依頼8『屈辱』

ロメイトは壁に人の絶望した顔を剥製にしてハンティング・トロフィーのように飾っていた。


顔の下には名前のプレートが付けてあった。




「はあああ……良い……とても素晴らしいよ、君のその失った者が大きかった時の表情……」




と言ってレイと呼ばれる顔を見つめてウットリしていた。




「聞いてよ、レイちゃん! 私ね!! あの男の目の前で子どもや愛する妻を惨殺して見せたの! 依頼は平民優遇政策を乗り出す邪魔な貴族の殲滅だったから何も間違ったことしていないんだよ!! それなのに貴様ら外道どもに屈しないとかつまんないこと言ってさ! 意味分かんなくない!! 理解に苦しむよね! 君なんて腹の子供殺されたらいい絶望したのにさああ!! ああああ!! イライラするウウウウ!!」




と言ってダンダンと地団太を踏む。


すると




バダン!!




「おい!! いつまで趣味に没頭してるんだ!! 早く来い! お前だけだぞ!! アジトに来てないの!!」




とナリアがドアを叩きつけるように開けて言った。


それを聞いてロメイトは




「ああ……ごめんごめん、ちょっとね……」




と言ってその顔から離れた。


ナリアはあたりを見渡して




「相変わらず趣味に悪い部屋だな……」




とつぶやいた。


それを聞いてロメイトも辺りを満たしてキョトンとした顔で




「へ? 何が? あ! 分かった!! 壁紙が良くないの!!」




と聞いた。


ナリアは




「いや……壁に飾りつけられている顔だらけの部屋が気味悪いって言ってんだよ……どうしたら壁紙の問題が発生してくるんだ……それにそれハイネウスがプレゼントしたもんだろ……大切にしてやれよ」




と呆れながら言った。


ロメイトは




「え? 顔のどこが気味悪いの? 意味わかんない……」




とナリアの話を聞いていない。


ナリアは




「普通は人の首なんて飾らないんだよ……意味わかんない事なんてないだろ……」




と言うと


ロメイトは




「えええええ!! おかしいよ!! これってあれと同じでしょ!! そうあれ! あれだよ!! その何ていうのか! あれあれ! そう!! 動物の首を剥製にして飾るあれ!!」


