6.ここはお城、あなたは……身分の高い方なのかしら?


 心臓がうるさくてかなわない。


 シャンデリアに負けないきらきら具合で微笑みかける青年。

 年の頃は……白人は私たち日本人より大人びて見えるものだし、成人前……くらいかしら?


「リナ?」

「あ、あの……」


 顔に熱が集まるのを感じる。きっと真っ赤だろう。青年も、困ったように微笑んで、背に回していた手をそっと離す。


「相変わらず、恥ずかしがり屋だね。母の前ではあんなにシャンとしているのに」

 そ、それは、お母さまの前では緊張して固まってるのが、偶然うまい具合に、知的にお澄ましして見えるだけなのよ……!


 ん? お母さまって? この流れだと、この青年の母親の事……よね?

 私、この方の母上にお会いしたことがあるのかしら?



「お嬢様、やはり無理はなさらない方が……」

 今まで気づかなかったけど、テラスへ出られる扉のそばのカーテンの影に小柄な女性がいて、声をかけてくる。

 メイドのようなお仕着せっぽい紺色のエプロンドレスに、飾りをつけずに纏めただけのオレンジ色の髪。鼻の上に散らばったそばかすもチャーミングな、愛らしい少女だ。


「メリル。リナはどうかしたのかい?」

「直接話すご無礼、お許しください。

 お嬢様は、夜会の準備中に一度お倒れになられたのです」

 青年にメリルと呼ばれた少女は、目を合わさずに俯いたまま敬礼し、断りを入れてから答え始めた。

 やはりこの青年は、身分の高い方なのだわ。


「どういうことかな? 詳しく話してくれないか」


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