第9話 希望と不安

「哲人 今思い出した とても大事なことを聞き忘れていた」

「・・・大事なこと?なんかあった あの日の約束ならばっちり覚えてるよ」

「そ それはとても大事なのじゃが そうではなく お主どうやってこの世界に来たのじゃ?」

「・・・・・・そうえば言ってなかった えーと簡単にいうなら王国に召喚された」

「なにっ!いやしかし勇者召喚は五か国条約違反じゃ いつかはやると思っていたが早いな

 ふむ・・・? いやしかしお主ならば なぜ帝国に?」

「あーそれは今の条約違反のことを聞いてしまって大樹界に飛ばされるはずがなぜか帝国に・・・フィル それで召喚されたのが俺だけじゃないんだ」

「・・・なに? 一体何人ほど召喚されたのじゃ?」

「俺含め 24人」

「に、にじゅう、よ、、にん なんということじゃ 多すぎる」

「一つ気になるんだけど なんでいつかやるって思ってたの?」

「ああ それは簡単じゃ 地図をみれば一目瞭然 地図がないの おいそこの職員地図をもってこい」

「・・・・・はっ  も 申し訳ありません かなり動揺しておりました 地図ですね 地図でしたらここに」


そして 机に広げらえた地図を見る 


「まず この世界の南この黒いのがあるじゃろ これがいわゆる大樹界 そして東からこのヤマシロ皇国 そのさらに東にある 小島も皇国の領土じゃな そこから西に我がリードドルフ帝国 大きいじゃろ

そして西に行くとマルセール王国がある その王国と帝国の間にある小さな国これがセボルグ公国

今度は王国の上にあるリベルタ―連邦 ここも若干大樹界とせっしておるな

今言った五つの国が大樹界と接しているもしくは大樹界を無視できない脅威としてとらえている

あと北にアブビィル法国というのがある そしてそれらの国のほぼ中心に位置する魔導学園都市

そして これらの国を見るとわかる圧倒的に王国と大樹界の接する面積が多いのだ

しかも王国はそれまで南に大穀倉地帯があったそれを守りきれず 大樹界の餌食になった」


「なるほど 分かりやすかったありがとう あそうだ」


そうえば 忘れていた 職員さんに聞いてみよう


「ここで冒険者登録したのですが」

「冒険者登録ですか? はい 大丈夫ですが 今その夜なので明日にできませんか? あとフィルメニア殿下はこれからいかがなさるので?」

「わらわはこれから哲人と行動するが問題あるか?」

「問題しかないですよね ご自分の立場をご理解ください」

「妾は皇位継承権などないも同然 問題などあらんわ」

「皇位継承権の順位などどうでもいいくらいにあなた様は重要ではありませんか」

「あーめんどくさい どうでもいいではないか」

「皇位継承権がどうでもいい? フィルそれどういうこと」

「・・・・いわなくてはだめか?」

「うん 教えてほしいな」

「・・・そこの職員教えてやれ」

「わ 私ですか? 承知しました えーと哲人さま?でよろしいですか?」

「いえ 様などつけなくてもいいです」

「そうですか でしたら哲人さん 殿下のご立場は簡単にいえば帝国の象徴なのです 皇帝陛下以上に」

「・・・? なんでフィル いやフィルメニ「フィルでよい」えでも「よいのじゃ 哲人にフィルメニア殿下などと呼ばれてもうれしくない」 わかった」

なんでフィルが帝国の象徴なんですか?しかも皇帝陛下以上って、、、」

「哲人さんは帝国の建国神話をご存知ですか?」

「いえ 全く 」

「そうですか、、、結構有名なのですが、、、

その神話の内容が端的にいえば初代皇帝が神龍と九人の勇者ともに帝国を作ったというものです」

「神龍?ですか?」

「はい しかしつい最近までこの話は嘘 もしくは作り話だといわれていました」

「なぜですか?」

「それは 誰も神龍など見たことがないからですよ そして帝国が建国されて500年初代皇帝と九人の勇者をのぞきだれも見たことがないんです だから神龍なんていないと けれどそんな状況が一変します」

「どうして急に?」

「フィルメニア殿下をご覧ください」

そういわれたので みてみるが うん? 

「???・・・めっちゃ綺麗でかわいいですが?」

「ふふっ 照れるのぅ」

フィルが照れてる

「お気づきになられませんか?」

「え・・・・うーん 龍みたいな特徴で・・・・え?神龍?」

「ふんっ、、、、」


あら フィルは頬をリスのように膨らませ見るからに不機嫌になっている


「そういうことです 神話の最後にこんなことを言われています


 神龍は美しい女となり 初代皇帝との間に子供をのこした 殿下のその見た目は先祖帰りですので建国神話の正統性を証明する生きた証拠なのです 

帝国では龍を力の象徴としてきました

その中でも神話に登場する龍の力は絶大です

ちなみにその神龍の名はフィルメニアといいます」


「あーなるほど フィルはその名前が嫌いなのか」


なるほど マジの神さまなわけだ


「そうじゃ 妾を見るものは妾はではなく神龍をみておる しかも皇帝陛下もじゃ なまじ神話の知名度

が高いだけに帝国臣民だって例外ではない」


そんな立場を嫌うように

若干寂しそうに しかしどうにもできないあきらめが混じっていた


「嫌気がさしてたんだね 皇女という立場に 本当に神さま扱いされるわけだし否定的意見も言えない」

「そうじゃ だからもうこれをきに帝国との縁を切れないかと・・・」

「・・・・・それ俺かなり危ない立場になるよね 帝国の象徴たる皇女誘拐とか・・」

「お言葉ですが もう危ないかと」

「・・・うん なんで?」

「今の会話皇帝陛下の耳に入ったらどうなると思います?」

「殺される?」

「殺されるだけならよいのですが・・・」

「待って以上があるの?!?!」

「それに フィルメニア皇女は極めて難しい立場にある御方です 皇帝陛下 陸軍三長官 帝国宰相

らの帝国首脳部が承認するでしょうか?」

「・・・・・それは」


改めて突きつけられる現実 俺が越えるべき高さの壁は富士山だと思っていた しかし富士山ではなくエベレストかそれ以上らしい


「哲人 にげるなら今じゃぞ?どうする?」


どうしよう・・・これ もし俺がフィルと付き合ったとしようそしたら・・・


「万が一の話ですよ 俺がフィルと付き合ったら俺が皇帝をやれとかいわれるんですか?」

「そうですね・・・ありえない話ではないですがほとんどあり得ませんね 帝国に後継ぎはたくさんいますので」

「そうですか・・・」

「哲人?」

「フィル俺はやるよ やってみせるよ 道はとてつもなく険しけど」


言っちゃった やばいコロンブスってこんな気持ちものかな

辿り着けるかわからない そんな険しい道を進むって怖いけど 辿り着かなけばならない 

横にいるフィルの顔を見る 


フィルも顔がこわばっているのがわかる


希望と不安が見え隠れする そんな日だ

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