第3話「いざ教室へ」-3

「そうだねえ、ここは小学部の学習室だねえ。じゃあ麗菜ちゃん、中学部の教室は何階にあったっけ?」

「2階」

大山先生の質問に、姫野さんは即座に答えた。

 さすが、葵ガ丘盲学校10年目である。

「えー、3階じゃないの」

俺が姫野さんに改めて関心していると、光浦和希が割り込んできた。

「違う、2階」

「もう光浦さん、嘘言わないの」

姫野さんと大山先生が、同時に突っ込んだ。

「えへへ」

光浦和希は、やはり悪びれることなく笑っている。

 明日こいつにだけは、絶対に教室案内はされたくないと、俺は心から強く思った。

「3階は、理科室と、視聴覚室」

「うんそうだねえ、麗菜ちゃん。じゃあ2階には中学部の教室の他にどんな部屋があったっけ?」

「作業室と、家庭科室」

「姫ちゃん、姫ちゃん、肝心な部屋を忘れてるよ」

「え?」

「2階のいっちばーん大きい部屋」

「図書室」

「うん、図書室も大きい部屋だけど、ほら、大山先生いらっしゃいますかって言いに行く時に行くところだよ」

「職員室」

「ピンポーン、大正解」

姫野さんと光浦和希がそんな話をしているうちに、俺たちは廊下を右に曲がった。

 すると、それまで真っすぐだった道が、急にスロープに変わった。

 それを超えると、こんどは左に曲がった。

「ここから登り会談になります」

大山先生が言った。

 と、足の裏がぼつぼつした物に触れたのが分かった。

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