依頼7『暗殺報告』

「おい!! どういうことなのだ!! レジャイアが殺されただと!!」




と魔王は怒っていた。


ライザベラーは




「ももっ申し訳ございません!! 勇者は召喚されていなかったはずなのに!! まさか殺されるとは思ってもみませんでした!!」




と謝罪する。


魔王は




「いいか!! レジャイアは特別な魔法使いだったんだ!! それなのにあの者を失うことは我々にとってかなりのダメージになるんだ!! 四天王は後3人だ!! 貴様らの様な者たちが簡単に集まるわけではないんだぞ!! 分かっているのか!」




とライザベラーに魔力を取り憑かせて




ドオオオオオオン




と地面に叩きつけた。


ライザベラーは




「ぐぐぐぐぐ、もっもうじわげございまぜん」




と苦しそうに言った


そして魔王は




「行けえ!! そして二度とこのような失敗をするでない!!」




と怒鳴りつけて魔力を解いた。


ライザベラーは




「糞、あのジジイめえ」




と悔しそうにぼやいた。




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アメナガスは家へと入って行った。




「ただいま……レイナス」




と言って上着を椅子に掛けた。


そして、ベッドの方を目を向けるとそこのはアメナガスに似た金髪の女の子がパジャマ姿でいた。


目は生気がなく何かボーッとしている様子だった。




「すまないな……しばらく留守にして……体綺麗にしようか、レイナス」




と言ってレイナスの服を脱がして濡れた布で体を拭いて行った。




「動くことはないからあまり汚れていないが汗は拭かないとな? 女の子なんだし……」




と言って隅々までレイナスの体を綺麗にしていった。


そして




「終わった……綺麗だぞ……ご飯今から作るからな」




と言って鍋を用意して火石で薪に火をつけて粥のようなものを作った。


そして、レイナスの口へと運ぶとレイナスは口をもごもごとして飲み込む。




「今日は顔色が良いな? 何か嬉しいことがあったのか?」




と聞きながら食事をレイナスの口へと運ぶアメナガス


レイナスはあることがきっかけでほとんど動くことが無くなってしまった。


医者にも見せたが原因は不明であった。


ご飯を口に入れるともごもごと口を動かして食べるぐらいのことは出来るのだが本当に最低限の動きしかしない。




「はい、ごちそう様」




そう言ってアメナガスはレイナスの食べていた粥の器を水で洗い




「じゃあ、いつものしようか?」




と言ってレイナスを抱きしめた。


アメナガスはレイナスを1分ほど抱きしめるのはいつもの日課になっている。


彼女にとってそれはとても重要な行為であった。


そして、彼女はレイナスを離して。




「じゃ、お姉ちゃん行ってくるからね……」




と言って




「行ってきます」




そして、再び家を空けた。




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そして、イナミが帰ってきた。




「イナミお帰り」


「ただいま……ジジイ殺した」


「了解した。強さはどうだった?」




と報告を受けてアメナガスは手ごたえを聞いた。


イナミは




「あまりにもアッサリしていた……正直あまりいい運動にもならない程度だ…った……残念……」




と言って少し残念そうだった。


それを見てアメナガスは




「他の四天王がどうかは知らんが……まあまだ一番強いと言われる四天王はまだだし結論を出すのは早いだろうな……だが少しは我々の目的に魔王暗殺は見えて来たな……まあ他の皆に報告後に王にも経過報告は必要か……取り敢えずは少しの安心を与えておく」




と言ってイナミの報告を紙にまとめていく。




そして、


ガチャン!!




「よおおお!! 仕事終わったよおおおお!!」




とノリアが笑いながら先に入り、




「全く、邪魔な子どもを殺す仕事とは、腐った世の中だなあ~、まあ金があるならいいんだがねえ」




と次にナリアが入ってきた。


次に




「お待たせ、信仰心の高いのシスターを殺してきたわ! 宗教も信仰より地位と名誉なのね! 久しぶりに満たされるような気分だわ!」




とハイネウスが入ってくる。


そして




「はあ……今回はコレクションにならなかったな……あんなに苦しめたのに……どうして俺はお前に屈しないとか言っちゃうかなあ……」




と落ち込んだロメイトが入ってくる。


その為、暗殺者は情報係以外は全員揃った。




「さてと! 魔王暗殺の話をしようか!」




と言ってアメナガスが資料を広げる。


すると、ロメイトはフラストレーションを発散したいのか




「私が次やりたい!! 皆満たされたような顔をしてるもん!!」




と言って真っ先に手を上げた。


イナミは




「まあ、残ってるのはあと3人……四天王の1人暗殺するのは別に……いいんじゃない……」




と言った。


ロメイトは




「やった!! 本当にいいの!! ヒュウウウウウ!!」




と嬉しそうにした。


ナリアとノリアも




「そうだな」


「まあいいんじゃない? 次はこいつで」




とあまり反対はなかった。


それを聞いて




「やったあああ! ありがとう!! 当然ハイネウスは賛」


「反対よ」


「何でよおおおお!!」




とハイネウスの言葉が予想外だったのか不満そうにロメイトは声を上げる。


ハイネウスは落ち着いたような声で、




「聞いて? ロメイトいい? イナミちゃんはともかく、ナリアとノリアはあなたが四天王の1人を殺してそれで魔王退治の時にこいつはもう四天王殺したんだから次は私たちが魔王を殺すとか言ってメインディッシュを横取りするつもりよ」