「いや! どこからどう見ても違うだろ! ハンティング・トロフィーと一緒にするな!! あれは動物だから!! お前のはそれ人間だから!」




と反論したが




「人間も生物上は動物だけど?」




とロメイトに論破されてしまう。


それを聞いてナリアは




「はいはい……無知な私が悪うございました……それよりもだ、早く行くぞ、アメナガスは呼んでるんだから」




と言って呆れて先に行った。


ロメイトは




「もうせっかちなんだから、皆またね!」




と言って顔に向かって手を振ってロメイトは部屋を出た。


そこは鍛冶工房の一番地下の階にある場所の為誰も入ることはない。


鍵を持っているのはロメイトだけである、その為誰も気づくことはなかった。


臭いもロメイトの特殊に作られた薬品によって臭わないのであった。




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そして、




「ナリア、ロメイトは?」




と聞くと




「もうすぐ来る」




とうんざりするように言った。


それを見てノリアは




「お姉ちゃんお疲れ! まああそこに入っても平気なのはハイネウスぐらいだろうけどね! さすがに暗殺に慣れていてもあの部屋はなかなか特殊だから!」




と言ってふざけたように笑って言った。


イナミは




「でもあの子……にとって……憩いの場……人の趣味をとやかく言える……こと出来ない……」




と言ってノリアの方を見た。


ノリアは




「変趣味は良くわからないねえ、私はお姉ちゃんと一緒にお金さえ儲ければいいしね!」




と言って笑う。


そして




「お待たせ! ロメイトやってきました! ってあれ? ハイネウスは?」


「もうすぐだ、あいつも社長だから忙しいんだろ……」


「私も社長だけど……」




と何人も弟子を持っているロメイトはアメナガスに反論した。


そして




「ごめんなさい! お客の無駄話が長くて!」




と言って入ってきた。


ロメイトは




「ハイネウス! 私も社長だよね! そうだよね!」




と聞いてきてハイネウスは




「あなたは社長じゃないわ」




と言った。


ロメイトは




「そっそんな馬鹿な!」




と涙目になるが




「あなたは人間国宝よ!」




と言われて




「やった!!」




と喜ぶ。




「話をしてもいい?」




とアメナガスは聞いた。




「「どうぞ」」




と2人は言った。




「オホン……では本題に入ります……先程依頼を貰う墓場に行ってみたらこんなものがありました」




と言って1つの紙を取り出した。


そして




「暗殺者達の皆様には至急王城へとお集まりください」




と書かれていることを読み上げた。


それを聞いて




「何だ? 経過報告か?」


「かもね、1ヶ月経つし向こうも気になるんだろうね」




とナリアの言葉にノリアが笑いながら言った。


イナミは




「四天王の1人を……暗殺したし……話せる内容は……ある」




と言って膝をつきながら話す。


アメナガスは




「まあそれは報告しないとな」




とまとめていた書類を用意した。


ハイネウスは




「怪しい感じしない? 女の勘で正直危ない感じがあるのよね……」




と言って少し怪訝そうに言った。


アメナガスは




「まあそうだが、それでも行かねばならんだろ……無視する方が明らかに依頼人に対して失礼だしな」




と言ってハイネウスに言った。


ハイネウスは




「まあそうね……警戒は必要だけど行かないとね……」




と言って取り敢えず納得した。


そして




「じゃあ準備をしろ、皆で行くぞ」


「情報さんは?」


「いや、そいつは行かないけど……」




と言って王城へと向かい準備をした。




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王城では




「警戒を怠るな!! あいつらはいつこの場所へと入るか分かったもんじゃない!!」




とベクレール王は従者や衛兵たちに命令をしていた。




「あいつらって?」


「馬鹿が!! 暗殺者達に決まってるではな……あああ……」


「ベタな登場の仕方で申し訳ございませんね? 王様」




と言っていつの間にか目の前に暗殺者達が6人が集まっていた。


ベクレール王は




「きっ来たか……暗殺者共……皆の者!」




と言って従者や衛兵に呼びかけた。


その声と共に皆警戒態勢を取った。


だがその姿だけなら警戒されていると普通は思うが、アメナガスはベクレール王の目が異様なことに気づいた。




(なんだ……あいつのあの目は……まるで誰かを殺すような目だ……知っている、いつも依頼を持ちかける者たちはあんな目をしている……だがいったい誰をだ……)


