11.公爵家の兄君と妹君


 マグダリニアス公爵家息女サレニアーナ嬢のお茶会に参加するため、馬車に乗ったが、比較的すぐについた。


 歩いてもしれてる距離ではないのだろうか。


 まあ、お洒落のためだけの、上品な絹の靴で、ドレスを捌きながら歩けるとも思えないけれど。



 馭者が扉を開け、降りるために身を乗り出すと、なぜか先ほどお帰りを見送ったばかりのサレズィオ様が迎えにいらしてて、無表情で差し出されたサレズィオ様の手を借り馬車から降りると、サレズィオ様よりやや黄色味を帯びた銀髪の美少女が待っていた。


 殆ど銀の銀髪を縦ロールに巻き、宝石は散らしてあるもののティアラなどはなく、リボンをアクセントに纏められている。


 ドレスは明るいオレンジ色で、レースはたくさん使われていたがフリルはあまりひらひらしていない、愛らしいながらも大人びたデザインのものだった。


 煉瓦色の、真珠をあしらった絹の靴を覗かせて、スカートをつまみ、軽くカーテシーで挨拶。

 なんて可愛らしい少女なのでしょう。


「リィナリッテ様、ようこそ、お越しくださいました。急にお呼び立てして申し訳ありません」

「言っとくが、私は何も聞いていなかったからな」

「サレズィオ様の責任ではないでしょう。お気になさらず」


 視線を逸らし、不機嫌そうに申し立てるサレズィオ様は、どこか少年のようで、少しだけ可愛らしさも感じられた……のは内緒にしておこう。

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