Ishikawa Family国際結婚物語

第79話 第一部・完！ いざベトナムのホーチミンへ

　日本人男性の私はバニラエアの飛行機に乗ってベトナムのホーチミンへ向かっている。

　思えば、外国人と出会える文通のようなところでベトナム人女性のトゥイと出会ったんだよね。2016年5月28日にトゥイから電話番号を教えてもらって、ベトナムではメジャーなメッセージアプリであるZaloで会話したのが始まりだったけ。

　私が学校に通っていたのもあり、「学校を卒業するまではベトナムに行くことはできない。それでも私を待つことができるか？」と聞いた時、トゥイは「待つよ」と言ってくれた。あれから毎日かかさず、私とトゥイは連絡を取り合ったよね。

　私とトゥイが出会って10ヶ月後、私は学校を卒業し、飛行機に乗ってベトナムへ向かっている。トゥイとはまだ会ったことはないのだけれど、さんざんLINE通話やテレビ電話をしてきた。だからホーチミンで初めて会っても、たぶん、初めて会ったような気はしないんだろうな、なんて思う。

　トゥイがネットで日本人男性と出会ったことをベトナム人の友達に話した時、友達からは「あなたはアホじゃないの？」とバカにされたと悲しそうに言ってたよね。確かにどこの馬の骨とも分からない男を10ヶ月も待つなんて普通ではないのかもしれない。

　ましてや相手は外国人だよ。正直、なかなかマネできないと思うよ。私にしても、2人のことを文章でつらつらを書いてしまってインターネット上に公開している。自分たちのことをさらけだしている。自分でもどうかしているのかもしれない。そんなどうかしているかもしれない2人だからこそ、別れることなく続けていけたのかもしれないね。

　けれどもインターネットに文章を書き記しておくことによって、どこにでもいる日本人男性とベトナム人女性の出会いのひとつのケースとして残しておけるのかな、なんて……。

　私が日本語しかしゃべれないため、トゥイは日本語を話して私とコミュニケーションをとらないといけなくなった。正直、大変なことだったと思う。私の日本語の言い回し、表現、分からないだらけの日本語だったよね。

　時にはあまりにも私がトゥイの理解できない日本語を使うものだから、トゥイが「もう、何言ってるか分からないよ！」とキレてしまったこともあったっけ。

　トゥイへ。

　私のことを待っていてくれてありがとうと感謝したい。ベトナム語も英語もできないし、決していい男でもない。自分で言うのもあれだけど、ダメ人間の部類に入っているんだろうなと思っている。

　それでもそんな私のことを見捨てずに待ってくれたこと。本当に感謝の言葉しかない。私とトゥイがきまって喧嘩する時、どちらかが「今までありがとう」なんて捨て台詞をはいたっけ。最終的には仲直りしたよね。

　今までありがとうの言葉が一周回って、今ではどちらかが風邪をひいた時、「今までありがとう」なんてギャグっぽく言うようになったよね。

　私が飛行機に乗ってホーチミンへ向かっている頃、トゥイはホーチミンでさいごの仕事をしているよね？　私がホーチミンに到着する日、トゥイが仕事を辞めてしまう日でもある。

　トゥイへ。

　さいごの仕事、頑張ってください。

　私は飛行機に乗ってあなたに今、会いに行きます！

　第一部・完