「よく来てくれたの……報告を聞こうじゃないか」




と言ってベクレール王は笑顔で言った。


その笑顔を見ながらアメナガスは




「ああ、そうだな……どうやら魔王は四天王を全て倒さないと完全に暗殺することは出来ないらしい」




と魔王を暗殺をするのに対して必要なことを伝えた。


ベクレール王は




「へえ、そうだったのか」




と言ってほほ笑みを絶やさなかった。


そして




「それでは四天王は全て倒す必要があるんだな? で? 君たちは四天王を全て殺したのかい?」




と聞くとアメナガスは




「いや、まだ1人だけだ……」




とベクレール王をよく観察し、その他の従者や衛兵を見回しながら言った。


ベクレール王は




「そうかそうか、まだ1人しか暗殺していないのかあ」




と言って




「それでは少し話があるので別の場所へと移動し……」


「待った、こっちの質問にも答えて欲しい」




とベクレール王はアメナガス達を別の場所へと移動させようとしたが遮られて質問をされる。




「どうしてお前らは我々を殺そうと目論んでいるんだ?」




とアメナガスの突然の言葉に




「!! な!」


「そんな! バカな!!」


「バレ……ああ!!」




と他の衛兵たちや従者、そしてベクレール王自身も動揺した。


アメナガスは




「なあ答えてくれよ? どうして我々を殺そうとしているんだ? 我々が死ねば魔王を暗殺する者はいなくなるというのに?」




と疑問に思いながらベクレール王に聞いた。


ベクレール王は




「……そうだ、お前らは殺す……それに対して疑問を抱くのは分かるが覚悟をしてもらう」




と睨みつけながら言った。


アメナガスは




「理由を言わないつもりか? 抵抗されればお前らは死ぬのになあ」




と殺気をアメナガス達は他の者にも分かるように向ける。




「うう!!」


「あはああああああ!!」


「があああだ!!」


「ぐううう!!」




とベクレール王は腰を抜かしたのか椅子に座る。


他の者達は武器を落してその場に倒れ込む者や堪えて膝を曲げる者もいた。




「わっ分かった……良いだろう……どうせ教えたところで貴様らの運命は変わらんだろう……」




と言って理由を話す。




「勇者が召喚された、貴様らは魔王を暗殺する必要がもうないからだ!」




と言った。


それを聞いてアメナガスは




「ふーん、そうか、勇者は召喚されないと言ってたくせに、はあ、ならばキャンセル料を払って貰おうか? 確か報酬の半額を払って……」


「そんなもの払うか!!」




とベクレール王はキレるように言った。


アメナガスは




「何故だ? そう言う契約だろ? 途中のキャンセルの際の説明もちゃんと書いてあるだろ?」




と言って呆れるように言った。


だがベクレール王は




「それがお前らの任務の失敗だっとしてもな」




とニヤリと笑いながら言った。


それを聞いてアメナガス達はキョトンとした。


アメナガスは睨みながら




「お前……失敗っと言ったか……我々が魔王暗殺を失敗したと言いたいのか……」




と言った。


ベクレール王は




「そうだ! 貴様らは失敗したんだ! 往生際が悪い奴等め!!」




と言って見下すようにアメナガス達に言い放つ。


アメナガスは




「何を言ってるんだ!! 魔王を倒すのに四天王を倒さないといけないという情報を見つけたのも! 四天王の1人を倒したのも我々だぞ!! それなのに召喚されないと言っていた勇者が来た瞬間に我々を用済みにして処刑するつもりか!! しかも失敗扱い!! ふざけるな!!」




と言って怒鳴った。


ベクレール王は




「フン、知らんのか? 仕事には期限というものがあるんだ、貴様らはその期限を守ることが出来なかった貴様らが悪いんだろ?」




と言った。


アメナガスは




「期限だと? そんなこと聞いてないぞ!! それなら最初っから言えばいいだろ! それにまだ1ヶ月しか経ってないのに魔王をそんな簡単に暗殺できるか!! それに勇者様も随分と遅いご登場だな! 10年間もほったらかしにして今頃現れるのかよ! それに比べれば我々の暗殺の方が早いぞ!! 我々に任せればいいだろ!」




と怒りに任せて言った。


ベクレール王は




「フン、何を言おうと貴様らは失敗したんだ、任務失敗だ! そして、これからはダンゼルガ国で召喚された勇者様が魔王を退治してくれるんだ! 貴様らの様な外道に頼る必要がないのだよ!!」




と言って笑っていた。


そして続けて




「そして貴様らは犯罪者グループだ! そんな貴様らを今ここで見逃すつもりはない!! 貴様らは正義の名の元にこの場で処刑にするだけだ!! 我々のお縄に着くんだな!!」




とアメナガス達に対して正義を執行することに酔っていた。


アメナガス達は




「ほう……我々を殺すと?」


「ああ!! 抵抗して我らを殺そうとしても意味はないぞ!! そんなことをすれば勇者様はお前らを倒しに来る! 正義のためにな!! それに国の王が死ぬと言うことは他の国にも伝わる!! 貴様らは今まで通りに生活できるか! 今まで通りに暗殺の依頼を受けれるか!」




と言って自分が優位であることを誇示していた。


そして、それと同時に衛兵は武器を構えて、他にも兵士たちが広間に集まって鎧を着て、武器を持っている状態で現れた。


イライラしているのかそれとも人を殺したいのかロメイトがプルプル震えていた。




「落ち着け……」


「うん……はあはあ」




と言って小声でアメナガスはロメイトを注意した。


ロメイトは迸る衝動を必死に抑えていた。


しかし、ロメイトだけではなく他の皆も少し危ない雰囲気であった。




(糞……私もイライラしているが他の奴らもヤバイな……あまり時間を掛けられん)




