒にいたかった。同じ時間を過ごして、その娘のぬくもりに寄り添いたいと願った。

 あなたを守りたかった。あなたが好きなものも。




 それを守るためなら、この世界ごと呪ってしまおうが構わなかった。





 この世に生まれたときから、あなたの存在だけが私の希望なのだから————。




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