第99話 ホーチミンのアパートのドアが開かない! ベトナム人彼女はぶちギレた
夜、ベトナムのホーチミンのアパートでくつろいでいると突然、何の前触れもなく停電した。時間も時間なので、このまま寝るかということになり、日本人男性の私とベトナム人女性のトゥイは眠りについた。
次の日の朝、停電が終わり、止まっていた扇風機が回り始めた。私はベトナムにきてからクーラーなしの生活をしているのだけれど、人間の身体というものは不思議なものだ。扇風機が止まった状態で寝ていたのに汗をかくことはなかったのである。つくづく人間の環境の適応能力に驚かされる。
トゥイは身支度をして朝食のパンを買いに行くため玄関のドアを開けようとしたらドアが開かない。
トゥイの表情を見ると明らかに怒っている。どうやらトゥイのバイクがドアの前まで移動させられ、ドアを開けれなくされたようである。
鬼の形相になったトゥイはすぐに大家さんに電話し、ベトナム語でまくしたてていた。数分後、大家さんがきてトゥイのバイクを移動してもらいドアは開くようになった。まだトゥイはぷんぷん怒っているようだったので私はたしなめることにした。
私:夜、停電で暗かったから、他の人がバイクだす時、大変だったから移動したんじゃないの? しかたないよ。
トゥイ:違うよ。誰かがわざとやったんだよ。
私:え?
トゥイ:こういうことは前もあったから、トゥイは大家さんに文句言った。監視カメラで誰が犯人か調べてと言った。
私:何回もあったのか!
トゥイ:うん !
そう言えば、トゥイがいつもバイクをとめる場所にアパートの住民が勝手にバイクをとめたことがあった。トゥイがそのバイクをどかしたら、勝手にとめた張本人がやってきてトゥイと言い争いにになっていたのを見かけたことがある。
日本でも隣人トラブルはあると思うが、ベトナムでも住民トラブルはある。ホーチミンのアパートには監視カメラがあるので、日頃は抑止力になり、普段はアパートの住民は大胆不敵な行動はできにくいのだろう。
けれども停電時はおそらく監視カメラもとまってしまうので、今回のような不足の事態が起きる場合がある。トゥイはこの件に関してはかなりぶちギレていて「トゥイのバイクを勝手に移動するな!」と大家さんからアパートの住民たちに全体周知させたほどである。
日本でも監視カメラを設置している家やマンションがある。ベトナムでも監視カメラは必須アイテムなのかもしれない。もし購入するとしたら、停電してもしばらく内臓電池で作動するタイプの監視カメラがよさそうだ。
トゥイを見ているとベトナムの女性はたくましく強い。そして、絶対に泣き寝入りはしないのだと感じた。
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