依頼5『王の依頼』

アメナガスは依頼書を眺めて




「なるほどねえ」




と言っていた。




ガチャ




と扉を開けて入ってきたイナミは




「何……してるの?」




と聞くとアメナガスは




「いやあね、さっき墓場でこんな依頼書が置いてあったんだ」




と言って依頼書を見せた。


それを見てイナミは




「これは……ちゃんと皆と相談したほうがよさそう……」


「そうだよな、やる気はあるがあの墓場以外で話すのはまあ大丈夫か……対象があれだしなあ……」




と言って少し悩んでいた。


するとイナミは




「でも私たちに……暗殺できない者は……いない」




と言って自身に満ち溢れた表情でアメナガスを見た。


アメナガスは




「取り敢えずは皆を呼ぼう話はそれからの方がよさそうだな」




と言って他の暗殺者に集合を掛けるのであった。




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そして、その日のうちに他の暗殺者達も集まった。


ロメイトがまず始めに




「何い? 何か問題でも発生したの? 証拠何て残してないはずだけど?」




と少し面倒そうな表情で項垂れていた。


するとナリアは




「その紙? 依頼書か?」




とアメナガスの手元にある紙を見て聞いた。


ロメイトは




「え!! 何!! 依頼なの!! また次顔を手に入るの!!」




とウキウキとしながら聞いた。


それを聞いてハイネウスは




「でもそれならすぐに受けたことを言ってくれるわよね? 何か訳ありなの?」




と聞いた。


アメナガスは




「まあ、依頼だけならばいつもの通りなんだが……この依頼に関してはみんなの意見も聞きたくてな……まあ断らないだろうということは確実だろうけど……」




と言って依頼書を読み上げた。




「暗殺者諸君、初めまして、私の名前はベクレール王と言う者だ」




という言葉を聞いただけで皆




「何!! ベクレール王だと!」


「王様!! 嘘!」


「バレたの!! そんな!!」


「いやいやいや!! でもその紙だけならば大丈夫じゃ!! それに私たちは今ここで話せるのもバレたならば不可能なはずだよ!」




とうろたえながらも皆冷静さを取り戻した。


するとアメナガスは




「安心しろ、我々の正体まではバレてはいない、こいつは我々の噂を聞いて墓場に依頼書を置いた。」




それを聞いてノリアは




「何よ、なら受ければいいじゃない」


「いつものように墓場で話しを聞けば?」




とナリアも肘をつきながら言った。


するとアメナガスは




「この依頼を聞くのはこいつの城で何だよ、まあそこはあまり問題はないが……」




と言った。


それを聞いてノリアは




「まあ確かにロメイトの能力を使えば問題はないけど……それ以外の問題って?」




と聞いた。


するとアメナガスは重い口を動かした。




「魔王を暗殺することなんだ……」




と行った。




「「「「「!!」」」」」




と皆驚きの表情を見せた。


そして、少しの間静寂が続いた。


そんな中で先に声を出したのは




「魔王の首が……手に入るの……絶望を呼ぶ魔王から……絶望の顔をさせられる……」




とロメイトは打ち震えていた。


それを聞いたノリアは




「お前は自分の欲望に忠実だな!」




と言って




パンパン




頭を叩いた。


ロメイトは




「痛い痛い」




と言って鬱陶しそうにしていた。


ハイネウスは




「さすがだわ、ロメイト! それでこそよ!」




と感心していた。


イナミは呆れながら




「話が逸れてる戻そうか?」




と言って皆黙った。




「さてと、王様の陣地である城で話しをしてからこの依頼を受けていいものは手を上げて!」




とアメナガスが言った。


するとみんな手を上げた。




「反対はない、ロメイトの能力ならば問題ないし……」


「確かに、こいつの能力以外でも行けることは?」


「まあ難しいかな……」


「チッ!」


「コラ、舌打ちしない、あなたは下品ね」




と話していた。


アメナガスは




「ならば受けるぞ……この依頼」


「「「「「ああ!」」」」」




と言って皆頷く。


アメナガスは不安そうに依頼書を見ていた。




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王宮




ベクレール王は待っていた。


暗殺者達が来るのを……


例えそれが誤った選択だとしても覚悟を決めていた。


ベクレール王は近くの男に




「おい、飲み物を持って来い!」




と命令をした。


しかし男は反応がなかった。


ベクレールは




「貴様! 聞いているのか!」




と怒るがやはり反応がなかった。


ベクレール王はイライラしながら他の者に




「こやつを牢に入れろ!」




と命令したが他の者たちも動いていなかった。


ベクレール王は




「おい!! 何故無視をするんだ!」




と怒った。


だが他の皆は動かなかった。




『やれやれ……王とは思えない勘の鈍さだな……』




と呆れるような声が聞こえた。


ベクレール王は




「だっ誰だ!!」




と言って周りを見渡した。


すると




「ここだよ」




と言って王座から見下ろすとそこにはローブを着ている者がいた。


王は




「お前は……暗殺者か!」




と声を荒げて言った。


ローブの者は




「ああ、そうだが?」




と答えると




「他の者はいないのか?」




とベクレール王は聞いた。


すると




「いるぞ……依頼が依頼だからな」




と答える。


この場で話しているのはアメナガスで他の者は皆別の場所で隠れながら話を聞いていた。


城に行くということによりアメナガス1人で行く訳にはいかず、その上魔王を倒すと言うことで慎重になりたいとのことで他の者も直接話を聞いた上で引き受けた云う話になったのであった。


