依頼12『仲間の死』

啓示は走っていた。


レイミーがどこにいるのか店を開けて見て行く。


だがどこの店に入ったのかが分からなかった。


王国で買い終わったらロメイトの店の近くで待ち合わせたことが仇となった。




(糞!! こんなことが!! だがレイミーが殺されるとは限らない! この国に入ったのも昨日のことだ! 話し合ったのはこの国の王とシャーレ―さんや従者たちだ!! その中から悪意を持っている者はいなかった! レイミーを知っているのはこの国にではほとんどいないはずだ! だがもし気づかなかっただけで従者の中にスパイがいたら……考えるな!! 今は探すんだ!!)




と思考を巡らせて走ったいた。


そして




(レイミーがいったいどこの店に入ろうと思うかを考えるんだ!! この国に入ってから……もしくはこの国に入る前にどんなことを話していたか!!)




と思い出せる限り考えた。


そして




「! そうだ!! 確かレイミーが前の国でこの国のアイテムショップの情報を仕入れていた! 噂では少し新しい店ではなくて少し古い建物で開いている店があるって! そこが一番品質が良いと聞いたと! そこにいるかもしれない!!」




と思いそれらしき店を探し始めた。


そして、ロメイトの鍛冶屋から走って10分後


それらしき店が見えた。


店に入る扉の取っ手が少し錆びており屋根も他の建物に比べれば古い感じがした。


そして看板としてアイテムショップと書かれており文字が薄れていた。


それを見て




「もしかして……ここか……」




と思い近づいた。


店に近づいても今起こっている時間停止が未だに続いており誰も動き出す様子がない。


啓示も不安になりながらも扉に近づく。


そして




「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」




と中から悲鳴が聞こえた。


その声を聞いた啓示は




「!! いったい!! まさか!!」




と思い扉を開ける。


そして、目の前に絶望的な光景が広がった。


店にいたお客さんは青ざめて震えていたり、その場で嘔吐している者、尻餅をついて動けなくなっている者もいた。


店員は




「お客さん……何で……」




といったい何が起こったのかが未だに理解できていない状態だった。


啓示は震えながら近づいた。


皆の目線の先には見慣れた服装と彼女が持っていたであろう鞄が落ちていた。




「レイ……ミー……嘘だろ……」




そう言いながら近づく。


そこには首が無くなり、そこら辺に捨てているように置いている足や手などを悲しそうに見ながら




「どうして……どうしてええ……」




と声を震わしながら涙を流しながらレイミーの体を抱きかかえた。




「すまない……すまない……」




と言いながら泣き続ける。


それを見て店員は




「何で……いったいどういう……事なんだ……さっきまで話していたのにいいいいいい!! さっきまで笑ってたじゃねえかああああああああああああああああ!! どうしてえええ!!」




と恐怖に支配されて行った。


他の客はそんな大きい悲鳴すらも分からなくなるぐらいにビクビクと震えていた。


次は自分ではないかという恐怖が襲っていたのであった。


そこにいたお客も店員も啓示自身もその場から動けずにいた。


店員の悲鳴、もしくわ他の客の悲鳴が聞こえたのか店の前にはたくさんの人が集まっていた。


だが誰も店に入ろうとしていなかった。


何が起こっているか分からない以上自分たちが巻き込まれるかもしれないと思い野次馬としているだけの者だった。


そして、啓示が店に着いてから10分ぐらい経ち




「啓示!! いるのか!! この騒ぎは一体!! レイミーは……何だ……これは……」




と後から来た舞は絶句した。


時間停止が解除され動き出した他の仲間も後ろからゾロゾロと入ってきた。


そして、レイミーの変わり果てた姿を見て一同はその場から動けなくなった。




「ドっどうしてだ……何でレイミーが……まさか魔王が……」




とラベルが真っ青になりながら言った。


するとダベダルドは




「だが何で魔王自身がわざわざこの国に来てレイミーだけを襲う…それならば装備が揃っていない我々が全員襲われていないのがおかしいだろ……」




と冷静に判断した。


それを聞いてレジリアも




「確かに……レイミーだけが殺されるなんて……まさか魔王の自分の手下を!!」


「その可能性はある……だが今は……」




とレジリアの言葉に同意するもランチェルが啓示に近づいて。




「大丈夫……ではないよな……俺だって苦しいよ……こんな別れ方なんて……」




と泣き出しそうな声で言った。


啓示は




「俺のせいだ……俺が鍛冶屋に一緒に入ろうって言っておけば……こんなことには……」




と言って震えている。


だがランチェルは




「お前のせいじゃない……こんなの誰が予想できた!! 皆予想出来ていなかったろ! これはお前だけのせいじゃねえ!! いやお前だけのせいにさせない!! お前1人で勝手に背負い込んでんじゃねえ!! レイミーは俺たち全員のせいだ! 俺たちが……俺たちが……」




