第九章二十三節 反撃

「リリアっ!」

「大丈夫、無事だから!」


 Asrielアスリールの加護を受けたHellerヘラー・ Blinkenブリンケン・ Sternシュテルンの盾は、ただのAdimesアディメス結晶とは比較にならない程堅牢になっている。

 以前、別の場所で、魔導騎士ベルムバンツェを一撃で貫通した紫電の弾丸――異なる世界の言葉で“レールガン”と呼ぶ――であっても、貫くどころか穿うがつ事すら叶わなかったのであった。


「何だと!? だが、同じ場所に重ねて撃てば――」

「させるものか」


 再びレールガンを撃とうとしたDragnaughtドラグノート目掛け、Asrionアズリオンの必殺の光線ビームが襲い来る。

 直撃前に回避されたものの、射撃動作を中断させる程度には有効であった。


 その間にAsrionアズリオンは、タケル達と合流する。


「あまり放置していれば奴に行動を許す。一気呵成に仕留めたいところだ。しかしお前たちは生きて帰るのを義務付けられた身。無理はするな、危ないと思ったらすぐに下がるんだ」

「「はい!」」


 タケル達の機体が散開する。Asrionアズリオン光線ビームで援護し、攻撃の隙を封じた。

 即座に剣を下げ、飛翔機構フリューゲを稼働させてタケル達に追い付く。


「これほどの力とは……侮っていたな、“守護神の御子みこ”よ。しかし!」


 Dragnaughtドラグノートが武器を持ち変え、飛翔した。瞬く間に高度を取り、上から一方的に狙い撃つ算段である。

 Asrionアズリオンがフリューゲを稼働させたまま跳躍するが、それよりも先にレールガンが何発も放たれた。


「ぐっ、何て衝撃……!」

「盾で受けたら大丈夫だけど、撃たれたらかわせない……!」

「これまでの魔導騎士ベルムバンツェの、何倍も厄介だな……!」


 前腕部装甲や盾で防ぐタケル達。

 Asrielアスリールの加護があるゆえにそうそうちはしないが、かと言っていつまでも持ちこたえられるほど余裕もなかった。


 だが、優位なはずのDragnaughtドラグノートがレールガンを投げ捨てる。


「弾切れか……仕方ない」

「このまま空中にとどまることを推奨します。1対1であれば、戦いうるでしょう」

「ああ。だが、楽な相手ではないぞ」


 内側の両腕に剣を持たせ、四刀流の構えを取るDragnaughtドラグノート。それを見たシュランメルトは、即座に空中で相手取る事を決めた。


 だが、一対一のままでいるつもりは無い。


Asrielアスリール。タケル達に伝えろ、『おれごとヤツドラグノートを撃ち続けろ』とな」

『かしこまりました』

「さて……その剣がどこまで通じるかは疑問だが、受けて立とう。ヘルムフリート」

「万一損傷したらボクがすぐに直すからね、安心して。シュランメルト」

「もちろんだ。頼むぞ」




 Asrionアズリオン飛翔機構フリューゲの最大出力で、Dragnaughtドラグノートとの距離を詰めた……。

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