16.お姫様抱っこ再び!
具合がよくない私に配慮したのか、馬車とはこういうものなのか、パカポコパカポコ蹄鉄の音が響き、ゆっくりと進む。
やがて道が石畳になったのか、音が変わり、私を抱き留める腕の片方を伸ばして、
「着いたようだね。残念、もう少しこうしていたかったのに……」
馬車が屋敷の正面ポーチの軒先に停められ、馬丁が丁寧に扉を開けた。
エルヴィス様が、背後から抱きしめるように支えていた私を、横抱きに抱え直す。
「あ、あの! 自分で歩きます」
「ここで別れたら、またしばらく会えないかもしれないだろう? 部屋までこうして送らせてくれないかな」
にっこり微笑んで、私の申し出は却下された。
エルヴィス様の腕の中で、そっと周りを見渡す。
やはり、先ほど舞踏会が開かれていたお城よりかは小振りでも、庶民のお家に比べたら大豪邸に見える、華美すぎない程度に装飾を施された、三階立ての石造りのお城にも見えるお屋敷。
先ほど居たのが、どなたかのお屋敷にしろお城にしろ、馬車ですぐ帰れたのだから、ここは領地のマナーハウスではなく、王都の街中のタウンハウスだろう。
タウンハウスってもっと、こう、各戸ごとの玄関があるメゾネットタイプのアパルトメンみたいなものではないのだろうか?
社交シーズンに街で過ごすためだけのもので、領地の自宅ほど凝る必要性はないはず。
これでは、殆ど別荘や
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