第六章四節 入城

『行くぞ』


 残骸を回収し終えたシュランメルトは、素早く隊列に戻って一同を促す。

 警戒心を解かないままに、一同はベルグリーズ王国が首都ベルグレイアに到着した。


『ここまで来れば、一安心……かな?』

『グスタフ、まだ早いぞ。ベルリール城に入城するまでは油断するな』


 警戒するシュランメルト。

 だが、タケル達はベルグレイアの街並みに見とれていた。


『ここが、ベルグリーズ王国の首都……』

『広い……』

『それに建物もすっごく綺麗……』


 タケル達は初めて目にするベルグレイアの風景に、酔いしれている。

 そんなタケル達を、リラが現実に引き戻した。


『皆様、まずはベルリール城まで向かいましょう』

『『は、はい!』』


 かくして一同は、ベルリール城までたどり着いたのであった。


     *


「止まれ……いえ、失礼いたしました。御子みこ様、並びにフィーレ・ラント・ベルグリーズ姫殿下と……リラ様にグスタフ様、そしてそのご客人ですね?」

『その通りですわ』

『話はシャインハイルから聞いているな。先へ行かせてもらおうか』

「もちろんでございます。仰せのままに」


 シュランメルトの鶴の一声により、一同は大したチェックも受けずにベルリール城の敷地内へと招き入れられる。

 と、豪華な服装の兵隊がシュランメルト達を案内した。


『王室親衛隊だ。お前達は案内に従え』

『シュランメルトさんは?』

おれはこの場で機体から降りられる。格納する必要は無い』

『もちろんボクも降りるよー』


 言いつつ、シュランメルトとパトリツィアはAsrionアズリオンを元の場所へ戻す。

 視覚的には突然Asrionアズリオンが消失したように見えたため、タケル達は驚いていた。


『ま、また……』

『急にパッと消えた!?』

『心臓に悪いよ……』

『さっ、行きましょうか』


 驚愕する三人を、リラは優しく格納庫へ向かわせた。


     *


 全員が機体を格納し終え、シュランメルトのいる正面玄関前に並ぶ。

 それを待ち構えていたかのように、巨大な玄関扉が開き始めた。


「シュランメルト、そして皆様。よく、いらしてくれました」


 玄関扉が開ききり、真正面に立っていたのは――ベルグリーズ王国第一王女、シャインハイル・ラント・ベルグリーズであった。


「詳しい話は、城の中でお聞きします。皆様、どうぞ城の中へ」




 シャインハイルは一同を、ベルリール城の内側へと招き入れた。

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