依頼6『四天王の……』

暗殺者達が魔王暗殺の依頼を受けて9日目


魔王城で




「魔王様! お呼びでしょうか!!」


「ああ、軍をここへと進行させろ」


「ここはエルフの里? オーク共を向かわせますか?」


「ああ、それで構わない、私の魔力を与えたからそう簡単にはやられんだろ、それに勇者も召喚出来ないという噂もある、恐れることはない」




と言ってほくそ笑みながら言った。


すると従者は




「了解したました!」




と言って持ち場に戻ろうとした


すると




「待て、奴の状態は?」




と聞いた。


従者は




「魔王様に多少反抗して半殺しにされたリドリアメルでしょうか? それなら今も眠っていますが?」




と言った。


リドリアメルは魔王の秘書を務めている者であるが数日前に魔王に意見をして魔王に怒りを与えたことにより力が暴走、長い間封印されていた為、力の制御が未だに出来ていなかった、その為その魔力の暴発で大けがをして治療を受けている。




「あいつには悪いことをした」




と言って少し悩んだ顔をした。


すると従者は




「大丈夫です! 魔王様!! リドリアメルも言っておりました! 魔王様はわざとしたのではないと! 一番長く仕えていると言うことで多少の防御も出来たと! 安心し……」


「そうです! 魔王様!」




と言ってドアが開いた。


そこには包帯を巻かれた女性が立っていた。




「おお! リドリアメル! 大丈夫だったか! それは良かったぞ!」




と言って魔王は喜んだ。


従者は




「もういいのですか?」




と聞くと




「ああ、大丈夫だ、大したことはない、休んだ分きっちり働く!」




と言って笑顔を向けた。


魔王は




「期待しているぞ」




と言って少し嬉しそうだった。




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「ふむ、情報が集まって来た」


「そうなの?」




アメナガスの言葉にロメイトが剣を磨きながら言った。




「ああ、見せられた情報でも聖剣で攻撃しないと倒せないとの情報がある」




とそれを聞いたロメイトは




「嘘!! 殺せないの!! 顔は!!」




と絶望した。


それを聞いてアメナガスは




「顔のことは重要か? まあこの情報だけなら暗殺は出来ないな」


「ってことは? 書かれていない情報があるの?」




とロメイトが聞くと




「ああ、これは本来人間には知られていない情報だがな……」




と言ってニヤリと笑うアメナガス


ロメイトは




「え!! 何何! 顔は!!」


「顔はいい!! そんなの諦めろ!!」


「え……」




とロメイトは一気にやる気が無くなった。


するとアメナガスは




「ああ!! もおおおおお!! 面倒臭いなお前は!! 分かったよ!! 顔を取れる方法も考えてやるよ!! 取り敢えず皆を集めてから話すから!!」


「……本当に?」


「ああ……」




と呆れながら言って取り敢えずロメイトと別れて他のメンバーを集合させた。






「ええっと、お集まりの皆様、大変長らくお待たせしました、これより魔王暗殺の情報を共有したいと思います」


「長いぞおおおお!! 34秒も待たせやがって!! そして挨拶も長いいい!!」




とノリアが言った。


ナリアは




「で? 魔王を暗殺にはどのようなことをすればいいんだ?」




と聞いた。


イナミは




「多分……並大抵なことでは……暗殺出来なさそう……」




と予想を立てていた。


アメナガスは




「ああ、まず順を追って説明をする」




そして、アメナガスは机に大きく一枚の紙を広げた。


そこに書かれていたことは




まず、魔王を倒すためには四天王を倒すことが必須であったこと。


魔王は四天王に特別な魔法を掛けており、4人の誰かが生きている限り魔王自身死ぬことがない、そして過去の勇者は愚かにも四天王の1人が辛うじて生きており、勇者たちは改心するというしょうもない嘘を信じて生かされた結果魔王を完全に倒すことが出来なかったことが発覚した。