それに




「他の者も呼ぶのだ……話すのはそれからだ!」




とベクレール王は言った。


この事も示唆を含んでいた。


いくら自分たちの事を知られてはいけなくても魔王を倒すという名目で城へと赴いた。


そのため、多少リスクを負うことにはなるが、依頼を引き受けるために暗殺が出来る可能性を王に示さなければいけないという考えにいたり連れてくることになった。


だが、アメナガスは




「この場で見せる必要があるのですか?」




と聞いた。


例え想定していてもリスクを負わなくてもいいのならばと思い話してみた。


例えこの行動が無意味であっても言ってみることで分かることがあるとアメナガス判断した。


だが、予想通り




「ダメだ、その場合この話はなかったことにさせてもらう」




とベクレール王は言った。


恐らく王を名乗るだけは有り多少はキレるようだ。


自分たちが使った能力は彼らには初めての経験の為、先程の様な無能が見えてしまったがそれが全てではないとアメナガスは悟った。


そして




「分かった、皆、ここに集まれ」




と言った。


するとその場にはアメナガスだけがいたのだがいつの間には5人増えて6人の暗殺者たちがその場に並んだ。


ベクレール王は




「これで全員か?(暗殺者達は?)」




という意味で聞いた。


しかし、アメナガスは




「ああ、全員だ(ここにいる暗殺者達は)」




という意味で質問を返した。


アメナガス自身も王が聞いた意味を理解はしていたが解釈を変えることで表情を自然に保ち嘘を言っていないように誤魔化すためであった。




「そうか……分かった、話をしよう」




とベクレール王を誤魔化すことが出来た。


だが




「その前にこの状態を解いて貰えないだろうか? 話をするにも私だけでは不十分だからね」




と言った。


アメナガスは




「十分なもの以外は解かなくてもいいか?」




と聞いたが




「それはダメだ」




と言われてしまったため




「分かった」




と言って能力を解除した。


そして




「うわ!!」


「だっ誰だお前たちは!」


「どこから侵入した!」




と当然動き出した兵士たちは騒ぎ出した。


ベクレール王は




「静かに! 騒ぐでない! この者達は暗殺者だ!」




と言って、従者たちを宥めた。




「あ! 暗殺者……」


「あの黒い噂であった……本当にあったとは……」




と従者は皆ざわついた。


アメナガスは




「早く話してくれると嬉しいんだが?」




と言った。


ベクレール王は




「ああ、すまない……」




と言って従者に目で合図を送った。


そして、従者は本ぐらいの大きさのある書類を持ってきた。


すると




「あれ!! 紙が!」




手元にあった書類はなくなっていた。




「なるほど、お前たちの掴んでいる情報は分かった」




と言って先程持っていた書類をアメナガスは手に持っていた。




「い! いったい何を!」


「貴様! どういうつもりだ!! 能力を使うとは!!」




と戸惑っている従者の言葉を遮りベクレール王は怒鳴った。


するとアメナガスは




「あまり調子に乗るなよ、こちら側はお前のお願いを聞いたんだ……こっちだって多少の我儘を聞いて貰ったっていいだろ? お前らの依頼を断ったっていいんだぞ?」




と言った。


暗殺者達は皆依頼を受けるための努力をしようとは思ってある程度のリスクを負う覚悟をしてきた。


しかし、あまりにも不利になるようならば依頼を断る覚悟もしているのであった。


自分たちの正体が完全にバレない程度にリスクを負うがバレてしまっては暗殺者としての活動を行うことが出来ない為、そこまでして依頼を受けるつもりはなかった。


