第4話「初めての教室」-4

「牧田くんは、中学部2年の男子生徒です。同じクラスだから仲良くしてあげてくださいね」

と、大山先生はにこやかな声で言った。

「え、中学部2年にも、生徒が居るんですか?」

俺は思わず声を挙げていた。

「いちゃいけねえのかよ」

そんな俺の問いに、すかさず光浦和希が言う。

 まったく、人をいらっとさせるような言い方をしてくるやつだなあ。

 てかそもそも…。

「おい、中学部2年と3年には生徒が居ないって言ったのおまえだろ?」

俺は声を潜めて光浦和希に言った。

「はー?何言ってんだよ。俺はさっき、中学部2年と3年には担任の先生は居ないよって言ったんだよ」

(あー!)

光浦和希に言われて、俺ははっとした。

 そうだった、確か俺が光浦和希にあの質問をしたのは、入学式での担任紹介の時だったような気がする。

 言葉の意味をはき違えていたのは俺の方だったのかもしれない。

「そうか、そういうことか」

とりあえず納得したような返事をしておいたが、それでもまだ引っかかることがある。

「明憲くん?明憲くんも一緒?」

そんな俺の隣で、姫野さんが喜びを抑えきれないと言う風に言った。

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