9.母の少女(乙女)趣味
「お嬢さま?」
「公爵家の令嬢からの招待状で、サレズィオ様の妹君とあっては、お断りする訳にもいかないでしょう。申し訳ないのですが、準備を」
頭を下げると、メイド達が一瞬怯む。
が、昨夜馬車で待っていた年嵩の侍女とメリルが先頭に立って準備を始めると、皆さんせわしなく働き始めた。
着替えたり、化粧を直したり髪を結ったり、する事が多くて、間に合うのかしら……
心配になりながらも、自室のドレッサーやクロゼットのある奥へ急ぐ。
「リィナリッテ?」
メイド達が忙しそうにし始めたので、気になったのか、母が私室へ入ってきた。
「お母さま、サレズィオ様の妹君、サレニアーナ嬢からお茶会のお誘いがありました。お断りする理由もありませんので、急ですが、外出します」
「昨日も具合がよくなかったのに大丈夫なの?」
「はい。一晩ゆっくり休んで、よくなりました」
心配の色を見せながらも、眼を細めて微笑まれ、お母さま手ずから私の髪を編み込み結い上げてくださった。
「私の自慢の髪を貴女も受け継いで嬉しいわ。こうして梳いたり編んだり出来るのも。ドレスも着飾りがいがあって。うふふ…… もっと宝飾品を試させてくれるともっと嬉しいのだけれど。宝石の重みで気が重くなると言うのなら仕方ないわね。
それに比べてリヴロスはくすんだ金髪で、もちろん触らせてもくれないし。やっぱり男の子はダメね」
リヴロス……誰だろう? この流れからいくと、私の兄弟なのだろう。
兄だろうか、弟だろうか……
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