と言った。


それを聞いてロメイトは




「そ!! それ本当にいいいいい!!」




とナリアとノリアの方を見ると




「はあ、ハイネウスにはバレたか……残念……」


「もうちょっとだったのにねえ」




と言って2人は残念そうにした。


ロメイトは




「ううわあ! こっわああああああ!!」




と言って驚いたように2人を見た。




「はいはい、ふざけないよおお」




とアメナガスは言うと




「アメナガス……」


「分かってる……」




イナミの言葉にアメナガスは資料をみんなに見せた。




「私は魔王殺せないの……」


「本気にするな!」




とイナミの心配を打ち消すようにツッコんだ。


そして、




「全く……気を取り直して! 話をつづけるぞ!」




と言って資料を広げて




「まず、魔王城の作りは前に見せた通りになってる、そして罠まみれだな……」


「まあそれってさあ? あの四天王の罠師がやってるんだよね? だったらさあ! 次はそいつにしようよ! てか何で四天王の通り道だけは罠貼ってないんだろうねええ!」




と嬉しそうにロメイトが言った。


アメナガスは




「どうやら四天王は自分たちが守るということを誇りにしているようだ、つまりはだ! 四天王までは罠が無くて隙だらけってこと!」


「もしかして入ってくる奴ら全員が正々堂々門から入るって思われてる! ウケルうううう!!!」




と笑うロメイトにナリアは優しい口調で




「門以外はいる場所ないよ?」




と教えてあげた。


それを聞いてロメイトは




「え? じゃあなんでイナミはジジイにバレずに忍び込めたの?」




と聞くと




「それはあれ……皆が配置換えの会議を……してる時に忍び込んだ……気配もなかったし……ガードちゃんがなんか皆から……良い扱い受けてない……」




と会議の内容のくだらない話にも耳を傾けていた。


ハイネウスは




「イナミちゃんは良く人の話を聞くわね~」




と和んでいた。


アメナガスは




「まあ、つまりは会議が行われれば隙が出来るってことだし、正直能力が聞くかも試したいから次はイナミでなく他の誰かって言うのもいいかもしれないな」




と言って次の情報を得ようとしていた。


ロメイトは




「情報係ではその情報はつかめないの?」




と聞くと




「なかった……どうしてかな……だからそれに関しては我々自身で調べないといけない……分かると思っていたからイナミに任せていたんだがな……」




と少し予定が狂ったことにイラッとしていた。


イナミは




「ごめんね、私の能力があまり使わないタイプで……」




と言うとアメナガスは




「いいさ! お前は能力なしで四天王を殺しうる実力を持ってるんだ! 勇者ですらあのジジイは仲間と共に追い込んだぐらいだからな」




と言って笑っていた。


イナミは




「ありがとう……」




と照れながら言った。


するとロメイトは




「……次は私が行こうか? 魔王が倒せるかは置いておいて一番私が能力を使って効くかが分かりやすいと思うんだけど?」




と真面目な顔で聞いた。


それを聞いてアメナガスは




「驚いた……ロメイトがコレクション以外で真面目なことを……」




と驚いた。


ロメイトは




「な! 何をおおおお! 私だって魔王を倒すための努力ぐらいはするんだよ!!」




と怒った。


ハイネウスは




「アメナガス、この子一応は天才よ、それぐらいの思いつくわ」




と言って誇らしげに言った。


ノリアは




「アンタは別に関係ないでしょうに……」




と呆れながら言った。


ナリアは




「まあ、魔王を倒すのは後で考えるとしてロメイトが次殺した方が分かりやすいのは筋が通ってるし、いいんじゃないか?」




と反対意見はなかった。


アメナガスは




「そうだな、今回はロメイトが四天王を暗殺してくれ、もし行けそうならば全員殺せ、あまり時間は掛けない方が良いだろうしな」




と言ってロメイトに伝える。


ロメイトは




「了解!」




と言って準備をしに、部屋を出た。


アメナガスは




「私は一度墓場へと向かう、依頼が来ているかを確認しに……」




と言ってアメナガスも部屋を出た。


ノリアは




「報酬の相談は……」


「「あ!!」」




ナリアとハイネウスは報酬は延期になった。




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王城にて




「王様! 大変です!!」




と従者が走って来た。


ベクレール王は




「何だ……いったい? 暗殺者共か?」




と聞くと




「ちっ違います……それどころか……神と呼ばれる者が……」


「何を言っとるんだ……」




と呆れたように従者に言った。


だが従者は




「ホッ本当なんです!! とにかく神聖の間に!」




と言って必死に形相だった。


ベクレール王は面倒臭そうに




「嘘であればどうなるか分かっとるだろうな……」




と言ってついて行った。


そして、神聖の間へと近づくにつれて




(な! 何だこの感覚は!! 体の震えが止まらん! 強大な魔力を感じればそうなるのも分かるが…そんなものは全く感じない!! だがしかし! 恐怖ではない! あの暗殺者共の様なおぞましい者ではない!! 何か安らぎがある感覚だ!!)




