『大海獣ハシラー』 最終回


 そうして、いま。


 兄、弟、それと、ハシラーは、明け方まで、宴会を続けていました。


 防衛隊の司令官は、丑三つ時を狙って、全員を新型爆弾で攻撃するつもりでした。


 それは、彼一人の判断ではなく、35年前に、極秘裏に『生物兵器』開発の指揮をとった、ある政治家の、秘密指令だったのです。


 彼は、首相官邸から『やれ。』と、指示しました。


 しかし、新兵器は、結局のところ、発射されなかったのです。


 首相は、自室で、直後、謎の死を遂げました。

 

 攻撃は、中止されました。

 

 突然死であると、公表されました。


 

 ハシラーは、ばんばん、食べました。


 この日を、楽しみに、待ち続けたのですから。


 そのために、人類への攻撃は、ずっと、我慢して、しなかったのです。



 夜明けとともに、ハシラーは去って行きました。


 一週間後、兄は、日本海に身を投げました。


 覚悟の自決でした。


 さらに、それから一年くらいして、太平洋で、巨大な生物の亡骸らしきものが我が国の漁船に発見されましたが、それは、いつのまにか、どこかに消えました。


 『兄さん、一服、もったのかな? それとも、寿命だっかのかな。』


 弟は、日本海を見ながら、つぶやきました。



 彼の行方は、その後、わからなくなっています。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


        🦕   おしまい





 


 

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『小さなお話し』 その32 やましん(テンパー) @yamashin-2

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