と思いアメナガスは再び頭を冷静にさせた。


そして、




「そうか……正義の名のもとに処刑か……もしそんなことをすればお前らの国も終わるがな……」




と言った。


それを聞いてベクレール王はニヤつきながら




「終わる? 我々の国が? 何を言ってるんだ? そんなことが出来るのものか、貴様らはここで死ぬのだからな」




と言って勝ち誇る。


アメナガスは




「もしここで我々を殺せばここにいない仲間がお前らが我々に魔王を暗殺するように依頼した情報が民たちに伝わるように手配している! もしそんなことが知られれば国の信用もガタ落ち、反乱が起きるんじゃないのか? 犯罪者に世界を託したんだからな! それどころか他の国にも攻められる可能性もあるぞ!」




と言ってベクレール王を脅した。


ベクレール王はその言葉を聞いて真っ青になった。


他の国は諦めずに勇者召喚をしていたのに自分たちはそれを放棄して犯罪者に魔王を暗殺するように依頼してしまった。


それは恥ずべき行為であり許されることではなかった。




(まずい! そんなことがバレたら!!)




と思った。


しかし、もしこのまま暗殺者達に魔王暗殺を任せてもいずれ他の国にバレて滅ぼされる可能性がある、その為王は失敗ではなく依頼をキャンセルするしかない状態になった。


しかし




(このままこいつらに報酬を払うだと!! ふざけるな!! 何とかしないといけない!! だがどうすれば……)




と必死に考えた。


そして、ベクレール王大きな賭けに出た。




「そうか……なら殺さないでやろう、しかし貴様らは失敗であることにさせてもらう!」




と言ってアメナガス達に指を指して言った。


アメナガスは




「はあ!」




と言って王様の言葉に疑問を持った。




(どうしてだ? こいつのはもう切り札はないはずだ!)




と困惑する。


ベクレール王は




「もしこの条件を呑み込めないのならばこちらも貴様らが任務に失敗をしたという情報を国に流す! そうすれば貴様らの評判は落ちて依頼も無くなるだろう! 貴様らに人を殺さないで生きることが出来るかな!!」




と言って自分の国にも被害が出る可能性を恐れずにアメナガス達を脅してきた。


アメナガスは




(糞が! まさか自分の首を絞める覚悟でこっちを脅すとは! 糞!! だが妥協点はここか……このままでは……)




と他の者達を見ると皆腰にあるナイフを手に触れている。


このままいけば他の皆が王を殺しかねない可能性が出てきてしまうため、これ以上長引かせることがアメナガスには出来なかった。


その為




「分かった……良いだろう……失敗でいい……」




と言って苦渋の決断をした。




「「「「「!!!」」」」」




他の皆はアメナガスの方を一斉に見た。


だが




「それでは、このまま帰らせてもらう、もしお前らが我々の失敗のことを他の者に伝えればお前らの情報は流れることと同じだろうからな……何も言うまい」




と言ってその場からみんな消えた。


ベクレール王は




「ふー、やっと帰ったか……意外とたいしたことない……」




とにやりと笑いながら言った。


すると




『よくやったぞ……王よ、奴らの脅しに良く屈しなかった……褒めて遣わす』




という声が脳に直接聞こえた。


ベクレール王は




「ありがたき幸せ……」




と言って深々と頭を下げる。




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アメナガスたちは取り敢えずはアジトへと戻った。


だが




「ちくしょうがああああああ!!」




と感情に任せて




ドガアアアアア!!




と椅子を蹴り上げるナリア




「なんだ!! 糞糞がああ!! 殺してええええええ!! ぶっ殺してえええええ!! グチャグチャにしてやる!!」




と喚きながら机を




ドンドン!! 