と言って涙をぼたぼたと流す。


啓示は




「すまない……ありがとう……」




とランチェルに言った。


そして、そのまま顔の無くなったレイミーを抱えて




「すまない……ランチェル……つらいと思うがそこにある手と足を頼めるか……」




と言った。


ランチェルも




「ああ……構わない」




と言って手と足を持つ。


そして




「私も持とう」




と言って舞はレイミーが大切にしていた鞄を背負う。


そして




「ここの主人ですか?」




と店員に聞いた。


店員は




「は……い……すみません……何が何だか……頭が混乱していて……気づいたら……どうしてあんなに笑ってたのに……いったい……」




とショックが酷いのか言葉も拙い状態だった。


それを聞いて




「そうか……ありがとう……このことでまた話を聞くことがあると思いますが……その時はまた話を聞かせてください……今日は彼女を連れて帰ります……」




と言って頭を下げて店を出た。


レイミーの死体を見てリストアは




「何で……何でえええええ……」




と言ってレイミーの体を揺らした。


だが揺らす度に斬られた首筋や太ももや腕から血が飛び散るだけであった。




「何でれいいいみいいいがああああ……」




と泣き崩れた。


レジリアは苦しそうにしながらリストアに




「大丈夫か……リストア……立てるか……」




と聞くが




「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」




と声に出して泣いて聞こえていないようだった。


レジリアはそんなリストアを背負って




「行こう……レイミーをこのまま放置したくはない……それに……隠した方が良い……」




と言って大きめな布を出してレイミーを隠す。




「国の民た怯える……腕や足も隠してやれ……あいつもこんな状態を見られたくはないだろう……」




と言った。


その言葉を聞いて




「ああ……そうだな……」


「こいつを死んでも尚苦しめたくない……」




と言って2人はレイミーに死体を布で包み隠した。


血は布から漏れているが隠すように持っている為か他の人は気づかない。


そして地面に落ちた血も誰も血と認識していないようだった。


そして、そのまま城へと帰って行った。




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そして、城へとついて




「大丈夫ですか!! 啓示様!」




と言ってシャーレ―が走ってきた。


啓示は




「シャーレ―……城に戻ってたのか……」




と泣きながら聞いた。


舞は




「彼女には城の様子を見てもらうように私が言った……従者の安全の為に必要だと判断して……」




と言った。


それを聞いて




「そうか……ありがとう……シャーレ―……」




とお礼を言った。




「はい……私は大丈夫ですが……その布は……いったい……」




とシャーレ―自身も気づいているのだろうか、震えている。


しかし、信じたくないのか涙を流しながら布の中身を質問した。


啓示は泣きながらシャーレ―に




「なあ、死んだものを生き返らせることは出来るか……」




と聞いた。


シャーレ―は




「! 出来ます! 肉体が揃っていれば出来ますよ!!」




と冷静になったのか嬉しそうに答える。


しかし、啓示は肉体が揃っていればという答えに再び絶望する。




「肉体が……揃っていれば……そんな……」




と言って泣き崩れる。


そして、布が取れて首と手と足の無い状態のレイミーの死体が姿を見せる。


それを見たシャーレ―は




「何で……どうして私は……こんなにも無力なの……」




と言いながら絶望した。


それを聞いて啓示は




「シャーレ―は悪くない……大丈夫だ……すまない……少し一人にしてくれないか……」




と言ってそのまま部屋に戻ろうとした。


すると舞が肩を掴み




「ダメだ……こうなった以上こちらもちゃんと対策を考えないといけない……逃げたい気持ちは分かるが逃げてはいけないぞ……啓示……これ以上犠牲を出してはいけない」




と厳しく啓示に行った。


それを聞いて




「……分かったよ」




と啓示は部屋に入るのを止める。




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「はあはあはあはあ……危なかった……」


「そうね……いったいどういうこと……何でなの……」




とロメイトとハイネウスは冷や汗を掻いていた。




「あいつは動いていた……何で私の悪魔デビルズの時間タイムが効かないの……こんなこと初めてだよ……」




と言って震えていた。




「キャアアハハハアアアッハハハハ!! ビックリだよねええ!! ハイネウスうううううう!! いったい何なんだろうねえええ!! 私たちみたいな悪魔と契約した者が動き出すのは分かるけどあいつは一体なんなんだろうねええええ!!」