しかも、国の情報ではそのことは未だに解明されていなかった。




「……え? バカなの? 気持ち悪……」




ナリアは呆れながら過去の勇者を見下すような声で言った。


ノリアは




「てか……そんな国ですら分かってなかった情報はどこで仕入れたのやら……」




と少し驚きを隠せないような感じだった。


聞いていたロメイトは




「つまり……顔が4つも手に入るってこと!! ヒャッハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」




と嬉しそうにしていた。


ハイネウスは




「でもあなただけが暗殺するわけじゃないから厳密には4つじゃないわよ?」




と言った。


ロメイトは




「まっまあ……そうなんだけどねええ……」




と少しがっかりした感じの声で言った。


イナミは




「まあ……取り敢えずは四天王から……暗殺が必須ってこと……か……」




と顎を弄りながら言った。


アメナガスは




「まあ、そうだな、取り敢えずは様子見で四天王の1人を殺そうと思うんだ」


「へえ、強い奴?」




とナリアが聞いた。


ノリアは




「強ければ腕が鳴るよねええ! まあどうせ私たちに勝てるわけがないしねええ!!」




と言って少しワクワクとしていた。


アメナガスは




「おいおい、四天王を暗殺するのが本命じゃないぞ? 本命は魔王を暗殺しないといけないんだから」




と言って呆れながら言った。


それを聞いて




「分かってますよ」




とノリアは言ってアメナガスの方を注目する。


アメナガスは




「で、魔王を倒すには聖剣を使わない倒せないってのは有名だよね?」




と言った。


イナミは




「図書館で……見た」


「昔からのおとぎ話でも言われてるよね?」


「倒せなかったから真実は定かではないけど」


「全く、四天王の1人を倒さないという甘っちょろいことをするからそんな歴史になってしまうんじゃない……何? 慈悲が素晴らしいとでも思ってたのかしら?」


「「「「「「はあああ」」」」」」




と皆溜息をついた。




「まあ、そんな慈悲は置いといて四天王を殺した後の魔王は聖剣で殺せる他にも方法があるんだよ」


「ほほう? どうやって?」




とナリアは聞いた。


アメナガスは




「これだよ」




と言って1つの短剣を取り出した。




「それって……我らと契約した悪魔デマフォス・レイザ・ハイド様から貰った魔剣」


「そうだ、我々が契約した際に貰った魔剣が聖剣の他に暗殺可能なものだ」




と言ってそれを仕舞った。


イナミは




「でも……それって使ったら……その場で……壊れて……使えなくなる……」




と言って少し勿体なさそうに言った。


ノリアは




「ええ! 良いじゃん!! だって魔王だよ!! 使うにはもってこいの相手だよ!」




と言ってむしろ使いたそうだった。


ロメイトは




「う―――ん……」




と少し顔を歪ませた。


それを見てアメナガスは




「どうした? ロメイト?」




と聞くと




「だって、それって私の作った武器を使えないってことでしょ? 仕方なくても少しなあ……まあ、でも顔は欲しいし……? ってか!! それって使ったら相手も肉体ごと消滅するって言ってなかった!」




とロメイトはあることを思い出して言った。


ナリアとノリアは




「我々が殺せばお前の暗殺じゃないからいらないだろ?」


「そうそう!」




とロメイトに言った。


アメナガスは




「まあ誰が暗殺するかはまた決めるが、もしロメイトになった場合どうするかは聞いておいたよ、デマフォス・レイザ・ハイドに」




と言った。


ロメイトは




「え!! どうやるの!」




と聞くと




「顔に刺さずに体のどこかに刺して顔に呪毒が回る前に首を斬れば大丈夫だって」


「でもそれって顔が生きてたら復活するんじゃないの?」




とハイネウスが聞くと




「大丈夫だ、魂自身に呪毒が回るから表情が絶望して首を取れば顔だけは残るらしい、刺された時点で魂は刺された体の方に固定されるから」




と言った。


更にイナミが




「じゃあ……四天王を殺さなくても……大丈夫じゃ?」




と聞くと




「そうなるとダメージが四天王に行って魔王自身が殺せない」




と答えられた。


イナミは




「だから四天王から暗殺か……理解……」




と言って納得した。




「では皆の衆! どの四天王から殺すかを決めようじゃないか!!」




と言って指名手配犯の様な紙を4枚机に並べて




「NO1! 四天王1強いと言われている男! ライザベラー!! NO2! 魔法を駆使して相手を追いつめ勇者に慈悲を掛けられ昔から生きているジジイ!! レジャイア!! NO3! 罠や奇術を使って相手を混乱させる青年! バルアリアン!! NO4! 四天王最弱女! ガード!!」