と叩きつける。


ノリアは




「ううう……屈辱……」


「ええ、そうね……屈辱よ……」




とその言葉にハイネウスも手を握り締めて血が滴る。


すると




「おい!!」




と言ってイナミがアメナガスの胸倉を掴みかかる。


そして




「どういうつもり……いくらなんでもあんなの……許せるの……」




と言って悔しそうにしている。


ロメイトも




「プライドが傷ついた……殺そうよ……あの王様……首をもぎ取ろう……」




と言って鋭くアメナガスを睨む。


その気持ちはアメナガスも同じであった。


だがもし他の皆のことを気にせずあの場に残っていてもむしろ事態を悪くする可能性もあった。


アメナガス自身もあの場で折れないと他の要求を聞かされる可能背があったため殺されないだけましだと考えたのであった。


しかし、




「皆聞いてくれ……私に考えがある」




とアメナガスはイナミに胸倉を掴まれながら向かって言った。


イナミは




「何……」




と言ってそのまま話す。


そのまま着地してアメナガスは話しだす。




「簡単だったんだよ……そう、簡単な話だ……私たちは任務を失敗扱いにされて今日追い返された。何とか処刑を免れて命からがら帰ってきたようなものだ……」




と屈辱、恥辱、怒りを抑えながらアメナガスは言った。


そしてそれを聞いて




「ああ! そうだそうだよ!! ふざけるんじゃねえよ!! あの王様を殺さねえのかよ!!」


「そうだ!! 殺せ殺せえええええ!! ぶっ殺せええええ!! あの糞王を椅子から引きずり降ろしてロメイトのコレクションに入れてやれ!!」




と言ってナリアとノリアはキレる。


するとアメナガスは




「ダメだ! 王は殺すな!! それはこちらにリスクが高すぎる……そんなことをすれば我々の情報が漏れる……」


「じゃあ王国の人間を殺せば!」


「そんなことをすれば客はいなくなるぞ!」




と言ってノリアの言葉を否定する。


そして




「そうじゃないんだ……そう、殺すのは王ではない……王でなくて良かったんだ……」




と何か少し嬉しそうにするアメナガス


その表情に気づいてイナミは




「どういう……こと? いったい何を……考えてるの?」




と怪訝そうに聞いた。


そして、アメナガスはとんでもないことを提案した。




「勇者を暗殺すればいいのだ」


「「「「「!!!」」」」」




その言葉に皆驚愕した。


そして、アメナガスは続けた。




「考えてもみろ……魔王を倒せるのは誰だ?」


「ゆっ勇者?」




とイナミは恐る恐る聞いた。


アメナガスは




「そうだ……勇者様だけだ……奴がいるから魔王を倒せるんだ……」




そして続けて、




「そしてもし、そいつが途中で死ねばどうなる?」


「「「「「!!!!!!!!」」」」」




と気づいたような顔になる他の者達、


そして、イナミは




「つまり、勇者が死ねば我々が再び魔王暗殺の任務に付けるってこと?」


「そうだ」




ナリアとノリアは




「そして、失敗になった任務も失敗にはなくなると?」


「そして、我々の実力を下げることもない?」


「そうだ」




ハイネウスは




「王様も他の国にも何も言えなくなるってこと?」


「そうだ!」




ロメイトは




「勇者の首も魔王の首も私の者!」


「そうだああああああああああああああああああああ!!!」




と言って


アメナガスは大声で叫んだ。


他の皆はそんなことを気にしないかのように




「良いだろう……そうだな……もうそれが一番だ……」


「ああ、最高じゃねえか!! 勇者が!! どっちが強いか分からせてやるぜ!!」


「あああ!! まさか勇者を手に掛けることになるなんて!! ノリア!! ビックリ!」


「そうね、勇者が水の中でどうやってもがいて死ぬのか気になるわ!」


「ああ!! 勇者の首も!! 絶望が! 手に入る!! レアだ!! レアだよ!」




と言って他の皆もテンションが上がってきた。


そして




「どうやらもうみんなの答えも決まったようだな」




と言って嬉しそうにするアメナガス


そして皆に向かって




「そうと決まれば勇者を暗殺する準備だ!! 覚悟はいいな! 生半可な石では絶対に成功はないと思え!! だが必ず勝つ! それは決定事項だ!! そうでないと我々の誇りは汚されたままだ!! 仕事をしながらもこの汚された誇り取り戻すんだ!! 良いな!!」




と言うと




「「「「「了解!!」」」」」




と言って皆やる気になっていた。




-----------------------------------------------------------------------------------------




「いやいやいやあああ!! 面白くなってきたねえええ! やはり彼女たちは最高だよ! 選んで良かった! これからの戦いに我が祝福をさせて頂く! 我は貴様らの奮闘を楽しませてもらうよ! 果たして! 我の思いと願いと野望は叶うのかな?」




と1人のスーツを着た男が闇の中、杯の中に入ったワインを飲みながら


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