そして




「どうする? お前が我々の少しの要求すら呑む気が無いならばこちらはこのまま帰らせてもらっても……」


「待て!!」




アメナガスが言い終わる前にベクレール王は止めた。


アメナガスはその言葉を聞いて




「どうやら、この依頼を受けないことでのマイナス面の方がでかいようだな?」




と言ってアメナガスはクスリと笑った。




「さてと、どうするよ? 王様? 話を続けるか?」




と聞くと




「ああ、いいだろう」




と言って少し不満そうに答えた。


そして、ベクレール王は詳細を話し始めた。




「貴様らも魔王の復活については知ってはいるな?」


「ああ、10年前だっけか? 魔王が復活したというのは?」




と言った。


ベクレール王は




「ああ、そうだ、それ以来魔王軍は進攻を始めた、昔はまだ対抗できていたが今はなぜか魔王軍の力が強まっている、もしかしたら封印されたことによって魔力をかなり大きな力を貯め込んでいたのかもしれない……」


「ふーん、それは知らんがつまりは対処できていないということか?」


「その通りだ」




と言ってベクレール王はアメナガスの確認に頷いた。


アメナガスは




「だが、勇者が魔王を退治するんじゃないのか? なぜ我々の力を? 勇者と一緒に旅に出ろとでも言うのか? もしそうであるならば話はないことになるが?」




と言った。


ベクレール王は




「それはない」




とはっきりと答えた。


アメナガスは




「ほほう、分かったぞ、勇者が未だに現れていないということか?」




と聞いた。


ベクレール王は




「ああ、それどころか召喚の為の魔力も無い! これでは魔王に支配されるまで意味のない時間稼ぎをするしかないのだ!! 頼む!!」




と興奮気味で言った。


他の兵たちもざわついていた。


どういうわけか分からないがおそらく皆断れるのを恐れているのだろうとアメナガスは思った。




「ふむ、なるほど……もう一度聞くが魔王を倒す勇者は召喚できない? 良いんだな?」


「ああ!! その通りだ!! 今は意味のない召喚の儀式を行っている国があるだけだ! 無意味なことをして安心しただけの人間がな!」




と言ってベクレール王は汗を流しながら言った。


それを聞いたアメナガスは




「本当だろうな? 本当に本当だろうな?」




と念を押した。


ベクレール王は




「しつこいぞ!! 何度同じ質問をするんだ!! 同じ質問をすることは同じ失敗をすることと同じだぞ!!」




とヒステリックを起こして怒鳴った。


アメナガスは




「はあ……分かった……信じといてやる」




と言って呆れながら仕方なさそうにした。




(これ以上しつこく聞くとこっちの立場を危うくさせられそうだ……痕跡を少なからず残しているのだから……声を聞かれると言うな……)




と考えた。


アメナガスはロメイトの能力を使ってこの不利な依頼交渉を何とか優位な状況で聞きたかったがさすがにそれは出来ないということなので、あまりベクレール王に刺激を与えたくなかったのであった。




「さてと、話を戻そう……我らがその魔王を暗殺できると何故思ったのか?」




と確認をした。


ベクレール王は




「噂を聞いたのが最初だがそれだけではさすがの私も魔王を倒せるとは思ってなかった……だが死体の状態があまりにも異常だ!」


「なるほど」




とアメナガスはその言葉を聞いて浅はかだと思った。




(確かに我々の殺し方は異常だがそれだけで確信するとは……よっぽどの自信家なのかそれとも勘が凄いのか……どちらでもいいが……まあ奇跡的に間違ってはないな)