と1人ずつ紹介していった。





「「「「「間を取ってジジイ!!」」」」」




と言った。


アメナガスは




「理由は?」




と聞くと




「もう死んでよし」


「十分生きた……」


「ジジイの絶望の顔はまだ持ってない」


「ジジイの場合息がどれくらい持つか知りたい」


「「溜めこんだ金とか強奪出来そう!」」




等々、理由は様々だった。


アメナガスは




「まあ私も皆が良いならそれでいいが? まあガードとかいう雑魚は置いていても大丈夫だしな、さてと……誰が行く?」




と聞くとイナミが




「前は皆が暗殺してた……さすがに私が良い……」




と希望していた。


すると




「はあ!! ジャンケンだよ! ジャンケン!!」




と言ってロメイトは癇癪を起す。


ロメイトは前に参加出来なかったことを根に持っていた。


アメナガスは




「イナミ……今回はロメイトの言う通りだ、それに私だって最近のでは暗殺はしていない」


「……分かった……」




と言ってイナミは納得した。


ロメイトは




「まあ、ジャンケンに決まったのはいいけど……今回はって……何……」




と少しブスッとしていた。


そして




「さっさと始めようよ、面倒臭い」




と言ってナリアはすでにノリアとのジャンケンに勝っていた。




「そうだな、さ! ジャンケンだ!」




と言って一斉に




「「「「「ジャンケンポン!!」」」」」




とイナミが買った。




「やった……やっぱり勝った……」




と言って嬉しそうだった。




「まあ、依頼が最近は少なかったのと、相手がそこまで強いわけではないからお前にとってはかなり運動になるだろ? 取り敢えず行って来い」


「了解……期待していて……」




と言ってイナミはスーッと消えた。




「本当にあいつの暗殺技術は凄いな……」


「家系が家系だからね……あれは人間の叡智みたいなもんだよ」




と言って皆尊敬の念を向けていた。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――




魔王城


そこには四天王が揃っていた。




「ッハハハハアア!! ハハハ!! 人間共はどうやらもう希望を尽きたようだな!! 無駄な召喚をして意味もなく魔力を消費してやがる!! だがどうせ聖剣を手に出来なければ我々の魔王様は打ち倒すことは出来ない!! せいぜい無駄なあがきを続けて現実を逃避するがいいさ!」




と1人の青年が高笑いしていた。


それを聞いて少女は




「でっでも……油断するのは……」




と言うが、青年はギロリと睨みつけて




「ああ!! この最弱が!! 俺の罠の実験にされて死にてえのか!」


「落ち着け……こやつの防御はかなりのものだ……攻撃がゴミでもせいぜい守りとして居させるぐらい良いだろ?」




と落ち着いたような男が青年を静止させた。




「ひひひ……ワシの魔法があれば防御なんていらないさね……」




としわくちゃの老人が不気味に笑いながら言った。


すると男は




「まあ、お前みたいな死にぞこないより、遥かに役に立つからいいか……」




と見下すように老人に向かって言った。


老人は




「きっきさみゃあああああ!! 年長者を敬うと言うことを知らんのかあああ!! ワシはおみゃあさんより長く生きとるんじゃああああ!」




と奇声のような声で皆耳を塞いだ。


青年は




「ああ? ただただ年月生きりゃいいってこともねえだろ? それにおめえが生きてるのは勇者に情けなく土下座して生かして貰ってんだろ? もう死んだも同然だぜ? お前の魔法の技術が凄いっていう魔王様の言葉を信じてお前を置くことを俺らは了承しただけだぜ? フン!!」




と鼻で笑った。


少女は




「ちょっちょっと! そんな言い方!」




と言うと




「黙れ! お前とそこの老人は必要ねえんだよ!! 俺とライザベラーさんがいれば十分なんだ!! 何が四天王だ! この恥さらし共めが!!」




と睨みながら少女と老人に暴言を吐いた。


老人は




「何じゃと!! ガード如きと一緒にするな!!」




とガードを指さしながら青年にキレた。


すると




「バルアリアン! レジャイア! 静かにしないか!! うるさいぞ!!」




と言ってライザベラーは言った。


そして




「とにかく、今回の配置会議は終わるが! 次は騒ぐなよ!」




と言ってドアを開いて出て行った。


老人は




「まあいいじゃろ……ワシが最初の門に出てガード如きが次の門でお主がガードが時間を稼いでいる間に準備をして敵を迎え撃つ……ワシの魔法は洗練されたから即座に投入可能じゃからな!」




とバルアリアンに自慢げに言った。


バルアリアンは




「チッ! そもそも俺の罠は整備が必要だからそうなってるだけだ! それに侵入者が弱ければ俺の貼った罠や奇術が意味をなさなくなる、ならガードと言う完全に弱い奴の後の方が使えるわけだ! どうせ倒されない奴よりかわな!」