と興奮したように言った。


それを聞いてハイネウスは




「でも笑い事ではないわね……これじゃああなたの能力を容易に使うことが出来ないわ……」




と頭を抱えながら言った。


それを聞いてロメイトは




「え……それって……これから頭はどうすれば手に入るの……」




と不安そうに言った。


それを聞いてハイネウスは




「あの勇者が死ぬまでは暗殺は出来ないわね……残念だけど……」




と辛そうに言った。


それを聞いて




「そ……そんなああ……」




と言った。


ロメイトは先程奪ったレイミーの顔を見て




「聞いてよおおおお!! レイミーちゃああああん!! 私の楽しみがあああああ!」




と言って抱きしめた。


それを見てハイネウスは




「ロメイト? それ飾るんでしょ? 良いのそんなことして?」




と聞いた。


ロメイトは笑いながら




「大丈夫! 今からすぐにするから、取り敢えずこれを飾ってからアメナガスに報告しよう」




と言って棚から色んな種類の草、そして白っぽい石を持ってきた。


それを見て




「その石って不思議よね?」




とハイネウスが言うと




「そうそう! 昔剣の材料の鉱石の採掘している時に拾ったんだ!! なんかよくわかんないけど変な宝箱があってその中にこれは開けてはいけない、これを悪用する者は必ず身を滅ぼすだろう的なことが書いてあったんだけど気にせず使ってるの!」


「それ……大丈夫なの?」




とロメイトのその言葉を聞いて不安になった。


するとロメイトは




「ハイネウス、そんなことはどうでもいいんだよ、芸術が完成するっていうことはそれぐらいの犠牲は普通なんだよ!! 普通なんだよ!!!!! 命を削ることなんて!!」




とハイネウスの肩を掴んで顔をかなり近づけて言い切った。


それを聞いてハイネウスは




「私が間違っていたわ……そうよ、あなたの言う通りよ!! 最高よ!! はああああああ!! さいこう!!」




と2人はテンションが上がった。


そして




「さてと、このライジャル草の体を硬直させる毒とベルウ草の治癒能力を打ち消す毒を混ぜて削っても増える石の粉を混ぜてこのレイミーちゃんの口に流し込んでっと!! 能力解除!」




そして、絶望した顔で時間を止められていた顔は能力を解除されたがその絶望の表情が消えることなくそのままになった。


そして




「これを釘でしっかり固定して完成!! 絶望ハンティングトロフィいいいい!!」




と言って嬉しそうに飾った。


ハイネウスは




「うふふふ、あなたの芸術は素晴らしいわ! しかもその石の効果で腐敗もしないんでしょ? 本当に素敵!」




と言ってロメイトの頭を撫でる。


ロメイトは




「あああ……もっと見たい……こんな良い絶望を!」




と嬉しそうな顔で涎を垂らしていた。




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王城にて




「今回のレイミー殿の死……悔やんでも悔やみきれない……いったいどうしてこんなことに……」




とベクレール王も辛そうに言った。


啓示は




「もしかしたら魔王軍の何者かが我々勇者の存在に気づいたのかもしれません、我々も出来るだけ対応できるように努めたいと思います」




と言って涙を拭いながら言った。


ベクレール王は




「いったいレイミー殿はどんな死に方をしたんだ……詳しく聞かせてくれ……」




と言った。


それを聞いて舞は




「啓示が来たときはもうすでに殺されていた。店の人にもここの従者や衛兵が聞いているそうだが?」




と聞くと




「それが分からないそうだ……先程まで生きていたレイミー殿がいつの間にか残虐に殺されていたようだ……いったい誰がこんな最低で残虐なことを……」




と言って嘆いていた。


それを聞いて啓示は




「実は……舞と僕は掛からなかったのか……分からないんですが……一時時間が完全に止まったんです……」




と言った。




「「「「「「!!!!」」」」」」




と仲間たちは驚いた。


ベクレール王は




「そっそれは本当かね……」




と真っ青になりながら言った。


啓示は




「ハイ……本当です……だからこそ魔王が有力だと思い……」




と言って話す。


そして王は




「確かにそうかもしれない……だがそんな魔法聞いたことがない……ウウ……おぞましい能力だ……」




と言って汗を流す。


それを見て舞は




「……」




ベクレール王の様子を観察していた。


ベクレール王は




「舞殿? どうかされましたか?」




と聞くと




「いえ……何でも……」




と言った。


ベクレール王は




「とにかく、今日はいったん解散しよう……私たちもそんな異常が起こるのかを調べておく……そちらはそちらで調べて頂けるか?」




と聞いた。


啓示は




「ハイ……分かりました……レイミーの為にも……」




と言って皆王の間から出た。


ベクレール王は1人になり




「まさか……あいつらが……だが今更どうして……」




と言って冷や汗を流す。

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