17.私の両親……侯爵夫妻?


「どうしたの? 自分ちのタウンハウスが珍しいのかい? なんだか初めて見るような目で見回して。

 ……それとも、使用人たちの視線が気になるのかな?」


 図星をさされ、ドキッとしたが、なんとか誤魔化す。


「気にならない筈がないでしょう?

 ……抱えられて運ばれるなんて、なにがあったのかと思うでしょうし、第一、子供みたいで恥ずかしいわ」

「子供みたいというより、睦まじいと見てほしいけれど」

 笑って、流された。やはりおろしてくれる気はないらしい。


 落ち着いた深緑の絨毯の敷かれた廊下を、勝手知ったるといった風で、迷うこともなく、私を抱えて進んでいく。

 後ろには、私の侍女と見られる2人と、エルヴィス様の侍従の青年もついて来る。




「リィナリッテ? 何があったのだ?」

「リッテ! やはり具合がよくないの?」


 屋敷の景観も内装にも見覚えがなくて戸惑うが、もっと悪い事に、30後半代と思われる、上品な衣装に身を包んだ夫婦と思われる人達が駆け寄ってきた。


 どちらも、顔を見てもピンとこない……


 ピンクブロンドの巻き髪が美しいご婦人と、淡い金髪の落ち着いた感じの紳士。


 自分の顔をまだ見てないので確証はないけれど、この流れ的に、両親に違いない。名を呼び捨てたり愛称で呼ぶのだから、使用人ではない。

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