第五章 合同

第五章一節 起床

「おはようございます……って……」


 朝を迎えたリラ工房は、朝食作りでにぎわっていた。


「グスタフ、それはそちらに置いて下さいませ」

「フィーレ姫、盛り付けは終わりましたね? 配膳してまいります」

「ししょー、次は何をするのー?」

「グスタフ、もう十分です。座っていて……いえ、そちらにいるタケル様御一行をお迎えしてください」

「はーい! おはよーございます!」


 グスタフが元気に挨拶すると、タケル達――特にリリアとリンカ――が元気な挨拶を返す。


「おはよーございます!」

「「おはよー、グスタフ君!」」

「わわっ……!?」


 そしてグスタフはすぐさま、リリアとリンカに抱きつかれた。


「~~~~~ッ!」

「フィーレ姫、いったん配膳を終えて下さい!」

「ッ、はい! こら、放しなさい……っ!」


 相も変わらず、リラ工房の朝は騒がしかった。


     *


「「ごちそうさまでした!」」


 そんな朝であったが、無事朝食が終わる。

 と、リラが「皆様」と切り出した。


「本日は、技術向上を目的とした実戦訓練を行います。模擬試合ですね」


 その言葉に、一同が驚愕する。


「も、模擬試合……ですか?」

「師匠、彼らにはまだ早いのでは?」


 タケルとフィーレが特に反応する。

 が、リラは軽く手を振って遮ると、穏やかに説明した。


「昨日の彼らの動きには、目を見張るものがありました。最初の一度こそ転倒しましたが、あれを除いては、一度も転倒せずに走行し終えました。三人とも、です」

「そう言えば、意外といい動きしてたよね、ししょー」

「はい。並の人間であれば何度も転倒していたにも関わらず、タケル様達はただ一度の転倒だけで、後はバランスを取れていました。魔導騎士ベルムバンツェを初めて操縦したにしては、かなりの腕前です」


 リラの言葉には、多少の驚愕が混じっていた。


「とはいえ、まだご存知でない機能もあるはず。まずはそちらを伝えてから、ですね」


 その言葉に、フィーレとグスタフが頷いた。


「では、まずは片付けと歯磨きを済ませましょう。魔導騎士ベルムバンツェに乗るのは、それからです」




 リラが真っ先に、片付けにかかる。

 それを見た一同も、続いたのであった。

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