第110話 ベトナムの子供はバイクに乗っていても寝落ちするんだな
ベトナム人妻のトゥイの妹の娘であるタムちゃんは4歳である。近頃では日本人夫の私のことをお父さんと言うようになった。
例え言葉が通じなくても、その人の態度や行動を子供って何気によく見ているんだなって思う(何故だか知らないが私は子供と動物から異常に好かれるところがある)。タムちゃんは私を見つけると遊ぼうと言って私の手を強引に引っぱる。
もしも将来、私とベトナム人妻のトゥイの間に子供ができたのならば、きっとこんな感じなのかなと想像し、私もタムちゃんと楽しく遊んでいる日々である。タムちゃんは幼稚園に通っている。幼稚園の月謝は5000円ほどかかる。
トゥイの話では幼稚園の先生にタムちゃんのことをよくしてもらうため、個別に毎月500円ほど幼稚園の先生に渡しているそうだ。
私:何で500円、幼稚園の先生に渡すの?
トゥイ:そうしないと、先生はタムちゃんのことよくみてくれないよ。他の親も先生にお金渡している人がいるよ。
私:そっかぁ。
日本でも患者が手術前とかに医者や医療従事者にお金なりプレゼントを渡すようなものなのかもしれない。
日本だと毎月の幼稚園費用5500円ほどかかるのは安いかもしれないが、ここはベトナムなので決して安い額ではないだろう。ちなみにトゥイの母親は働いているが、毎月の給料は2万円ほどである。
※地方都市で働く場合、大都会のハノイやホーチミンと比べると給料は安い。
それでも未来ある子供の教育のため、家族総出でお金を工面しタムちゃんを幼稚園に行かせる。私にしてもタムちゃんは自分の娘みたいに思っている。
将来、タムちゃんが専門学校や大学で勉強したいのにお金がなくてあきらめなければいけなくなった時、私は何かしらの援助ができたらと思っている。未来ある子供の芽を摘んではいけないというのが私の考えだ。
私とトゥイがバイクでどこかに出かけようとする時、タムちゃんは「私もいっしょに行く~」と言ってくる。どうやらタムちゃんは私とトゥイがスーパーのゲームセンターでふたりで遊んでいるとあらぬ想像をしているようである。そんなわけない。
大抵、タムちゃんがいっしょにバイクに乗るとゲームセンターか遊園地へ行こうと誘ってくる。そんなタムちゃんではあるが、まだまだ4歳の幼稚園児。バイクに乗っていると突然、体重を私に預けるようになり、カクン、カクンとなり始める。どうやら眠ってしまったようだ。
よく寝る子は育つと言うけれど、バイクに乗って寝落ちしてしまうなんて驚きであった。私はタムちゃんがバイクから落ちないように支えることにした。
そう言えば、ベトナムでは1歳ぐらいの赤ちゃんをバイクに乗せているのもよく見かける。子供から大人まで常日頃、バイクに親しんでいる国なのだろう。バイクで寝てしまうなんて朝飯前なのかもしれない。
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