第六章十七節 報告
玉座の間の裏にある、グロスレーベの執務室にて。
「済まない、遅れた」
シュランメルトとノートレイアは一番最後に入室した。
部屋には二人の他に、グロスレーベ、シャインハイル、リラが既に入室していた。
「ヒヒッ。揃ってますねぇ」
「何だ、これは?」
シュランメルトは戸惑っている様子を、ノートレイアはこの集まりを承知している様子を見せる。
「
「ノートレイア。どういう集まりだ?」
「グライス家の調査が終わったんで、報告に来たんですよ。つい数時間前、完遂したんです」
ノートレイアはいつもの調子で、シュランメルトに話しかける。
「承知した。頼むとしよう」
「元よりそのつもりですとも。そんじゃ、始めますかね」
そして懐から、書類をテーブルの上に置いた。
グロスレーベにシャインハイルは嫌な顔一つせず、手に取る。
「今渡したのは報告書。資料は置きっぱなしにさせてもらいますよ、たった1部しか盗めなかったのでね。まったく、予備でも何でも複製してほしいもんです」
ノートレイアは愚痴りながら、報告を始める。
「まずさっきの透明な
「魔術?」
「ええ。
シュランメルトの疑問に答えつつ、ノートレイアは報告を続ける。
「次に、この対抗策です。
「ふむ、おおかた分かってきたな。既にヘルムフリートから報告を受けていたが、奴は今の内容を隠しおった。それにしても、どこか慌てた様子だったのは、お前の所業ゆえだったか」
「ご明察でさあ、陛下。さて、ここまではほんの序の口ですかね」
ノートレイアが一度言葉を止め、間を作る。
「序の口……?」
「ええ、リラ殿。本当の目的は、異世界からやって来たって三人組の事なんですよ。ま、“
一呼吸置いてから、ノートレイアがさらにもう1枚の資料を取り出す。
手にしたまま、話し始めた。
「――何だと!?」
説明を聞き終えたシュランメルトは、信じられない、そして許しがたいものを聞いた気分だった――。
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