第78話 ベトナム人彼女は仕事を辞める決断をした

 ベトナム人彼女のトゥイがホーチミンへ上京し、朝から晩まで馬車馬のように働いている状態である。いよいよ日本人男性の私が飛行機に乗ってベトナムのホーチミンへ行く日が秒読み段階となった。


 私がホーチミン到着後もトゥイが朝から晩まで毎日働いている状態では何のためにホーチミンへ行ったのか分からない。私がどうしたものかなぁと思っているとトゥイがある提案をしてきた。


トゥイ:トゥイが仕事中、私はトゥイの働くお店でコーヒーでも飲んで待っていればいいよ。


私:は? コーヒー代かかるでしょ。そしたら結局、トゥイが働く時給分以上、私が飲食代使うじゃん。意味ないでしょ。絶対赤字になるよ。

※ちなみにトゥイの時給は90円である。


トゥイ:でも、働かないと家賃とか生活費どうする?


私:家賃は光熱費込み13000円でしょ。大丈夫だよ。


トゥイ:分かった。じゃあ、トゥイは仕事辞めるよ。


 私とトゥイはそのような会話をしたのである。トゥイの仕事が朝から夕方までの時間であれば、夕方以降、私とトゥイの時間を作ることができたことだろう。また、夕方までの仕事であれば、私もトゥイの仕事に理解を示すことができたかもしれない。


 しかし、現状、トゥイの勤務態勢は朝から晩までであり、長時間労働である。トゥイから悲鳴に近いSOS信号が、私に向けられたことも多々あったと感じている。


 トゥイは正社員ではなくアルバイトの立場なので時給で働いているだけである。長時間労働の末、身も心もボロボロになられては私が困るし心配するだけ。だからトゥイが仕事を辞める決断は良かったと思っている。


 トゥイは仕事先の経営者に仕事を辞める旨を伝えたそうなのだが、「彼氏が仕事を辞めろと怒っている。だから辞めないといけない」と言ったそうである。おいおい、まるで私が原因で仕事辞めないといけない言い方じゃないか。しかも私を悪者にしてるでしょ。


 そしたら仕事先の人が、「だったらしかたないね」とあっさり承諾してもらったそうだ。おいおい、だったらしかたないって何なんだよと私は思ったのであった。

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