第23話 風邪をひいたのはあなたが悪魔だからだよとベトナム人女性に言われた

 ここ数年、日本人男性の私は本格的な風邪になったこともなかった。喉が少し痛いなと思いながらも寝れば治るでしょぐらいの軽い気持ちだった。


 しかし、睡眠をして起床後、身体がだるく喉も痛くなってしまったのである。身体が弱っているせいか異常な睡魔に襲われた。まさか夏に本格的な風邪になるとは思いもしなかった。


 それでも私は食欲の方はあったので、きちんと食事をして風邪薬を飲んだ。風邪を完治するための便利アイテムの冷えピタの冷却シートとツンドラ倶楽部の冷たいソフトマクラを使って頭を冷やしたのである。


 ベトナム人女性のトゥイにも風邪になって寝込んでいる旨を伝えると、「あなたはトゥイに冷たいから風邪ひいたんだよ。あなたは悪魔だから風邪ひいたんだよ」と、ここぞとばかりに言われたのである。

※ベトナム人女性から悪魔と言われた日本人は、私が初めてかもしれない(笑)


 私は虚言癖があり、自分のことをとっても良い天使だよ発言をしていたり、しょうもない嘘をトゥイについていた。私の日頃の嘘つき具合に呆れていたトゥイは「あなたは天使じゃなくて悪魔でしょ!」と指摘していたのである。


 最近トゥイは私という日本人の外国人が、何やら嘘のような冗談ぽいことを平気で言っていると認識し始めたみたいで、私が自分のことを天使だと言ってきたら、「いいえ、トゥイの方が天使だよ」と切り返すようになってきた。


 それは日本人とベトナム人同士の冗談を言い合う国際交流でもあった。


私:え? トゥイは天使なの?


トゥイ:うん、トゥイは天使だよ。


私:本当に?


トゥイ:本当だよ。


私:だったら、この天使の服を着るしかないね(天使のコスプレの写真を見せる)。


トゥイ:えー!


 私はここぞとばかりにトゥイに無茶ぶりをしたのである。日本でもアニメのようなコスプレをするのが人気だが、ベトナムでも日本のコスプレが人気みたいである。


 ベトナムの男性や女性が、こぞって漫画のコスプレをしてベトナムのイベントにも参加しているみたいだ。しかもベトナムのホーチミンにはメイド喫茶もあるようだ。


 私にしても忍者のコスプレをしてお城の前で記念撮影をしたことがある。だからなのだろうか。コスプレイヤーの活動に理解はある。


私:トゥイは天使の服を着た写真をFacebookに載せてたくさんいいねもらおう。


トゥイ:嫌だよ。恥ずかしいよ。


私:大丈夫、大丈夫。


トゥイ:えー!


私:何だったらInstagramに載せよう。


トゥイ:バカ!


 毎回、こんな感じのやり取りをトゥイとするのは日常茶飯事だ。こういうことを私は言ってばかりいたので、最近トゥイから「あなたは悪魔だ」と言われるようになっていた。


 私は体調不良で風邪で寝込む。ひたすら寝ていた。トゥイから「もう大丈夫?治った?」とLINEメールが届いた。


 私は「まだ治らない。寝て治す」と返事をした。数分後、トゥイから「トゥイにチューしないの?」とメールがきた。私は風邪になっていたのもあり、いくらメール上のこととは言え、キスは風邪をうつす原因にもなる。


 日本人特有の察する文化というか、おもてなしの文化ではないが、「チューはしないよ」とトゥイに送る。するとトゥイから泣いているアイコンが送られてきたのである。


 トゥイのアイコンにびっくりした私は、「風邪でうつすのが嫌だからチューはしないよ」と送った。よく日本人男性は外国人女性から見ると、愛情表現がとぼしいと言われるみたいだが、私にしても外国人女性から見たら愛情表現は少ないとうつるのだろう。


 時には「もうトゥイとは話したくないのか?」 と言われてしまうこともある。日本人男性が外国人女性と付き合う時は、くれぐれも愛情表現には気を付けなければいけない。

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