第4話「初めての教室」-1

「私の席はここ」

教室に入るとすぐ、姫野さんは嬉しそうな声で言った。

「そうだねえ、麗菜ちゃんの机は入り口から入って2番目だねえ」

大山先生は答えた。

「俺窓側。あ、タカピョンはそこだよ」

弾んだような声で光浦和希は言う。

「え、そこってどこだよ」

光浦和希の言葉に、俺の頭は真っ白になった。

 今自分は何を言われているのだろうか。よく分からない。

「ほらそこだって。目の前に机といすがあるだろ?」

少しいらだったような光浦和希の声が俺の耳に刺さる。

「ごめんね原田さん、今から説明しますね」

そう言いながら、大山先がぱたぱたと俺の方へ駆け寄ってくる。

 と、突然大山先生は、俺の右手をそっと掴んできたのだ。

(おい、何なんだよいきなり…)

恥ずかしい話、この時俺は本当にどきっとした。

 だって、女性教師がいきなり俺の右手をそっと掴んでくるんだぜ?

 そりゃあ戸惑わないわけがないだろう。

「今原田さんの右手が触っているのが原田さんの席です」

大山先生がそう言ったのと同時に、掴まれている右手の人差し指と中指が、木でできた椅子の背もたれらしき物に触れた。

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