第二章 満開の島 ロシリア -桜の島の乙女たち-

第四話 修道院の桜

◇ノア

はぁっ！！

◇ジュエリ

なっ――

わたくしの魔法が

相殺されたっ！？

◇ノア

……ふぅ、

危ないところだった

キミ、大丈夫か？

◇幼い女の子

う、うんっ……

ありがとう

おにいちゃんっ！

◇ノア

良かった……

キミたち……

危ないじゃないか……！

◇ジュエリ

なっ、なんですのあなた！？

急に出てきて！

◇パメラ

そうですわ！

私たちの決闘を邪魔しないで――

◇ノア

私的な決闘なんて、

人のいない所でやれ……！

キミたちの頭は街の人々に、

危害が及ぶことも

考えられないのか！？

◇パメラ

うっ、うるさいですわよ

あなた！

これでもお食らいなさい！！

睡蓮縛封！！！！

◇ノア

っ！？

◇カイ

ノア……！！

◇クロナ

……って、あれ？

◇ノア

どこを狙っている

僕には当たらなかったようだが？

◇アリア

今の技で

桜の木が折れちゃいましたね……

◇パメラ

なぁっ！？

ね、狙いがそれました、わ……

◇ジュエリ

お嬢様っ……！

そ、それよりも

修道院の桜の木がっ――！！

◇ユキノ

折れてるっ！？

ちょっと！

どうするのよっ！！

シスターに

どう説明するつもり！？

◇パメラ

こ、これは……

なな何かの間違いですわっ！

そう！

事故！　事故ですわ！！

◇ジュエリ

お、お嬢様！

そろそろお茶のお時間ですわよ！

◇パメラ

そうでした！

では、私たちはこのへんで！

◇パメラ・ジュエリ

ごきげんよ～～～～～う！！！！

◇ユキノ

ちょっ、ちょっと！

待ちなさいよ！！

どうすんの桜の枝ーー！？

もぉ～～～～……。

やめてよね～～～～……。

◇ノア

キミ……大丈夫か……？

◇ユキノ

あ……！

君たちを街の幼い女の子を救った

『英雄』と見込んで

お願いがあるのっ！！

◇ノア

え、英雄っ……！？

◇クロナ

それは流石に

大げさじゃない？

◇カイ

お願いって？

◇ユキノ

あたしのことも救ってほしい！

◇アリア

救うって……

どうすれば良いんですか？

◇ユキノ

あの修道院のシスターに

一緒に謝って！

◇カイ

は――？

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

――満開の島 ロシリア・修道院

◇シスター

どういうことですかぁっ！！？？

◇ユキノ

ご、ごめんなさいっ！！

でも、聞いてくださいシスター！

◇シスター

言い訳は聞きたくありません！

この街……いいえ！

この島にとって

桜の木は神聖なもの！

それ折るとは、

言語道断ですっ！！！！

◇ユキノ

で、でも、折ったのは

あたしたちじゃない

っていうか……

◇シスター

言い訳は聞きたくないと

言ったでしょう！！

あなたたち！

ちゃんと責任を持って、

桜の苗木を取ってきなさい！！

◇ユキノ

そ、そんなっ……！？

◇シスター

いいですねっ！！！！

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

――満開の島 ロシリア・シェリンズの街

◇ユキノ

はぁ……

怖かったぁ

◇クロナ

ほ、ほんとに、

怖いシスターだったね……

◇ユキノ

ありがとね

一緒に怒られてくれて……

◇ノア

なんで僕らまで――

と、言いたいところだが

乗りかかった船だ

仕方ない

◇ユキノ

乗りかかった船ついでに

もうひとつ頼まれて

くれないかなぁ～？

◇ノア

……まさかとは思うが

◇ユキノ

苗木を取りに行くのも、

付き合って！！

◇ノア

やっぱりか……

◇カイ

いいぞ、それぐらい

付き合うよ

◇クロナ

うんうん！

困った時は助け合いってね！

◇ユキノ

ホントっ！？

助かる～！　ありがとう！！

◇ノア

これじゃあ『乗りかかった』

ではなく、完全に『乗船』して

いるじゃないか……

◇アリア

ふふっ

いいじゃないですか、ノアさん

もしかしたら

『名家』のことを

知ってるかもしれませんよ？

◇ノア

だといいんだが……

◇ユキノ

よぉ～し！

じゃあ、桜の苗木を探しに

ファルティエの森に出発～っ！

To Be Continued……