と思いながら見ていた。


そして




「まあ、そうだな、信用されていることは嬉しい限りだ……ああ、嬉しいな」




と言って資料を見て




「さてと、取り敢えずここでの情報はあまり役に立ちそうにない……役に立つといえばこの魔王城の場所ぐらいか……」




と呆れるように言った。


それを聞いてベクレール王は




「な! 何だと!! 我々の情報の何が不満なんだ!」




と睨みつけながら言った。


アメナガスは




「だって……これほとんど聞いたことのある歴史だけじゃん……こんな情報として形作られただけの資料なんて……魔王の倒し方ぐらい書いとけよ……ま、以前の勇者が倒せなかったんだから仕方ないか……それに封印の仕方もこれじゃあまり意味がなさそうだし、我々の求められているのは暗殺だし……」




と言って持っていた資料をパタパタと揺らしながら言った。


ベクレール王は




「貴様ら!! ふざけるな!!」


「ふざけるわけないだろ? こんな大事な任務で? 真面目な意見なんだ……この言葉を聞いてもまだ分からないなんて……まあいいさ……後はこっちで情報を掴むよ」




と言って残念そうに言った。


ベクレール王は




「フン、無駄だ、魔王城には勇者以外誰も近付くことが出来ないからな」




と見下すように言った。


アメナガスは




「だからお前らの情報はただの形だけなんだ……まあ任せておけよ……王様」


「貴様ああ!!」




とキレるが




「後報酬何だがその話をしようか?」




とアメナガスはベクレール王の怒りを無視した。


ベクレール王はプライドを傷つけられたが震えながら




「い……良いだろう……報酬の話だ……おい」




と言って従者に大金を持ってこさせた。


それを見てアメナガスは




「ふーん、魔王を倒すのにこれだけの報酬か……魔王を倒すのに……」




と言って不満そうに言った。


ベクレール王は




「何だ! 何が不満なんだ!! 普通ならお前らのような人間にこんな大金を払うことなんぞしないんだぞ!!」




と言ってアメナガス達の社会的地位を持ち出して言った。


アメナガスは




「そうか……ならそこは我慢しよう……」




と言った。


アメナガスはそれを狙っていた。




「ならば代わりに我々の任務の成功した証にはその大金ともう1つの報酬を貰おう、それが出来ないのならばこの話はなしだ」




と言った。


それを聞いてベクレール王は




「金の倍増は出来んと言ったろ!」




と怒るが




「興奮するなよ、そうじゃない、金はそのくらいでいいと言ったろ? 我らの言った報酬はお願いを1つ聞いてもらうことだ」




と言った。


それを聞いてベクレール王は




「願いだと!! いくら依頼するとはいえあまり調子に乗るなよ!! 貴様らの様な悪に


これ以上の要求が通るとでも思っているのか!」




と怒りを爆発させた。


アメナガスは




「フン、確かにその通りだがだが悪に払う金が少ないと思わないか? それを考慮をしてお願いを聞いて欲しいと言ってるんだ、何無理のないお願いをするだけだ、我々にとって必要な願いをな」




