第二話 食堂へ向かえ!
給料まであと4日。
昨日の休日の晩ご飯はなんとか友達の美雪にご馳走になり、なんとかやりすごせた。
今日は平日、学校だ。
朝は食べずに過ごしたがお昼はさすがに食べたい。あてもなく学食に向かい誰かがいないか探した。
食堂を見回していると同じ授業を受けている宇海(うみ)がいた。
「宇海〜となりいい?」
「エソラじゃん、いいよ」
となりに座ると宇海は何事もなかったかのように親子丼の定食を食べていた。
「ここの学食のおばちゃんさ、私がホッソリしてるからっていつも丼頼んだら大盛りにしてくんだよね、そしていつも残すのに次もまた大盛りにしてくんのよ、面白くね?」
面白いかどうかは置いておいて私の耳に確かにある言葉が飛び込んできた。
「いつも残すのに、いつも残すのに」
その言葉が私の頭の中で鳴り響いた。
「食べきれないんだったら手伝おうか?私まだ頼んでないんだ。」
「本当!?じゃあ一緒に食べてよ!今日はおばちゃんに怒られずに済むよ!キラーン」
宇海のよくわからない喋りは放っておくとしてこれでお昼ご飯は無事確保した。
あとは晩ご飯。
午後の授業を済ませ、放課後休憩所でどうするか考えた。
無料で飲める水を紙コップに注ぎ、喉を潤していると私に近づいてくる男子が現れた。
「エソラちゃん久しぶり、元気してる?」
「おう、望月君久しぶりだね!」
望月君は体験入学の時に出会い、連絡先を交換した。だが入学してからなかなか出会うタイミングがなかったのだがこんなところで出会うとは。
「望月君こんなとこで何してんの?タバコ?」
「違う違う、今日学食でエソラちゃん見たんだけど連れといたから話しかけたら悪いかなって思ってさ、たまたまここにいたから話かけた」
「ヒゲなんか生やして雰囲気変えてきたね」
「あんまりいじらないで、まだ自分でも恥ずかしいんだから。ところでさ…」
なにやら望月君は私に話したい事がある感じだった。
「今日学食で一緒にいた子いたでしょ?」
「宇海ちゃんね」
「宇海ちゃんって言うのか、…あの子って彼氏とか…いるのかな?」
この時私はピンと来た。これは駆け引きできるチャンスかもしれない。
「いや〜宇海ちゃんの事は色々知ってるけどタダでは教えられないな〜」
「なんでだよ!教えてくれよ!何か欲しいってか!」
「そこの自販機で売ってるパン3つくれたらまぁ何かは教えてあげようかなって思うかもね」
「パン3つだな!言ったな!わかった!」
お互いが有効になる条約を結び、私はパンをもらい、望月君には宇海の性格や好きなもの、どんな男が好みなのかという事をおしえた。
「ヒゲ生やしてるのはオッケーなんだな、このまま育てるわ」
「生やすのはいいけどちゃんと整えてよ、不衛生なのはあんまりだと思うし」
意気揚々と帰る望月君の背中を見送りつつなんだかんだ追加でパンは全部で6個もらった。
まぁ彼からすると有能な情報だったので上乗せしてくれたのであろう。
おかげで今日の夜に2つ、明日の朝に2つ、そしてお昼ご飯に2つ食べる事ができる。
よしよし。
これで給料日まであと3日。
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