小ネタ
悪役令嬢エラゼル/聖と魔の名を持つ者
【エラゼル】「知っているかラーソルバール、昨今、世の中では悪役令嬢とやらが活躍する物語が流行っているそうだぞ」
【ラーソルバール】「何、どんな話?」
【エラゼル】「悪役令嬢、つまりは公爵家や侯爵家あたり出身の令嬢が、ヒロインにあたる平民の娘や男爵家の令嬢にあれやこれやと嫌がらせをするのだそうだ」
【ラーソルバール】「へー」
【エラゼル】←公爵家
【ラーソルバール】←男爵家
【エラゼル】「な……なんだ、その何か言いたそうな目は!」
【ラーソルバール】「で? 何で嫌がらせするの?」
【エラゼル】「嫌がらせの根本原因は、自分の婚約者に近づく女を遠ざける為らしいが、結局それがもとで婚約者から婚約破棄されて転落するらしい」
【ラーソルバール】「でも、それ自己防衛なんだから悪じゃないよねぇ。私、そもそもエラゼルの婚約者なんか狙わないよ」
【エラゼル】「……いや、だからなぜそうなる?」
【ラーソルバール】「エラゼルの恨みを買うと、どんな事になるか知ってるし……」
【エラゼル】「……いや、そうではなくてだな……流行っている話というのがだな、その悪役令嬢が逆襲をしたり、気ままに生きたり、はたまた転落人生を送らないように四苦八苦するというパターンがあってだな……」
【ラーソルバール】「うん。まず、私がエラゼルの婚約者を狙わなければいいだけの話だし」
【エラゼル】「聞いているのか? 私の話を聞いているのか?」
【ラーソルバール】「だって、『宿敵だー』って追いかけられてた時はね……」
【エラゼル】「それは私が悪かったと……」
【ラーソルバール】「それは冗談として、苦労してきたエラゼルには幸せになって欲しいから、それを邪魔するなんて有りえない。邪魔する奴が居たら私が……こう……剣で……さくっと……」
【エラゼル】「いや、それはいいから……。って、私は悪役令嬢なのか?」
【ラーソルバール】「ん? そういう話の持って行き方じゃなかったの?」
【エラゼル】「んんんん?」
【ラーソルバール】「だって、悪役令嬢は公爵令嬢、つまりはエラゼル、んでヒロインが男爵令嬢で私? っていうような話を振ったんじゃないの?」
【エラゼル】「あぁ、言われてみれば……そっくりそのまま当てはまるな……」
【フォルテシア】「エラゼルは悪役志望なの?」
【エラゼル】「うわっ……! 突然話に絡んできては驚くではないか!」
【ラーソルバール】「ヒロインは平民出身でもいいらしいけど、フォルテシアやってみる?」
【フォルテシア】「無理。勝てる要素がどこにも無い」
【ラーソルバール】「…………」
【シェラ】「なになに? なんの話?」
【ラーソルバール】「で、今来たこの人は?」
【フォルテシア】「悪役令嬢の取り巻き?」
【シェラ】「だから何の話よーっ!」
【フォルテシア】「エラゼルが悪役で婚約破棄で没落する話……?」
【シェラ】「あらま……」
【エラゼル】「皆、少しは淑女の嗜みというものを……」
【フォルテシア】「それだ……」
【ラーソルバール】「こういうのか……」
【エラゼル】「ち……違うぞ! 違うと言っているではないかっ!」
【ラーソルバール】(いひひ。からかうと可愛いな……)
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