第98話 Googleマップ アプリを使ってベンチェからホーチミンまで移動したら大変なことになった
ベトナム人女性のトゥイの実家はベンチェである。日本人男性の私とトゥイはホーチミンとベンチェを行ったりきたりの生活だ。
トゥイの亡くなったおじいさんの命日、赤ちゃんの1歳の誕生日パーティーなどの親戚の集まりの際、私とトゥイも呼ばれるのだけれど、参加するようにしている(今のところ不参加はない)。
私はベトナム語を話すことができないし、トゥイの通訳なしではベトナム人とコミュニケーションがとれない。言葉の壁があるのは感じている。けれども何かトゥイの親戚の集まりがあったら私も参加することにしている。
態度や行動することで、言葉は通じなくても相手に伝えることができるからだ。ちなみに言葉の壁があっても4歳のタムちゃんは私を見つけるなり、いっしょに遊ぼうと言ってくる。
そんなホーチミンとベンチェを行ったりきたりの生活なのだが、私はトゥイがバイクを運転してベンチェからホーチミンへ向かう時、道順は遠回りしているかもしれない、そのへんのところどうなの? と気になった。
試しに「Googleマップ アプリでベンチェからホーチミンの道案内してもらうか?」と提案すると、トゥイは「分かった」と返事をしたのであった。
こうしてGoogleマップ アプリの道案内でベンチェからホーチミンへバイクで向かうことになった。だいたいトゥイがホーチミンへ行く時の道順と同じだったのだが、ある地点でGoogleマップ アプリはトゥイがいつも行く道順とは違うところを案内し始めた。
私は得意げに「ほら? きっとこれが近道だよ」とトゥイに言った。しかし、事態は思わぬ方向にいったのである。
トゥイ:ちょっとこれ、高速道路の方だよ。
私:何だって!
トゥイ:バイクは高速道路乗れないよ。
私:そうなのか!
※ベトナムではバイクを高速道路で走らすことはできない。
トゥイ:このままじゃやばいよ。戻った方がいいよ。
私:ちょっと待って! 高速道路の横に細い道があるじゃん。あの道通ったら高速道路通っているのと同じじゃない? とりあえず細い道通ってみようよ?
こうして細い道を走らせたのだけれど、道路はあまり整備されていないみたいでデコボコ道であった。しかも、どんどん人がいない物騒な道にGoogleマップ アプリは案内するのである。時間は夕方で辺りは暗くなろうとしていた。
トゥイ:この道恐いよ。盗賊がでたらどうする?
私:ちょっとこれはまずな。
トゥイ:この砂利道やばいよ。バイクのタイヤがパンクしたらどうする!
その頃の私とトゥイは、辺り一面、田んぼ道の砂利道を通っていた。ベトナムの田んぼの特徴は、ど真ん中にお墓がズラリと並べられている場合がある。ベトナム人はお化けを信じている人が多く、トゥイもまた、「田んぼにお墓がたくさんある。絶対お化けでるよ。怖いよ」と怯え始めていた。
私にしても、この模様を呑気にアクションカメラで撮影する余裕もなく、Googleマップ アプリとにらめっこしていたのである。日本の人のいないところを夜に通るのも怖いが、ベトナムの人のいないところを通るのはもっと怖い。
何とか田んぼ道を脱出して、Googleマップ アプリが案内する先は、またもや高速道路乗り場だった。結論から言うと私がGoogleマップ アプリの設定で高速道路も利用するをONにしていたせいで、今回、人がいない、お化けがでるかもしれない道を通っていたのである。
くれぐれもGoogleマップ アプリを使用する際は、高速道路をバイクは走ることができないので、高速道路利用OFFにしておいた方がいいだろう。
今回、私のせいで危険な目にあわせてしまい申し訳ないと思っている。トゥイは私に対して怒っていたことは言うまでもない。そして、「もうGoogleマップ アプリでベンチェからホーチミンに道案内してもらうのは嫌だからね!」と言われてしまった。
さいごに、こうして書いているということは、無事にベンチェからホーチミンへ行くことができたこと。無事に帰れるって本当に幸せなことだなと思った。
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