と思いベクレール王は、神聖の間に入った。


そして、ベクレール王はすぐに確信を持った。




「おおお……おおおおおおおおお……神よ……まさか……」




と膝をついて頭を下げた。


目の前には神々しく光る者がいた。




『良い、そんなことをせずとも……今日は話があって来たんだ』




と響くような声で神は話した。


ベクレール王は涙を流しながら頭を上げた。


従者も頭を下げていたがその言葉を聞いて頭を上げた。




『うむ、よろしい……では話をさせて頂く』




と言って神は




『遅くなって申し訳なかった……勇者を私の力でダンゼルガ国と呼ばれる地に召喚をした』




と言った。


それを聞いてベクレール王は




「ホッ本当ですか! 神様! まさか!! こんな日が来るとは……」




と歓喜余って震える。


従者も




「やった……やったぞおおおおおおおおおおおおお!」




と大声で喜んだ。


神は




『本当にすまない、美しい心を持った魂がやって来なかったのだ……そして、時間はかかったが聖剣を存分に使うことが出来る物を召喚することが出来た!』




と言った。


それを聞いてベクレール王は




「失礼を承知で聞かせてください! そんなに美しい心を持った魂の者が現れなかったのですか!」




と震えながら聞く。


神は




『ああ、それに該当する魂は来たんだがその者たちは生きる希望が薄すぎてその上生きることに恐怖を感じていた。そのため転生召喚ではなく転生の状態になってしまい記憶を保持することを拒否をする者ばかりであった……その為、こんなにも時間が掛かってしまったんだ……本当に申し訳ない……』




と神は言った。


ベクレール王はそれを聞いて




「そんな理由があったのですね!! この世界のために本当に申し訳ありません!」




と再び頭を下げる。


しかし、ベクレール王は先ほど自分で言ったことを頭に過らせて




(しまった! 勇者を待てずに暗殺者を雇ってしまったのであった!! いったいどうすれば!!)




と心の中で悩んだ。


すると神は




『分かっておる、お主らがあの邪悪な暗殺者達を雇ってしまったことを……気にするでない……それはすべて選別に手間取ってしまった私の責任だ……だからこそだ! あの邪悪な暗殺者共には消えてもらうのだ』


「!? そっそんなことが!!」




とベクレール王は驚いた。


神は




「奴等ほど危険な者はいない、私が自ら下すことは出来んが、お主たちが国の名のもとに奴らを処刑するのだ!」


「しかし! そう簡単に行くでしょうか! 失敗すればキャンセル料を払わされる以上のことを奴らは言ってくるかもしれません! それどころか我々全員が殺される可能性があります!!」




と神の言葉にベクレール王は顔を真っ青にさせた。


神は




『もし上手くいかなければ奴らにこう言うのだ……』




と神はベクレール王に助言をした。


ベクレール王は




「そっそんなに上手くいくでしょうか……」




と不安そうに言った。


神は




『奴等とて王を殺して自分たちの立場を危うくさせたくはないだろう……それにそうであれば奴らはそうするしかないだろう……悪魔の力で奴らの情報はあまり無いがだが奴らはプライドの強い者達であろう……そんな者たちがそうだと告げられれば絶望するはずだ……そして奴らは暗殺者達、人の命を何とも思っておらん者共だ、金さえ払えば赤ん坊を殺す腐れ外道共だ、大丈夫だ、ベクレール王よ! お主ならばうまく出来る!』




と言ってベクレール王を勇気づけた。


ベクレール王は




「分かりました……」




と不安そうに言った。


神は




『それに、もし上手くいかんとしても私が召喚した勇者たちが奴らを滅ぼしてくれるだろう! 魔王を倒した後に奴らを倒すことも考えることも出来る! 安心するんじゃ!』




と言ってそのまま神は消えて言った。


ベクレール王は




「神の仰せのままに」




と言って深々と頭を下げる。




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墓場で




「あ、依頼が来てる」




と思いローブを着て姿を見えにくくしているアメナガスは手に取る。


そして、開けて読むと




「……王城へと来てくれだと……経過報告に来いって意味か? ……了解した……四天王の1人を倒したしな」




と思いその手紙をアジトへと持って帰った。


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