白昼夢な旅〜⑥〜

黒い壁の表面は至る所に凹凸があり

不自然な形をしている


取り越し苦労だったなと

はあっと溜息を吐き壁から手を離す


次の道を探そうと歩き出そうとした時

何かに腕をグッと掴まれ阻まれた


振り向くと黒い壁の中から

真っ黒な腕の様なものが伸びている


異様な光景に恐怖が駆け巡って

髪の毛が逆立ち冷や汗が吹き出す


パキパキと音を立てて

真っ黒な人の形をした何者かが現れた


硬直して動けない私に

黒い何者かはもう片方の腕を差し出してくる


ひぃっと情けない声を上げ

咄嗟に掴まれていない腕で顔を覆う


しかし、黒い腕はグッと下の方に伸びて行き

私が落とした鞄(かばん)に触れる


いつの間にか掴まれていた腕は解放され

“ソレ”は両手で鞄を持ちじっと見ていた



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