第二章 満開の島 ロシリア -桜の島の乙女たち-

第五話 幼馴染の少女たち

――満開の島 ロシリア・ファルティエの森への道

◇アリア

――ユキノさん、

どうして決闘なんて

してたんですか？

◇クロナ

街のおじさんが

「よくあることだ」とか

言ってたけど？

◇ユキノ

あたしは

決闘なんかしたくないんだ

でも――

パメラが一方的に

つっかかってくるの

昔はあんなコじゃ

なかったのに……

◇ノア

古くからの知り合いなのか？

◇ユキノ

そう

幼馴染のひとりなんだ

◇カイ

仲違いでもしたのか？

◇ユキノ

うーん……

何か決定的な原因っていうのは

ないとおもうんだけど――

たぶん、

パメラは不安なんじゃないかな？

◇アリア

不安……ですか？

◇ノア

不安だから、

決闘を申し込んでくるとは

なんてはた迷惑な理屈なんだ

おかげで僕たちは、

こうして桜の苗木取りに

付き合わされて……

◇ユキノ

それは、本当にごめん……

でも――

自分勝手なお願いばっかりで

悪いんだけど……

あんまりあの子を

悪く思わないであげて

◇ノア

なぜだ？

キミだって

迷惑しているんだろう？

◇クロナ

そうだよ

現にあの子のせいで、

ユキノはシスターに怒られて――

◇アリア

なにか事情があるんですね？

◇ユキノ

う～ん、

話すと長くなるんだけど……

この『満開の島・ロシリア』には

精霊術をつかう『ロシリア家』と

パメラの家……

結界術を使う『コメット家』が

あるの

この島は、この２つの一族が使う

精霊術と結界術によって

繁栄してきたんだ

◇アリア

精霊術……

◇ノア

聞いたことがある……

『ロシリア流精霊術』……だな

マナを集めて精霊を現界させる

それがロシリア流精霊術……

だったかな

◇ユキノ

そう

『ロシリア』には――

この島にしか存在しない

『桜木のマナ』が満ちてるの

ロシリア流精霊術の継承者

ロシリア家の今の当主――

『リジェ・ロシリア』が、

あたしとパメラの

もうひとりの幼馴染なんだけど

パメラは、若くして当主になった

リジェのことを意識して

不安になってるんだと思う

◇ノア

幼馴染……ということは、

キミと同年代ということか

◇アリア

ずいぶんお若い当主さん

なんですね……

◇ユキノ

そう……

本当は、もっと修行を積んでから

当主になるんだけど――

今から３年前……

リジェのお父さんが

亡くなったんだ

◇ノア

……なるほど

若くして家督を継いだ

幼馴染の存在に

焦りや不安を感じている……と

◇ユキノ

そういうこと……

でも、それだけじゃないの

◇クロナ

それだけじゃない？

◇ユキノ

たぶん……

この島に起きてる『異変』が

関係してると思う……

◇カイ

異変……？

この島に、何が起きてるんだ？

◇ユキノ

それは――

To Be Continued……