と言った。


ベクレール王は




「何だ願いとは!」




と言った。


アメナガスは




「それは達成されてからお願いをする、場合によって願いを変えないといけないかもしれないからな」




と言った。


当然王は




「そんなのダメに決まってるだろ! ふざけているのか!」




と言い返すが、




「忘れるな!! 金が本来魔王を倒す金額としては少ないことをな! 我々の願いを叶えてくれないと言うならばこの話なしだ!」




と言ってアメナガスも負けじと言い返した。


その言葉を聞いて




「く! クソ共が!!」




と言ってべクレール王は歯を食いしばって顔を顰めた。


どうやらベクレール王は依頼をなかったことにすることを恐れているようだ。


恐らく自分が真っ先に魔王に殺されるのではと思い恐怖してあまり冷静に考えてはいられないのだろう、それをアメナガスは見逃さず。




「なあ? お願いを1つ聞いて金を払うだけだぞ? しかも本来魔王を倒した時の額よりも低いんだからお前にとって苦しむことはないじゃないか?」




と言った。


ベクレール王は




「糞が……仕方ない、だがあまり無理なお願いはするな!! いいな!! 地位を上げろなんてバカな願いはな!」




と言って念を押した。




「ああ、私たちはそんな願いはしない、安心しろ、地位なんて貰っても意味がない、さてと、行く前にこの契約書にサインをして貰う良いな?」




と言って紙をアメナガスは取り出して


それはいつの間にかベクレール王の手元にあった。




「!! さっきから怒っているこの現象は……いったい……」




と言った。


しかし、それよりも渡された紙の内容を確認した。


そこには先程の金額とそして願いを1つ叶えることに関しての内容が書かれている。


そして、最後にキャンセルの際の金額が報酬の半分を頂くと書かれていた。


その内容に顔を歪ませたが




(糞、しかし奴らの機嫌を損ねるのもあまり良くない……サインするしかない……)




と考えてサインをした。


すると先程まで持っていた紙が消えて




『それでは約束は守ってもらうぞ』




とアメナガスは言ってその場から姿を消した。




「!! まっまさか!! また能力で!」




と言ってベクレール王は震えた。


すると




「王よ!! 大変です!」


「何だ!」




とベクレール王は従者を睨みながら聞いた。


すると




「先ほど! かなりの時間が経ったと感じたのですが全く時間が進んでいません!」


「何!」




と言ってベクレール王も時計を見ると時間が進んでいなかった。




「まさか……奴らは時をも支配する力を有しているのか!」




と恐れながら言った。


すると側近は




「王よ、それでも彼らに頼るほかありません……お気を静めてください」




と言って側近はベクレール王を落ち着かせた。


ベクレール王は




「分かってる……魔王に対して裏で生きる者に任せることになるなんて……」


「勇者さえ召喚できていればこんなことには……」




と皆悔しがっていた。




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「というわけで! 不安は残りますが依頼は受けました!! 拍手!」




とアメナガスは皆に向かって言った。





パチパチパチ




と拍手し




「まあ確かに王様も保身のために色々と考えたようだけど、焦りが強かったな、こっちの要求がだいぶ叶ったな……ただあの王様だからなあ」




と不安そうにナリアは言った。


アメナガスも




「まあ、この紙は結局我々が作っただけの紙……悪魔の契約書ならば強制出来るがそんな特殊な紙なんて持ってるわけがない……」




と言って頭をポリポリと掻いた。


するとノリアは




「まあまあ、大丈夫だって! 王様だって勇者はもう召喚出来ないって言ってたじゃない!」


「それが本当家も調べたいがそんな暇があると思うか?」


「そっそれは……」




とノリアの言葉にナリアはブスッとした表情で言った。


イナミは




「しかし……我々は出来るだけ任務を受けることが……誇り……破られたら……その時考えよう……」




と皆に言った。


ハイネウスは




「まあ、そうね、イナミの言う通りよ、今は依頼を遂行することを考えましょう」


「それに!! 魔王だよ魔王!! 世界を絶望に染め上げる魔王の首を貰えるんだよ!! 報酬も魔王暗殺としては低いって言ったけどかなりの金額だよ!! 7000万ガリアだよ!!」




と言ってロメイトも喜んでいた。


そしてノリアは




「みんなで分ければ1000万ガリアだよ!! 最高だあああああ!! ヒャアアアハアアアアアアアアアアアアアアアア!!」




と言って何故か




ドボン!!




と井戸の中に入って行った。




「?? 何をしてるの?」


「ハイネウスのまね!!」




と言ってノリアは井戸から這い出て来た。


そして




「まあまずは情報係に情報を収集させて我々は他の依頼を貰ったら手分けして達成すればいいさ」


「そうね、取り敢えず暗殺の方法を探らないといけないわ、魔王だしね」




と言って皆準備が整うのを待つことにした。




「魔王を暗殺……これが本当の! 魔×殺! なんてね!!」


「イナミ……いつも通り切れがいいね……」


「悪くない……悪くないよ……この空気……」


「ありがとう……」




アメナガスとハイネウスに言われてイナミは満足そうだった。

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