第1話「入学式」-6
俺は改めて、学校長のオカリナの演奏に、よくよく耳を傾けてみた。
♪青雲、それは君が見た光…♪
思い出した!これは「笑点」の合間なんかにやっている、某お線香のcmソングではないか。
(学校長、なぜに入学式でこの曲を?)
突然の後継に、俺はもう唖然とするしかなかった。
しかし、周りはどうだろうか。
隣の光浦和希をはじめ、後ろの方からも、調子の外れた鼻歌で、その商品名を口ずさむ歌声が聞こえてくるではないか。
(この学校、本当にだいじょうぶなのだろうか?)
俺の体の中を、不安と疑念が一機に駆け巡るのが分かった。
「ありがとうございました」
演奏が終わって、一瞬周りが静かになった後、学校長は言った。
すると会場内からは大きな拍手が沸き起こった。
(うーん、なるほど、これが盲学校の入学式なんだな)
何とも言えないこの雰囲気を、どう受け入れたらいいのか分からない俺は、とりあえずそう思っておくことにした。
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