と言ってガードに向かって嫌味ったらしく言った。


ガードは




「ごめん……」




と言って少し申し訳なさそうにした。


レジャイアは




「謝ることはないんじゃよ? 無能は無能らしく自分のペースで成長したと勘違いして時間を無駄にするがいいさ! じゃ、ワシは行くかのう」




と言ってそのまま扉を開けて出て行った。


続いてバルアリアンは




「フン、せいぜい時間は稼げるようにしておけよ」




と言って同じく出て行った。


ガードは




「……ごめんなさい……」




と1人暗い顔をして言った。




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初めの部屋に戻ったレジャイアは




「フン、ま、ワシの魔法の力を持ってすれば勇者なんてチョロイチョロイ、以前は負けたがあの甘っちょろい奴なんぞ! 今のワシには雑魚同然じゃ!」




と言って札や杖、そして奇妙なお面などが部屋中に飾られていた。


部屋はかなり広く、魔法を自由に使えるぐらいだった。


その為か部屋にはお面の飾り以外は何もなかった。




「へええ……雑魚か……情けなく土下座……した相手に……」




と声がした。




「!! 誰じゃ!! どこのおる!」




と言って辺りを見渡すがどこに隠れているのか分からなかった。


レジャイアは




「バカな! 隠れる場所なんぞないはずだ!!」




と言って杖を構える。


そして




「お面をつけて少しは魔力を上げなければ!」




と言って壁に飾っているお面を取りに行った。


すると




ズパアアアン!!




と何か赤い液体が目の前に飛んだ。




「が!! がなばあああああああああああああ!」




と掠れるような声で言って赤い液体が出ているところを見ると自分の首が斬りつけられていた。


レジャイアは




(まっまずい!! 無詠唱ヒール!!)




と心で唱えて首を治癒した。




「ふーん……魔法はやはり凄い……普通なら致命傷……死傷……のはず……」




と声がする。


しかも今度は声が近かった。


レジャイアは




「ええい!! 卑怯な!! 姿を現せえええええ!!」




とキレた。


すると




「近くにいるのに……老人は……やっぱり……耳遠い……」




と言って残念そうに言った。


レジャイアは




「何じゃ……お面が喋ってるのか……」




と言ってお面の方を見た。


声はお面の方からしていた。


レジャイアはそっとお面を取るとやはり首を斬りつけられた。


そして今度は腕が外れた。


文字通り切り落とされた。


すぐさま、ヒールを自分に使って傷を治す。




「まっまさか!! その中にいるのか!! その中にいいいいいいい!!! 信じられん!! 人間が入れるわけが!! 出て来い!!」




と言って魔法を使ってお面を宙に飛ばした。


しかし、壁には誰も貼りついていなかった。


そして、飛ばしたお面を手にしようとしたら




ズパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!




と体が切り裂かれた。




「ぎゃjdばああああああああああああああああああああああああああ!!」




再びヒールで体を回復するレジャイア




「私……軟体な……体……挑戦してみた……意外と入れた……」




と言って落ちたお面を見ると1人の女がお面の中に入っていた。


余りにも小さな深さ10cm程ぐらいの深さなのにすっぽりと入っていた。




「ウワアアダアアアアアアアア!!」




と奇妙な声を上げて




「気味悪い!! 何じゃ貴様!! 魔法かああ!! わしの知らん魔法じゃ!! 何故じゃああああ!! ワシは300年と研究した魔法じゃあああ!! それが通じないのかああああ!」




と杖を持って魔法を無詠唱で攻撃を放った。




「全く……遅いし浅い……たったの……300年……か」




と言っていつの間にかお面から女は消えていた。




「な!!」




何処に行ったのかをレジャイアは探すが何処にもいなかった。


すると




ズシ! っと頭が重くなった。




「これ技術……私の先祖代々から高めて来た……技術……」


「な!!」




レジャイアは頭を踏まれている感覚が実感してきた。


女はレジャイアの頭の上に乗っていたのであった。




「バカなあ!! 魔法でもない限りそんなこと出来るはずが……グバアアア!!」




頭の女を手で掴もうとすると両腕とも切り落とされた。


そして、再びヒールをしようとしたが




「遅いし……対策済み……私の家系は魔法使いも……殺した……」




と言って女はいつの間にかレジャイアの左胸を押さえた。




「な!」


「気づいた? ……ここは……魔法使いの……マナ器官……心臓……ここを特殊な……方法で刺激すると……当分魔法が……使えない……」




と言ってレジャイアの攻撃を封じてしまった。




「そんな……バカなあああああ……」




と絶望していると




「絶望するなんて……あなたはただ……驕って……いただけ……たった300年ぐらい……短い……我々の家系は3000年……今なお……成長中……」




と言ってレジャイアの首を




ズパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!




撥ねた。




「任務完了……今回弱かった……祖先が……殺した……ピ・クロリーの方が……強い……と教えられている……」




と言った。


首を撥ねられていたレジャイアは




「ぞっぞんな゛……わじの……じじょう……お前ら一族が……ころし…だ……」




と言ってそのまま動かなくなった。




「取り敢えず1人……後……3人……」




と言ってイナミはその場から去った。

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