第4話「初めての教室」-3

「では今からこの教室について説明します。

 まず、皆さんから見て右側が教室の入り口です。

 前扉と後ろ扉が、それぞれ1枚づつあります。

 そこから入ってくると、教室の真ん中には、皆さんの机が四つ並んでいます。

 入り口側から牧田くん、麗菜ちゃん、原田さん、光浦さんの順で座っています。

 皆さんから見て目の前には、教卓と黒板があります。

 そこから斜め右奥の方に、ごみ箱があります。

 皆さんから見て後ろの方には、行事予定や給食表が張ってある掲示板と、掃除用具入れ、それと皆さんが使うロッカーが二つずつ、計8個並んでいます。

 そして皆さんから見て左の方には、大きな窓が三つあります。

 と、これがだいたいのこの教室の作りです。分かりましたか?」

「はい」

俺たち3人は、ほぼ同時に返事をした。

 大山先生の説明は、とても分かりやすかった。

 今の説明だけでも、この教室のことを充分創造することができた。

 それはやはり、何手ことはない、どこの学校にもあるような、ごく普通の教室だった。

「ここまでのことで、何か分からないことはありますか?」

大山先生の声で、俺ははっと思いついて手を上げた。

「先生、あの…」

「はい、何ですか?原田さん」

「牧田くんって誰ですか?」

牧田くん…。

 ここに来てから初めて聞く名前だ。

 中学部1年のクラスに、そんな人は居なかったような気がするのだが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る