第三話 パートさんにこびろ!

 給料日まであと3日。


 今日は朝と昼は昨日いただいたパンを食べるとする。


 夜ご飯はどうしよう。


 午前中の授業をさぼり、家の中でカロリーを消費しないように蓄えていた。


 夕方からスーパーのバイトだ、それまでボーッとしておこう。



 夕方になり、パジャマからスーパーの指定の制服に着替えて出勤した。


 スーパーに着くと今日の出勤する人のシフトを眺めた。


 今日は表手(おもて)さんがいるな。


 表手さんとは。あれである。このスーパーの重鎮にして逆らえば社員すらも命の危機を感じるというパートの主である。


 表手さんは気に入らないならば店長すらも移動させてしまうくらい恐ろしい人だ。


 しかし私は調子がいいので、割と気に入られていた。


 表手さんとの絡みで今日の晩飯のありなしが決まる。私の第六感がそう言っていた。


 バイトは17時から21時まで、担当はレジ打ちだ。


 基本レジは四人体制でさばける広さのスーパーだが19時からは客も少なくなり、2人になる。


 19時からは私と表手さんだけになる。


 19時を過ぎるとちょっと暇で私と表手さんは話をした。


「表手さん、最近どうですか?」


「最近どうって言われてもスー○ァミのドラ○エ帰ってやりたいって思ってる」


「スー○ァミって私が世代じゃないもの話題にしないで下さいよ」


「じゃあこの前来た店長が気に食わない、あの人全然周りに対して気の使い方がわかってないわ」


「また長くなりそうな話ですね、仕事終わったら愚痴でも聞きましょうか?」


「とかなんとか言って、私におごらせてアンタまたタダ飯食いたいだけだろ」


「めっそうもない、ただ私は表手さんの心の支えになりたいだけですよ」


「思いもしない言葉並べよってからに、いいよ、仕事終わったら近くの回転寿司行こか」


 さすがは表手さんだ、人の心理を読み取るのはそこらのマジシャンよりも優れている。


 こうして私は表手さんに寿司を奢ってもらい、お腹が満腹になり幸せになった。


 給料日まであと2日。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

腹ペコエソラ飯のありか ぴで @pide

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