第六話 枯れゆく木々たち

◇ユキノ

――あれは、

リジェのお父さんが亡くなって

ロシリア家を継いだ頃だから


3年ぐらい前からかな?


それまで島中に満ちていた

桜木のマナが、減少していって


一年を通して、

島中に咲き誇っていた

桜が枯れ始めちゃったんだ……


◇カイ

桜が……?


◇クロナ

そっか

それであんまり

咲いてなかったんだ……


◇アリア

どうして桜木のマナが

少なくなっちゃったんですか?


◇ユキノ

わからない……

でも――


リジェは

「自分が原因じゃないか」って


◇ノア

未熟な状態で、当主……つまり

『ロシリア流精霊術』の伝承者に

なってしまったから……か


◇ユキノ

……そう

リジェは思ってるし、

島の人達の中にも――


でも――

リジェが精霊術師として

力不足なんてあるわけない!


◇アリア

ユキノさんはどうして、

そう思うんですか?


◇ユキノ

だって、子供の頃からあの子……

厳しい修行にも耐えてきたし


実際に精霊術を

使っているところを

見たこともある!


おじ様――リジェの亡くなった

お父さんを超えるような

すごい精霊を現界させたの!


◇カイ

お父さんを、超えるような……か


◇ノア

兄さん……


◇ユキノ

そもそも『精霊術』は

桜木のマナを集めて

精霊を呼び出すの


『桜木のマナ』の減少は

自然現象で、

リジェのせいじゃない!


――でもリジェは

今すごく責任を感じてる……


私たち満開の島の住人にとって

桜木のマナと桜の花は

平和の証なんだ


◇ノア

枯れ行く平和の証……か


◇アリア

それでパメラさんは

不安になってるんですね……


◇ユキノ

パメラだけじゃない……

今、島の人達は

みんな不安な気持ちを抱えてる


最近は空に大穴が開くなんて

異常現象も起きてるし……


◇カイ

…………


◇ユキノ

あっ、ごめんごめん!

なんだか暗い話に

なっちゃったね!


さあ、ついたよ!

ここが桜の苗木がある

『ファルティエの森』だよ!


桜の苗木、早く持って帰ろ!


◇アリア

はいっ!


◇ノア

兄さん……


◇カイ

ん?


◇ノア

『ロシリア家』と

『コメット家』――


古くから『精霊術』と

『結界術』を受け継いできた

この島の『名家』だ


◇クロナ

じゃあ、そのふたつの家の人なら

『アーク』について

なにか知ってるかも!?


◇ノア

ああ

確証はないがな


◇アリア

話を聞いてみる

必要がありますね!


◇カイ

そうだな……


◇ユキノ

おーい、なにしてるのー!

早くしないとシスターに

また怒られちゃうー!!


◇カイ

ああ!

今行く!


よし、桜の苗木を手に入れたら

どちらかの家の人間に

会ってみよう



To Be Continued……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る