1 introduction 私は悪役令嬢!! ここは恋愛アドベンチャーゲームの中!?
1.ストロベリーブロンド美人は母!
エルヴィス様がお帰りになった後、お見送りもせずに(あちらから、具合が良くないのだからと辞退されたの)、湯も使わずにそのまま休む事にした。
母(だろう貴婦人)が見舞いにきて、ちゃんと代わりに見送った事、送り届けてくださった事に礼を述べた事、倒れるくらいに良くなかったのに気づかなかった事への謝罪が繰り返された。
「あの、そんなに畏まらなくても、それくらいで……」
「そ、そうね、せっかく王家の夜会も辞して送っていただいたのだから、ちゃんと休まないとね」
立ち去ろうとする母にも、エルヴィス様へと同じ風邪の予防の忠告をする。
「本当に、あなたは。自分の体調が良くないというのに、人のことを心配して……自慢の娘よ。ちゃんと手を洗ってうがいをするから安心してお休みなさい」
やはり母だった! 若いなぁ……お幾つなのかしら? 歳の離れた姉で通りそうだけれど。
母は、エルヴィス様と同じように額のあたりをなで下ろし、慈愛の眼で見つめ、優しい言葉と共に退室された。
母を見送った年嵩の侍女は、脱がされた私のドレスの手入れを終え、メリルを下がらせた。
「お嬢様、メリルは今日はもう休ませます。私は続きの間におりますので、何かあればいつでもお呼びください」
夜会を早めに切り上げて来たからとはいえ、すでに夜中である。
まだ若いメリルでも、今日の支度の手伝いから夜会の供まで頑張ってくれて、疲れただろう。私は頷いて了承する。
「あなたも私の事はいいから休んでください。狭い馬車の中で待つのも体がつらいはずだわ」
「ですが……」
「大丈夫。3日前と違って、ほぼ治ってるし疲れてるだけだから休めば良くなるわ」
無理やり言い聞かせて、続きの間ではなく、私室へ下がらせた。
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