第41話 ホーチミンのバイク事故でベトナム人彼女の家族が大怪我!

 ベトナムはバイク天国であり、50ccのバイクであれば免許なしで運転することができる。これでもかと言うほどバイクが走っている。


 日本人男性の私は、こんなにもたくさんのバイクが走っているならば、日本と比べるとバイク事故が多いんじゃないかと思っていた矢先、ベトナム人女性のトゥイからLINEメールが届いた。


トゥイ:姪のタムちゃんが怪我した。バイクが転倒してふっとんだ。


私:まじか!


トゥイ:トゥイの妹も怪我したよ。


私:大丈夫なの?


トゥイ:大丈夫だけどタムちゃんが泣いているから病院連れていくよ。


 どうやら妹が運転するバイクが道路にある溝にはまってしまい転倒してしまったらしい。私にしても若かれし頃、車の運転で右折しようとした時、曲がりきれなくて電信柱に車のドアをぶつけたことがある。


 幸い、人ではなく電信柱だったからよかった。トゥイの姪は病院で適切な治療を受け大丈夫だったみたいである。自分にも言えることだが、運転する際は気をつけなければいけない。


 些細な不注意が大きな事故に繋がる場合もあるのだから。


 トゥイの姪のバイク事故事件から数週間後、今度はトゥイのおばぁさんとお母さんがバイク事故に巻き込まれてしまった。


トゥイ:あなた! 大変なことになった。おばあさんとお母さんが病院に運ばれてしまった。


私:なんだって!


トゥイ:トゥイのお母さんがバイクを運転して、おばぁさんは後ろに乗っていたら、後ろを走っていたバイクがぶつかってきた。


私:えー!


トゥイ:バイク壊れた。ぶつかったバイクの男は逃げた。


あまりの衝撃的なトゥイからの連絡に私は動揺した。


私:トゥイのおばぁさんとお母さんは大丈夫なの?


トゥイ:分からない。今、病院にいるけど、おばぁさんは身体が痛いと泣いているよ。お母さんも身体が痛いから仕事できなくなった。


 トゥイは悲しそうな声で必死に私に説明しようとしてくる。私はトゥイからの説明を聞いていた。トゥイの話では、ぶつかってきたバイクの相手の男は、妻と子供と3人で運転していたらしい。


 ぶつかった後、子供を病院に連れて行くと言い残し、それきり相手はいなくなってしまったのである。つまり逃げたということになる。


 もちろん、トゥイの家族は警察に相談し、バイクをぶつけてきた男の行方を探してもらっている状態だ。日本でもベトナムでもそうだが、何か悪いことをして逃げる。でも、かなりの確率で逃げた人は警察に捕まるのではないだろうか。



 数日後……。



トゥイ:あなた! 逃げた男が見つかった。


私:おぉー! 警察が捕まえたのか。


トゥイ:いや、本人が警察に自首してきた。


私:そうなんだね。逃げた男が見つかってよかったね。


トゥイ:うん、よかったよ。


 こうして逃げた男の件は一件落着した。しかし、トゥイのお母さんはしばらく仕事に行くことができなくなった。おばぁさんに関しては病院に入院している状態である。


 また、移動手段である壊れたバイクは警察の手元になり、使うことができなくなってしまった。日本も日々、バイクや車の交通事故が起きている。


 ベトナムにしてもバイクがたくさん走っているということは、それだけどこかで事故が発生しているのだ。私はトゥイに言った。


「バイクは壊れてしまったけれど、トゥイのお母さんやおばぁさんが無事でよかったよ。本当によかった」


 トゥイは「うん、そうだよ。本当によかった」とかすかに笑った。私もベトナムに行ったらバイクを運転してみたい気持ちはあるが、くれぐれも運転には気をつけなければいけないと思ったし、場合によっては前後座右後ろのバイクが何か拍子にぶつかってくることもありえる。


 それを心の片隅に刻んでおこうと思った。

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